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宇宙データとSociety 5.0とは

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この記事では、マーケティング・車両等の自動運転など、宇宙データ(衛星データ)の活用を検討している事業者向けに、新たな宇宙ビジネスの動向を紹介しています。

日本政府が提唱する、狩猟、農耕、工業、情報につづくsociety5.0において、人類において物理的には未だ遠い存在となっている「宇宙」が、極めて重要なフィールドになっています。
「宇宙産業ビジョン2030」によると、2030年早期に、国内の宇宙産業の規模を現在の1.2兆円から倍増させる目標が掲げられています。

宇宙ビジネス市場において活発な分野の一つに「衛星サービス」があります。衛星を介して得られるデータは、アイデア次第で大きく活用でき、公的に重要な災害情報・都市計画といった用途に利用できるだけでなく、集客に関連する情報としても活用がなされています。

すでに経済産業省は、個人レベルでの利活用を進めるため、宇宙データプラットフォーム「Tellus」をリリースしています。
今回は、宇宙データの開放による衛星ビジネスの拡大加速・それに伴う社会の変化などについて考察します。

準天頂衛星「みちびき」が目指す、GPS・位置情報ビジネスの発展

GPSと聞くとアメリカのものを思い浮かべると思いますが、日本にも「日本版GPS」と呼ばれる、準天頂衛星「みちびき」が存在します。北海道で活用が進んでいる、トラクターの自動操舵などを実現したGPSガイダンスシステムも、みちびきによって活用が進んだ経緯があります。

北海道での農業は、広い圃場を少人数で管理するため、トラクター・ハーベスターなどの農機なくして経営が成り立たない農家が多く見られます。しかし、高齢化とともに農家の戸数・担い手の減少が進み、かつては畑だった土地が野ざらしになってしまった風景なども見られるようになりました。

そのような事情もあってか、全国の中でもGPSガイダンスシステムを欲している農家は北海道が圧倒的多数で、今後もよりニーズは高まっていくものと推察されます。みちびきは、いわゆるGPSではなく、GPSの情報を「補完」できる衛星です。そもそも、位置情報を把握するためには、4機以上の衛星によって測位する必要があるのですが、みちびきは他の衛星からも位置情報を取得できるため、より安定的な測位が可能となりました。

また、電離層による誤差を解消するための補強電波を送信する機能によって、誤差数センチという高い精度を実現しており、今後、新たなビジネスチャンスにつなげる企業等が増えるものと予想されます。

利用コストの低さを実現する「超小型衛星計画」

かつて、人工衛星を打ち上げることは巨大プロジェクトであり、莫大な費用がかかるものとされてきました。しかし、2019年現在においては、世界各国で1〜50Kgの超小型衛星の打ち上げが盛んに行われています。

超小型衛星計画とも呼ばれるこの傾向は、IoT衛星という新たな技術の登場により実現しました。地上・海上に置かれたセンサーが取得した情報を衛星で集め、地上の衛星基地局にまとめてデータを送信する仕組みで、大型衛星に比べてミクロな面での利活用が可能になります。

具体的には、商業施設の屋外駐車場に停まっている自動車の数から集客戦略を立てたり、農作物の出荷時期を予測したり、魚群の位置を把握したりするような用途が考えられます。衛星を作る予算も、大型のものに比べて2桁は安価になり、企業でも手が届く金額となります。

このように、衛星の超小型化がもたらすメリットは、国家単位での利活用だけでなく、企業・個人レベルでの打ち上げ・運用を実現してくれます。衛星1個あたりデータ量こそ、大型のものと比べて限定されますが、自分たちにとって必要な情報の収集には支障がなく、制限を受けることもないため、今後打ち上げは増加するものと想定されます。

光データ中継システム(JDRS)を開発するJAXAと、JAXAに頼れない民間企業のジレンマ

民間企業などが柔軟な研究・テストを続ける中、国家機関でも国際競争力強化に向けて研究が進んでいます。JAXA(宇宙航空研究開発機構)は、多様なユーザーが光データ中継サービスを利用可能にし、将来の超高速光通信を実現するために、光データ中継システム(JDRS)の開発に取り組んでいます。

このように、日本の技術を国際技術標準とするための研究を続けるJAXAですが、国家に比べて投資できる額に限りがある民間企業にとっては、必ずしも頼れる存在とは限らないようです。技術の進歩によって、超小型衛星の通信についてもスピードアップが期待されるものの、それ以前の問題も少なからず存在してます。

古くから日本の超小型衛星の開発・利用に関わってきた東京大学大学院工学系研究科の中須賀真一教授によると、JAXAは安全審査の厳格さ・膨大な書類作成などがネックとなり、結局のところ自由度の高いロシアのロケットに衛星を相乗りさせて打ち上げを行ってきたという現実があります。JAXAは国家機関であり、失敗が許されないという性質を持っているために、トライアンドエラーを是とするベンチャー企業とは相性が悪いのかもしれません。

まとめ

Society5.0の実現に向けて、宇宙データの利活用に向けた動きは、今後も続いていくものと考えられます。応用・発展が進めば、人間にはできないこと・人間の負担を減らすこと・人間が思いもよらないことなどを、より細かい部分で実現できるようになるでしょう。

しかし、一部の分野では、完璧な結果を要求されるあまり、ニーズに対応しきれていないという現状は否定できません。今後、国がより柔軟な姿勢を打ち出すことにより、民間企業による挑戦も増えるものと期待されます。

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