
スナック横丁の実践と、地方・インバウンドへの広がり
スナック横丁の実践と、地方・インバウンドへの広がり
| 第6回も引き続き、オンラインスナック横丁文化株式会社 代表取締役・五十嵐真由子さん。 後編では、実際にスナック横丁が関わってきた地域での取り組みや、インバウンドとの接点について深掘りします。 都市部では、ラグジュアリーホテルに滞在する外国人富裕層が、あえて日本人しかいないスナックで地元の人との酒席を楽しむケースも増えています。 こうした事例から見えてくるのは、ナイトタイムが観光資源であり、街の「文化的資産」になり得るということ。移動との関係性も交えながら、ナイトタイムが街にもたらす可能性を考えます。 ▶︎前編:ナイトタイム×街づくりの可能性 |
- 番組名
- 『まちと移動のミライコラボ』全文書き起こし
- 放送日
- 2026年2月15日
- ゲスト
- 五十嵐真由子 氏(オンラインスナック横丁文化株式会社 代表取締役)
目次
【オープニング】
石井: まちと移動のミライコラボ。Will Smartと街づくりのプロが描く日本のこれからです。よろしくお願いします。
この番組では移動と街づくりをキーワードに、日本の移動インフラや都市のあり方がこれからどう変わっていくのかを、第一線で取り組まれている方々と一緒に考えていきます。私、石井はWill Smartという会社で、交通、モビリティ、デジタルの力を使いながら、駅やバスターミナル、地域交通、観光モビリティなど、移動を起点に街を元気にする取り組みを全国に進めています。
この番組は、そうした現場のリアルとこれからの未来をつなぐ対話の場として立ち上げました。今日はその中でも「街」、特に「夜」にフォーカスしたお話を伺いたいと思います。この番組はWill Smartの提供でお送りします。
石井: 前回に引き続き、オンラインスナック横丁文化株式会社 代表の五十嵐真由子さんをお迎えしています。今週もよろしくお願いします。
五十嵐: よろしくお願いします。
【外国人スナックツアーという実例】
石井: 前回、スナックに興味を持ったきっかけから、スナックの活動を通じた地方の活性化、またそこにインバウンドの方がたくさん訪れているという、まさに今動いている実態についてお話を伺いましたが、今回はより具体的なお話、取り組みの内容を伺いたいと思っております。まず「外国人スナックツアー」ということについて、改めてどういうサービス、仕組みなのか、このあたりを教えていただけますか?
五十嵐: はい。外国人スナックツアーは、今全国10都道府県、20箇所で開催されているんです。実際にその土地に住んでいらっしゃる方で、英語ができる方とか中国語ができる方っていらっしゃると思うんですけど、かつ「スナック好き」というのがポイントなんです。
石井: そういう方いらっしゃるんですね。
五十嵐: いるんですよ。このスナックネットワークって本当にすごくて。その方たちを「スナックガイド」という風に呼称してまして、そのガイドを私たちが教育していく。実際にガイドをする中で、単にスナック2軒をはしごするとかではなく、このスナックが存在している街や、横丁、ここをしっかりまず知っていただくという仕掛けのもと、私たちは「紙芝居」をいつも手に持っていまして。
石井: 紙芝居!ほう。
五十嵐: 例えば熱海だったら熱海という街は、実は温泉街なんだけれど、夜も非常に銀座と呼ばれているように華やかですよといった、街のクイズを何問か出して。
石井: 事前に街の豆知識をまず得ていただいて、その街ということを知ってもらった上で訪れてもらうということですね。
五十嵐: おっしゃる通りです。2時間半のツアーというのは一つの劇であって、劇の主人公は参加者なので、参加者の方たちが劇の中心としてどんどん輪に入っていってもらうということですね。
【地方での具体的な取り組み】
石井: 今10都道府県というお話ありましたけど、具体的に、名前が挙げられるところとして、どんな地域でやってらっしゃるんですか?
五十嵐: 北は北海道から南は宮崎まで。今、最近立ち上がったところで言うと、昨年は新潟にある湯沢町。駅で言うと越後湯沢という場所ですね。ここはフジロックフェスティバルとか夏は非常にお客さんが訪れますし、あとはスキーですね。スキー人口非常に多いと思うのですが、その合間の部分においては、観光資源的なもので来る人たちを誘引するコンテンツがないという。
石井: ある意味強すぎるコンテンツを持っているがゆえの課題があるということですね。
五十嵐: そうです。でもしっかりホテルもあるし、もっと夜の街の賑わいが出れば、東京から新幹線で60分ですから。そういった場所でもっと夜を発展させることによって、また違った観光資源というのを生み出すことができるのではないかと。相談、協業のもと、湯沢町の皆さんと、あとは実際に料理、旅館組合の皆さんと一緒に、湯沢町の一つのナイトタイムコンテンツを作るというところから始めました。
もちろんツアーだけではなくて、実は私たちが大事にしているのは、その街ならではの資産。例えば湯沢町で言うと、秋は山に登るとダイナミックな紅葉が見えるとか、あとは街のいたるところに足湯があるんですね。この足湯とかスキー場の山頂の場所に、あえてイベント的にポップアップ的に「スナック」を作って。
石井: 山頂にスナックができるんですか!
五十嵐: そうです、そうです。「天空スナック」と。この天空スナックに立っていただくママはもちろん、その商店街でスナックを営まれているママに天空スナック立っていただいて。
石井: そこに出張されるわけですね。
五十嵐: そうです、そうです。ロープウェイで登ってきたお客さんをダイナミックな景色と共にお酒飲んで、で、実は私、麓でこういうスナックやってるから夜遊びに来てね、という接点を。まずはそのママたちをしっかり認識していただくとか、夜に出ていくきっかけ、理由がお客さんに生まれますから、そこでファンになっていただく。
石井: その湯沢町以外もそういった自治体さんが増えているということですか?
五十嵐: 今お問い合わせいただいていて、昨年12月は熱海がスナックツアーと先ほどのようなポップアップイベントというのが始まってます。
【行政・企業との連携】
石井: 一方で、企業さんとの連携というケースも増えているということで伺っているんですけど、そちらもいくつか事例教えていただけますでしょうか?
五十嵐: ありがとうございます。今特に多いのがディベロッパーさんですね。街づくりをまさにやっていらっしゃる「なんとか不動産」とか。そういったところのお問い合わせの中で、非常に私たちに対して期待をいただいている部分が何かというと、やはり「ハード」の面は皆さんしっかりやられていると思うんです。色々な都市部で本当に再開発が広がっています。ハードは作ったけれど、やはりそこで人が滞留し、そのファン、その街、もしくはその建物のファンになってくれる、そのきっかけみたいなものがなかなか見つからない。そこに白羽の矢が立ったのがスナックのママなんです。
石井: ほう。
五十嵐: スナックのママっていうのは、実は私たち企業向けに「オフィススナック」とか、様々なスナックのママが出張してオフィスのコミュニケーションを活性化するとか、ママのトーク力とかファシリテーション力で様々な仕掛けにトライしてます。同じように建物の中にスナックのママが、例えば47都道府県色々なママが日替わりで立っていくということがもし実現するならば、そこは訪れる人からすると、毎日色々な地域のママとお酒を飲みながらそこでファンになって。
五十嵐: で、そこのママと話したことによって、もしファンになってくれたら、先ほどの越後湯沢じゃないですけれど「今度はママのお店に遊びに行くよ」と。
石井: やっぱりそうなってきますよね。
五十嵐: なってきます。そういう意味合いで、その一つの建物の中にただ単にママがずっと常駐するんじゃなく、しっかり自分がいる拠点とつなぐ「ハブ」の役割として、非常に街にとっても有益ですし、あとは建物を運用する実際のディベロッパーさんにとっても魅力的なファンづくりの一つの仕掛けになると。そこが今、街づくりの新たな一つのコンテンツとして注目いただいています。
石井: 面白いですね。これまでは本当に都市部でマルシェみたいなものがあって、農業生産やってらっしゃる方、またはお酒作ってる方がブースを作ってというのはよく見ましたけど。それではなくてスナックのママが立つ。そしてまた新しい観点での地域との結びつきをそこで創出するということですか。面白いですね。
【移動があるから夜がひらく】
石井: 一方で、ちょっと課題感の話について触れたいなと思います。私たちWill Smartがやっている仕事、「移動」というのは非常に重要なテーマなんですけど。やはり地方で、夜でということになると、やはり今現実に起きている問題としては、タクシーの運転手さん不足というのは非常に大きな問題になってきていて。
石井: 例えば旅行者の方、インバウンドの方でもいいんですけど、地方部に来ました、スナックに行きました、帰りの足がありませんという事って現実に起きていて。それが地方の夜の経済活性において壁になっている部分があるかと思うんですけど、そういった部分についてご自身の考え方であったり、例えばこんな方法があればより解決につながるんじゃないかといった観点についてお話しいただいてもよろしいですか?
五十嵐: 本当に地方に行けば行くほど、大体繁華街は駅から近いところ、徒歩15分ぐらいのところにあったりするというのがパターンなんですけれど。奥地に行くとですね、もうスナック行くのに徒歩で75分ぐらいとかってGoogleマップに出てきちゃう。
石井: たまらないですよね。知らないところで75分歩けないですよね。
五十嵐: 75分は怖くて歩けないような山中だったりするので、いいスナックとか密集地域がありながらそこを生かせない。それは理由として、そこに移動する手段がないからというのは非常に難しいところですし、もっとここで街の人たちが協力して、本当に行政が一つ、住民による乗り合いできるような形でのシェア的な移動手段があったらですね、ここにもっと参入できるようなナイトコンテンツ作れる機会というのは広がるんだろうなと思っていて、ここは本当にセットで考えるべき課題だなという風には思っています。
石井: やはりそうですよね。今法律の改正等もあって「公共ライドシェア」って自治体さんが主になって、一種免許の方でもケースによっては(有償で)お客さんを乗せることができるというような仕組みがあったりするんですが。やはりそれも住民の方の昼間の移動だけではなくて、その街を訪れた方の夜の移動のところまで範囲を広げてもらうようなことがあれば、もっと地域にお金が落ちて、新しい仕事が創出されてという機会もあるかもしれないので、そういったところを取り組んでいく必要があるということでしょうね。
五十嵐: 行きたい場所があるのに行けないという、ここってもったいない状態になるので、そこに行政が気づけばもっと便利な移動ができる、そういう気づきって重要ですよね。
石井: まして特にインバウンドの方でしたら「事前予約制」のツアーですよね。であれば、一定程度スタート時間と終わりの時間が分かっているということなので、同じように乗り物も予約できるような仕組みであれば、技術的にはさほど難しい話ではないんですよね。
五十嵐: ぜひそこはWill Smartさんやっていただきたいところで。また、志がある自治体さんとそこは連携しながら「夜×移動」の取り組みを自治体さんとやってみたいですよね。
【クロージング】
石井: 2回にわたりまして、スナック横丁の活動を通じて、ナイトタイム、地方の夜にはたくさんのポテンシャルがあるということが非常によくわかる内容でございました。夜に人が集まって会話が生まれることで、街はもう一度自分らしさを取り戻していくのかもしれません。これからもスナ女の五十嵐さんの活動、非常に楽しみにしておりますので、ぜひ頑張ってください。本日はありがとうございました。
五十嵐: ありがとうございました。
石井: 最後にお知らせですが、今回の放送はradiko、当社YouTubeでご視聴いただけます。そちらもチェックしてください。この番組はWill Smartの提供でお送りしました。











