1. HOME
  2. 役立つ記事
  3. 法律解説!AIによる画像認識と個人情報保護法について
役立つ記事

法律解説!AIによる画像認識と個人情報保護法について

役立つ記事

この記事では、画像データを活用するIoT・AI技術者向けに、個人情報保護法に基づいた、個人情報の取り扱いに関するコンプライアンスに有益な情報をご紹介しています。

IoTの急速な普及に伴い、店内で撮影したカメラ画像につき、AI技術を用いてマーケティングに応用するといった施策が取り組まれるようになりました。
様々な機器によって人々の動きを解析し、産業や事業において個人データを利活用することが一般化してきているとも言えます。

一度取得された個人データは、ネットワーク化され、組み合わされることにより、単純なデータ以上の価値を生み出します。その反面、プライバシー保護の観点から見ると、生活している側としては、「利用目的が不明である」個人データが漏えいしているとも言える状況です。

そのため、個人データを活用する事業者としては、取得した画像データの「何が個人情報にあたるのか」という点を理解しておく必要があります。
この点について、経済産業省・総務省では「カメラ画像利活用ガイドブック」を公表しています。このガイドラインに基づき、個人情報の判断基準などについて解説します。

個人情報となる情報

事業者がカメラ画像を取得し、そこに写る顔などの情報で特定の個人と認識できるものと判断されれば、それは「個人情報」となります。また、画像から特定の個人を識別するため、特徴を電子計算機(コンピュータ)で用いるために変換した符号(コード等)は、「個人識別符号」に該当します。
さらに、それらの符号によって特定の個人情報が電子計算機によって検索できるよう、体系的に構成した個人情報を含む集合体は、「個人情報データベース等」となります。この段階で、カメラ画像も含むデータは「個人データ」という扱いになり、事業者が開示等の権限を有し、6ヶ月を超えて保有する個人情報は「保有個人データ」に該当します。

これらを踏まえた上で、データをどう利活用するかによって、個人情報とする範囲に違いが生まれることを知る必要があります。

合わせて読みたい!AI画像認識を活用した通行量・交通量調査とは
通行量・交通量調査システムより、高い精度で車両のカウントを行うことに加え、ナンバーの認識や車種の検知、進行方向も検知することが可能になります。その手法や導入事例をご紹介します。
→導入事例を読む

想定される適用ケース

事業者が、顔等が判別できる状況で取得された画像を利活用する場合、そのまま使うことはなく、別の形式データとして置き換えられることがほとんどです。画像自体をそのまま使うことは稀で、多くの場合はその画像を機械で読み取れる状態に置換し、分析等を行うことになります。

事業者のユースケースにおいて、個人情報に該当するケースをまとめると、概ね以下のようになります。

特徴量データ
取得画像データから、人物の特徴(目・鼻・口の位置関係等)を抽出後、それを数値化したデータを指します。こちらは個人の識別が可能な情報であるため、個人情報に該当します。

リピート分析で取り扱う情報
特徴量データを利用目的に応じて一定期間保管し、動線データ・属性情報・購買履歴等を紐づけ、一人の人間の行動履歴として保存した場合、その特徴量データと紐づいた情報の全てが個人情報となります。

原則個人情報とはならないが、取り扱いに注意が必要なもの
原則として、単体では個人情報と判定されないものの、何らかの形で他のデータと紐づいている場合は個人情報と判断される情報もあります。

■「属性情報」
画像データから機械処理により「推定」した、年代・性別等の情報は、それだけで特定の個人を判別できないため、原則として個人情報ではありません。しかし、その情報がある特徴量データと紐づけられている場合は、特徴量データと同様の扱いとなることに注意が必要です。

■「動線データ」
カメラ画像に写った人物の行動の流れを示すデータを「動線データ」といいます。これは、該当する人物が「いつ・どこで・何をしていたか」を示す、座標値を時系列に蓄積して生成されるデータです。こちらも、取得の都度特徴量データを破棄し、生成される動線データと特徴量データを紐づけて管理しない限り、個人情報とはなりません。しかし、特徴量データに対応する動線データを紐づけた後、それを個人の行動履歴として保存すると、それは個人情報となります。

このように、それ単体では個人情報とならないものでも、何らかのデータと組み合わさることで、個人情報に代わってしまうものもありますから、十分注意が必要です。

生活者に対する配慮の方法

データの取得に関して、あらかじめ国民全員に事業者が告知するのは現実的ではありません。そこで、経済産業省・総務省は、必要に応じて運営主体への問い合わせができるよう、必要な情報を通知するための資料として「カメラ画像利活用ガイドブック 事前告知・通知に関する参考事例集」を公表しました。

事例集では、事前告知・通知につき、事業者名を伏せた形で以下の観点から実例が紹介されています。

  • 事前告知・通知する内容として、どのようなものが適切なのか
  • 物理的な方法で実施する場合、どのような場所にポスター掲示などをするとよいのか
  • 電子的な方法で実施する場合、どのようにWebサイト等を活用するとよいのか

実例を見ると、通知内容については「イラストの活用」や「多言語化」への配慮、ポスター掲示については「撮影カメラの設置箇所・撮影箇所周辺の生活者の目につきやすい場所」への掲示例などが、写真付きで紹介されています。

共通しているのは、生活者が見つけやすい・読みやすい場所に通知することで、その点を押さえつつ事前通知を心がける必要があると言えそうです。

まとめ

個人情報と一口に言っても、画像データも含む数多くのデータの中から考えると、該当するものは限定的です。しかし、何らかの目的を果たすために異なるデータ同士を紐づけることにより、個人情報と化すケースもあることから、現段階で保有しているデータが個人情報かどうか、判別する基準を理解しておかなければなりません。

社内での情報管理だけでなく、生活者に最大限配慮した事前告知・通知も必要です。画像データの利活用時は、特に社外への配慮が求められると言えるでしょう。

ウィズコロナ時代に必要となる、便利で安心な駅のためのデジタルサイネージシステムとは

ウィズコロナ時代に向けて駅係員と駅利用者の接触機会を減らしたいというニーズに加え、駅係員の不足による業務効率化の必要性も加わり、デジタルサイネージを活用した駅案内業務の省人化が進んでいます。そこで、活躍が期待されるのが駅の案内業務効率化を実現するWill Smartの鉄道向けデジタルサイネージシステムです。運行情報を多言語配信したい、災害時には災害情報を自動配信したい、広告運用で運用費を抑えたい、表示をスマホで切り替えられるようにしたい、無人駅で駅係員の代わりとする、など効率と効果を高めます。その手法や導入事例をご紹介します。
→導入事例を読む

本サイトを運営しております株式会社WillSmartは事業立ち上げから企画・ソフト、ハードを組み合わせたソリューションの開発・運用サポートを提供しております。課題解決型AIやカーシェアリングシステム、非接触型サイネージの様々な事例などをご紹介しています。

事例を見る

メルマガでは、定期的(月に2度)にコンテンツの更新状況をお伝えする予定です。ご興味のある方は以下よりご登録ください。

メルマガ登録