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ラジオ:まちと移動のミライコラボ

新宿再開発と日本の都市の未来~多世代に優しい街づくり~

新宿再開発と日本の都市の未来~多世代に優しい街づくり~

 

第8回のゲストは、前回に引き続き、京王電鉄株式会社 代表取締役会長・紅村 康さん。 今回は、現在進行中である新宿エリアの巨大再開発プロジェクト「新宿グランドターミナル」の全貌と、京王グループが目指す2030年に向けた街づくりのビジョンを深掘りします。 世界最大級のターミナル駅・新宿が、周辺エリアとの競争の中でいかに進化しようとしているのか。鉄道事業者、ディベロッパー、そして街に寄り添う一企業としての想いと、具体的な開発計画について詳しくお話を伺います。

▶︎前編:京王電鉄の街づくりと新宿の物語 ~その先にある想い~


番組名
『まちと移動のミライコラボ』全文書き起こし
放送日
2026年3月1日
ゲスト
紅村 康 氏(京王電鉄株式会社 代表取締役会長)

【オープニング】

石井: ラジオ大阪、まちと移動のミライコラボ。Will Smartと街づくりのプロが描く日本のこれからです。よろしくお願いします。この番組では、移動と街づくりをキーワードに、日本の移動インフラや都市のあり方がこれからどう変わっていくのかを、第一線で取り組まれている方々と一緒に考えていきます。 本日のゲストは、鉄道事業はもちろん、バス、ホテル、そして大型の都市開発プロジェクトにも携わっている、日本を代表する民鉄グループの経営トップです。京王電鉄株式会社 代表取締役会長、紅村 康さんをお迎えしています。紅村さん、よろしくお願いします。

紅村: よろしくお願いいたします。

【新宿再開発プロジェクトの概要】

石井: 前回は、紅村さんのキャリアや京王グループの街づくりの歩みについて伺いました。その中で大きなテーマとなってくるのが「新宿」というキーワードだと思います。今、新宿では大規模な再開発が計画され、進行しつつあります。 このプロジェクトは京王電鉄さんだけでなく、JR東日本さん、小田急電鉄さん、また国や行政も交えた複数の事業者が連携して進めているとのことですが、まずはその概要について教えていただけますか?

紅村: 新宿は、交通の結節点としても世界一のターミナルであり、商業集積としても日本一の売り上げを誇る街です。一方で近年、都内では品川、丸の内、大手町、さらには渋谷、六本木、虎ノ門などで大規模な開発が着実に進んでいます。 こうした状況を見ると、新宿エリアの相対的な地位の低下が懸念されます。そうした問題意識から、今回の再開発はスタートしました。

石井: 複数の事業者が関わる大きなプロジェクトですが、足並みを揃えるのは大変ではないでしょうか。

紅村: 他社さんも同様だと思いますが、当社も新宿をどう手入れしていくかは以前から検討していました。足並みを揃え始めたのは2010年代に入ってからです。東京都や新宿区、複数の鉄道事業者が勉強会を始め、2017年には学識経験者や国土交通省も参加する「新宿拠点再整備検討委員会」が立ち上がりました。 ここでは「駅と広場の基盤を一体的に整備する」「歩行者空間を創出する」「国際競争力の強化に資する機能を導入する」といった方向性を定め、現在は「新宿グランドターミナル」の再編として動いています。

【京王グループの具体的な取り組みとビジョン】

石井: 国際的なシンボルとしての新宿を目指す中で、具体的にはどのような施設や仕組みが導入されるのでしょうか。

紅村: 西口の北側では小田急電鉄さんと東京建物さん、東京メトロさんが超高層ビルを建てる「新宿駅西口地区開発」を進めています。そして駅西口の中央寄り、現在の京王百貨店がある場所から甲州街道を渡った南側までの2つの地区については、JR東日本さんと当社で「新宿駅西南口地区開発計画」を進めています。 それぞれのプロジェクトが並行して動きますが、回遊性を高めるための空中通路や、JRさんが中心となる地上2階の東西自由通路の整備など、一体的な利便性の向上を目指しています。

石井: 京王グループとしても、2030年に向けた経営計画「ひらく2030」を掲げておられますね。この再開発をどう成功に繋げたいとお考えですか?

紅村: 今回の再開発では、まず交通の利便性向上にこだわりたいと考えています。新宿西口はこれまで、各開発事業者がバラバラに整備してきたため、地面の高さが場所によって異なっていました。これらを整理し、交通の流動性を良くすることが一つの目的です。 また、京王百貨店も開店から60年が経過しているため、この建て替えをスムーズに行いたいという想いもあります。グランドターミナル構想は極めて大規模で、当社とJRさんの分だけでも投資額は3,000億円、全体では1兆円を超える規模になるかもしれません。

【多世代に優しい未来の街づくりへの想い】

石井: まさに巨大なプロジェクトですね。将来の社会環境を見据えた際、どのような街づくりを目指されているのでしょうか。

紅村: 未来の街づくり、あるいはWill Smartさんの分野である移動の変革を具体化していく必要があると感じています。例えば歩車分離を徹底し、多様な人々がくつろいで滞在できる空間の創出です。 以前、調布駅を地下化して地上に広場を設けた開発を行いましたが、そこは現在、滞在型の街として地元からも高く評価されています。こうした成功体験を新宿でもさらに発展させていきたいですね。

石井: 最後に、紅村さん個人として「街づくり」や「移動」において大切にされていることをお聞かせください。

紅村: 多くの人に気に入ってもらえる街とは、多様な施設や自然が整然と配置されているだけでなく、ある意味で「雑然」とした、変化に富んだ要素が混在していることも大事ではないかと思っています。 何度来ても飽きない賑わいがありつつ、ゆっくりくつろげる安らぎもある。そんな風に思ってもらえる場所に人が集まり、そこから新しい営みが始まっていく。過去の良いものを残しながら、新しいものを組み合わせていく、そんな街の風景を思い描いています。

石井: 今回は新宿の歴史から、未来の巨大プロジェクトに込めた想いまで、大変貴重なお話を伺いました。本日はありがとうございました。

紅村: ありがとうございました。

石井: 今回の放送はradiko、当社YouTubeでご視聴いただけます。そちらもチェックしてください。この番組はWill Smartの提供でお送りしました。