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今さら聞けない「情報銀行」とは

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この記事では、情報銀行(情報利用信用銀行)という新しいビジネスモデルの概要と、企業の動向や運営時の課題等について紹介しています。

情報銀行とは、紙幣・金融資産等を取り扱う銀行とは違い、ユーザーから預かったデータにつき、ユーザーが同意する範囲で運用し、運用の結果得られた便益をユーザーに還元する仕組みを意味します。個人の権利やプライバシーを保護しつつ、情報を円滑に流通・活用し、国内の産業活性化を図る主旨で検討されてきました。

この「情報銀行」に、三井住友信託銀行・フェリカポケットマーケティングの2社が、日本IT団体連盟(IT連盟)から初めて認定されました。今後、ユーザーにその利用価値・安全性を分かりやすく説明し、普及に向けた動きをどれだけ進められるかが課題となります。

「情報登録を一元化することで管理の手間を減らす」ことのメリットは何か。情報銀行が個人に代わりパーソナルデータを事業者に渡すことで、ビジネスにどのような変化をもたらすのか。消費者・企業それぞれの視点から解説します。

個人情報は、膨大になり過ぎた

私たちの個人情報は、原則として私たち自身の管理に委ねられるものであり、他者に管理を委ねるべきものではないというのが一般的な常識となっています。
しかし、「個人情報」という言葉が意味する情報の範囲は年々広がりを見せており、個人の中で管理しきれない情報も往々にして存在するようになりました。

プライバシーに関する情報・暗証番号のようなセキュリティに直結する情報は、さすがに誰でも厳重に管理するものです。しかし、たった1回の通販のために登録したメールアドレスとパスワードを明確に記憶している人は、どちらかというと少数派のはずです。

IT環境の進歩に人間の適応力が必ずしも順応しているとは限らず、すでに個人情報は「一人ひとりが100%管理できる範囲」を超え始めています。自分自身が個人情報と自覚していない範囲も含めれば、仮に誰かに不正にアクセスされていたとしても、自分では気づけない情報があるかもしれません。

さらに言えば、自分たちでは重要だと考えていない個人情報をきちんと運用できれば、生活レベルの向上や健康管理に役立てることもできます。日々の生活の中でどれだけのカロリーを消費しているか、無駄なカロリーをどれだけ摂取しているかについて、アプリを使うなどして厳密に数値化できるなら、ダイエットには大いに役立つことでしょう。

こういった、自分が自覚しないものも含めた「個人情報」の活用先として、情報銀行に注目が集まっているのです。

消費者にとっての便益

パーソナルデータ流通は、アメリカ・中国では盛んに行われているものの、日本人には警戒されていました。個人情報を自分の見知らぬ企業に預けるという状況が、匿名性を好む日本人の性格に合わなかったものと考えられます。
しかし、情報の匿名化ができればデータ活用OKという「改正個人情報保護法」が施行されたことも影響してか、情報銀行の話題は日本国内でも広がりを見せるようになりました。「安全な環境が保証され、パーソナルデータの提供で生活が便利になるなら、個人情報を提供する」という判断を下す人は、今後増加するものと推察されます。

とはいえ、個人情報を他者に預ける以上、消費者側が「どこまで」情報銀行側に運用を許すのか、消費者は自分の判断で決めなければなりません。そこで重要になってくるのが「PDS(Personal Data Store)」です。

PDSとは、個人が自らパーソナルデータを事業者に与えるかどうか管理できる素システムのことで、日々蓄積・管理されるデータを個人が第三者に提供する場合の制御を担当する役割を担います。蓄積されたデータの可視化・データを保管している環境の安全性・提供の範囲の自己決定がスムーズに行えるシステムを運用できるかどうかが、情報銀行のサービスを普及させる際の大きな課題となるでしょう。

企業側の活用方法

情報銀行に認定された会社は、具体的にはどのような形で個人情報の利活用を考えているのでしょうか。以下に、フェリカポケットマーケティングの例をもとに、データ取引市場における情報の流れと合わせて説明します。

2019年6月27日に発表されたニュースリリースによると、フェリカポケットマーケティングでは「地域振興プラットフォーム」の運営を目指しており、実際に活用を想定しているデータの種類を、活動データ・属性データの2つに絞っています。
活動データには、ウォーキングなどの運動・検診の受診などの健康増進活動・ボランティア活動・スポーツ・芸術・文化活動への参加・地元の商店や飲食店の利用などに関するデータが該当します。これに対して属性データは、年齢・性別・居住地域・趣味趣向などのデータが該当します。

個人情報の取り扱いについては、リリース内容を見る限り、本人の個人情報をだれが・どのように保有し、どう利用されているかの情報を閲覧でき、希望すれば利用者の意思で削除・修正ができると説明されています。情報提供に対するインセンティブも、今後何らかの形で提供する予定となっており、地元の店舗におけるクーポン・ポイントの発行といった形が想定されます。

今までの会社対個人におけるポイント制度は、あくまでも個々人と会社との間で完了する取引でした。これに対し、情報銀行を経由する場合は、情報の流動化が促進された結果、自分の知らないところで便宜が図られるという流れが生まれます。

もちろん、個人情報が提供されることで、企業の側も顧客のニーズに合致した商品・サービスを提供しやすくなります。企業も、戦略を立てるにあたり情報が多ければ多いほど、将来的な利益が見込めるというわけです。

出典元:https://itrenmei.jp/files/files20190626134621(1).pdf

まとめ

情報銀行により、個人情報が合法的に企業へと行き渡ることで、企業は個人に対し、よりきめ細やかなサービスを提供できるようになるでしょう。今後、情報を提供してもらえる企業とそうでない企業との間には、大きな差が生じるものと考えられます。
また、個人情報の流出・不正利用が発覚した段階で、その企業は圧倒的に不利な立場に立たされることになります。個人情報を提供するに値する高い信頼性と、商材・サービスの魅力を兼ね備えた企業だけが、情報銀行の恩恵を受けられることでしょう。

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