1. HOME
  2. ラジオ:まちと移動のミライコラボ
  3. 青い森鉄道の将来ビジョン〜地域と歩む持続可能な鉄道経営〜
ラジオ:まちと移動のミライコラボ

青い森鉄道の将来ビジョン〜地域と歩む持続可能な鉄道経営〜

青い森鉄道の将来ビジョン〜地域と歩む持続可能な鉄道経営〜

 

第11回のゲストは、前回に引き続き、青い森鉄道株式会社 代表取締役社長・東 直樹さんをお迎えします。

今回は、青い森鉄道が描くこれからの姿について深掘りします。人口減少社会において、鉄道会社が「安全」を大前提に、いかにして鉄道以外の分野で新たな価値を創造していくのか。

地域と連携した「貸切列車」の活用や、若者を惹きつける「マンガ」プロジェクト、さらにはデジタル技術を導入した業務の効率化まで。地域に根ざした鉄道会社が、未来に向けてどのような変革を遂げようとしているのか、その挑戦についてお話を伺います。

▶︎前編:地域鉄道の使命と挑戦〜並行在来線の未来を拓く〜


番組名
『まちと移動のミライコラボ』全文書き起こし
放送日
2026年3月22日
ゲスト
東 直樹 氏(青い森鉄道株式会社 代表取締役社長)

【オープニング】

石井: ラジオ大阪「まちと移動のミライコラボ ~Will Smartと街づくりのプロが描く日本のこれから~」です。よろしくお願いします。この番組では、移動と街づくりをキーワードに、日本の移動インフラや都市のあり方がこれからどう変わっていくのかを、第一線で取り組まれている方々と一緒に考えていきます。

本日のゲストは、東北新幹線の延伸に伴う並行在来線として、青森県の交通を支え続けてこられた、青い森鉄道の社長です。本番組はWill Smartの提供でお送りします。

石井: 前回に引き続き、青い森鉄道株式会社 代表取締役社長、東 直樹さんをお迎えしています。前回は、青い森鉄道が向き合っている課題や、観光を通じた新しい取り組みについて伺いましたが。こうした現実の中で、東さんが描くこれからの青い森鉄道はどんな姿なのか。そういった観点で、これからお話を伺っていきたいと思います。

【安全輸送の第一と地域外からの誘客戦略】

石井: 前回の最後に「観光」というテーマでお話を伺いましたが、観光だけでなく、今後、青い森鉄道はどうなっていくのか。将来についてのお話をまずは伺いたいと思います。

: まず、やはり一番大事なのは「安全に運行を継続する」ということです。これが最も大切だと考えております。ですので、経営の最優先課題は安全であるということを、色々な場面で社員に向けて話をしています。その上で、やはり将来的に人口が減っていくので、県外、あるいは海外から人を呼び込んでいく。そのための魅力を創造し、発信していくことが大事だと思っています。

石井: なるほど。

: それと、首都圏の鉄道会社が当然のようにやっていますが、鉄道事業以外の収入源を増やす必要があると考えております。

【鉄道の枠を超えた挑戦〜貸切列車とマンガプロジェクト〜】

石井: 地域連携の中で、今まさに取り組んでいる、あるいは今後やっていきたいという未来の計画としては、どんなものがありますか。

: 一つは鉄道事業に関して。例えば三沢市にあります星野リゾートさんが、毎年冬に「酒のあで雪見列車」を運行されています。これは星野リゾートさん自体が仕立てて運行しているのですが、やはり「貸切列車」というところを、もう少し工夫していきたいなと思っています。

石井: 貸切列車ですね。

: 例えば、広島電鉄さんなどの他の地方鉄道でも、夏場に「ビール列車」や「鈴虫列車」など、色々と工夫されていると思います。残念ながら弊社の場合は、これまでそこまで力を入れることができなかったので。今後は鉄道事業において、そうした取り組みを強化していこうと考えています。

石井: 貸切列車の企画によっては、インバウンドの方にもズバリ刺さる企画があると思いますので、非常に楽しみですよね。また、地域連携の中では、地元の飲食店や商店、あるいはスポーツチームとの連携なども今後深めていきたいと伺っていますが、そのあたりはいかがでしょうか。

: 青森県内にプロチームがいくつかありまして、今年度からも始めていますが、例えばバスケットボールチームとのコラボや、サッカーチームとのコラボ。あと青森ならではのアイスホッケーチームもありますので、そうしたプロチームと連携して、広告の面や輸送の面で一緒にやっていきたいと、今話をしているところです。

石井: 非鉄道事業という点では、具体的にどのような分野に興味を持たれていますか。

: 今、検討中なのですが、「マンガ」という切り口で、沿線の観光地だけでなくレストランなども紹介していこうかなと考えています。なぜマンガかと言いますと、やはりマンガという切り口の方が分かりやすいですし、高校生がたくさん乗る列車ですので、意外と相性が良いのではないかということで。

石井: 敢えて自分たちで「聖地」を作ってしまうということですね。面白いですね。需要を創造していくということですね。

【デジタル変革による利便性向上と情報発信の強化】

石井: 新しいお客さまを呼び込むとなると、やはり切っても切り離せないのが「デジタル」かと思います。こうした地域とのつながりや新しい事業を創造していく中でのデジタルについて、社長ご自身はどのような活用ができると考えていらっしゃいますか。

: デジタルまで行かないかもしれませんが、意外と鉄道の世界はアナログがメインの世界なんです。それを少しでもITを使って、DXとは言わないまでもやっていった方が良いと思うものがたくさんあります。

: 例えば、外部からの問い合わせ。これまでは全て一本一本、社員がそのまま電話を受けて対応していましたが、そこをダイヤルシステムを使い、駅と共同で行うことで、本社の業務量がだいぶ軽減されました。あとは「落とし物の管理」や探す手間暇も、ソフトを使ってやっていこうと考えています。

石井: デジタルツールを活用すると、利用者にとっての利便性が上がることはもちろんですが、働く人たちの生産性向上、極端な言い方をすれば置き換えることができる仕事もたくさんありますよね。効率化できた人的なリソースや時間を、安全や企画を考える時間に充ててもらう。そのためのデジタルは非常に大事ですよね。

: 大事だと思います。あとは、インバウンドの方への情報発信もデジタルなくしては難しいです。10年くらい前は「将来は誰も紙のパンフレットは見ません、全部スマホに情報を載せないと意味をなしません」と言われて、「そうなのかな」と思っていましたが、今はまさしくそうです。会社の時刻表などもスマホで見られないと、誰も利用してくれません。

石井: インバウンドの方でしたら、スマホのGoogleマップなどで何時何分にどこへ行けるか調べますから、そこに情報提供していなければ、そもそも存在を知ってもらえない時代になっていますよね。

: 先ほどの大雪の話もそうですが、JRも列車が止まって、皆さんどうしたかと言うと、Googleマップなどで検索して遅れないように行く。デジタルやスマホの力はすごいなと思いますね。行きたい場所があるのに行けないというもったいない状態を、交通手段がGoogleマップでも可視化されるようにしていくことは非常に重要です。

石井: 3回にわたりまして、青い森鉄道の現状とこれからのお話を伺いました。少子高齢化、人口減少の中で、いかに移動の価値を高めていくか、そんな非常に興味深いお話を伺えました。東さん、本日は貴重なお話をいただき誠にありがとうございました。

: ありがとうございました。

石井: 最後にお知らせですが、今回の放送はradiko、当社YouTubeでご視聴いただけます。ぜひチェックしてください。この番組はWill Smartの提供でお送りしました。