
生活観光と移動の未来〜小湊鉄道が描く地域共生のかたち〜
生活観光と移動の未来〜小湊鉄道が描く地域共生のかたち〜
| 第13回のゲストは、前回に引き続き小湊鉄道株式会社 代表取締役社長・石川 晋平さん。 バス・鉄道・タクシーまで一体で地域の移動課題を解決する「移動課題解決部」の取り組み、インスタグラムでバズった「夜キハ列車」に代表される生活観光の発想、そして人口減少社会に交通事業者としてどう向き合うか。小湊鉄道グループが描く未来のビジョンに迫ります。 |
▶︎前編:房総ローカル線に“攻めの一歩” 〜小湊鉄道社長が挑む学生応援と地域共創〜
- 番組名
- 『まちと移動のミライコラボ』全文書き起こし
- 放送日
- 2026年4月5日
- ゲスト
- 石川 晋平 氏(小湊鉄道株式会社 代表取締役社長)
目次
【オープニング】
石井:ラジオ大阪「まちと移動のミライコラボ〜Will Smartと街づくりのプロが描く日本のこれから〜」。先週に引き続き、小湊鉄道株式会社代表取締役社長、石川晋平さんに今週もお越しいただいております。今週もよろしくお願いいたします。
石川:よろしくお願いします。ありがとうございます。
石井:前回は、今月(3月)15日からスタートした学生専用全線年間パスポートのお話、また寄付の仕組みについてお話をいただきましたが、今週は少し未来の話を伺いたいと思っています。小湊鉄道グループさんは鉄道だけでなくバス、タクシーといった様々な事業を展開されていますが、これから先どういった取り組みをしていかれたいのか、将来のビジョンについてまずお話を伺いたいと思います。
【バスから鉄道まで一体で考える〜「移動課題解決部」が描くグループの未来〜】
石川:そうですね。今、私どもでは交通がメインで、規模的に大きいのはバス事業、タクシー事業、鉄道事業という形でやっております。2年前から「移動課題解決部」という部門を作りまして。
石井:移動課題解決部。
石川:今まで、私どものような会社でも、どうしてもバスはバス、鉄道は鉄道、タクシーはタクシーと縦割りになりがちなのですが、今まで計画を作っていたチームを「移動課題解決部」という名前に変えまして、これからはバスだけでなくタクシーや鉄道も使って、地域の方の移動の課題を解決していくのが我々の役割ですから、すぐできなくてもそちらに向かってやっていこうと、こういうことでそういう名前にしました。
例えば最近では、地域の方とともに話し合って解決を図っていこうという取り組みを始めています。今まで赤字の路線はやめるか便数を減らすしかありませんでしたが、そうなったとしてもその過程でもっと地域の方や行政ときちんと話し合おうと。データも自分たちの考えも全部オープンにしようということで、「オープンシー」という取り組みでオープンシーブックも作って進めています。バスでできなければタクシーでやってみようかということも含めて、どのモードが一番その課題にはまるかを考えながら今進めているところです。
石井:縦割りを超えて、交通手段の組み合わせで地域の課題を解決していくということですね。
石川:そうです。創業の時から「近くの人を喜ばせたい」というのが会社の思いでして、今も会社の仲間と共有しています。鉄道沿線の地域の困り事を解決することに交通は黒子として役立って、最終的には家族がその土地で楽しく暮らせる、そのお子さんも、お孫さんも、という状況が続いていければ、お互いに大好きな地元でありつづけるというのが一番いい姿だなと思っています。そちらに向かうようなことを、会社の皆でオープンにしながらやっていきたいと思っています。
【夜キハ列車がインスタでバズった〜「生活観光」が生む地域と都市の新しいつながり〜】
石井:日常生活の中でなくてはならない交通という位置付けの一方で、観光の観点から外から来ていただくということもあるかと思いますが、観光への取り組みについてはどのようなお考えですか?
石川:鉄道事業では、「夜キハ運転」という商品がキャンセル待ち状態です。
石井:それは大人気ですね。
石川:去年の夏から大人気で、簡単に言うと酒飲み列車。生ビール飲み放題で、千葉には地酒がたくさんあるのですが、あまり知られていないんですよね。小さな作り酒屋が沢山ありまして、6銘柄ほどのお酒飲み放題、地元料理のお弁当も積んでという企画列車ですが、これがInstagramで若い女性にバズりまして。
石井:それは勝手にバズってくれたのですか。
石川:他力ですが(笑)。東京・横浜から20代・30代の女性がたくさん来るという、今までにはない現象が起きています。上総牛久の地元の商店街の方々も、肉屋が唐揚げやコロッケを出したり、和菓子屋が和菓子を用意して待っていて、そこでいろんな会話が生まれているのです。
石井:地元の方も一緒に盛り上がっているのですね。
石川:東京の刺激の楽しさはすごくある。でも片側では疲れるということもあると思うんですよ。そこから1時間来ると真逆の場所があって、すごくほっとされているようで。皆さん、初めて来るのに「懐かしい」って言うのですよ。
石井:初めての場所なのに懐かしいというのは興味深いですね。
石川:体が望んでいるというか、そういうのがあるのかなと思っていて。あまりきらびやかで派手なことはないのですが、「生活観光」というか、地元の人がいつも使っているものを少しアレンジして楽しんでいただけるようにできると、お互いにいいのかなと。地域の持ち味で他の地域の方が喜んでくれれば、こちらも無理する必要がないし、長続きさせていきたいなと。
石井:都心から近い場所だからこそ、気軽に来られて、かつ日常の延長線上にない体験ができるというのが強みになるんですね。
【人口減少と向き合う小湊鉄道の覚悟〜安全投資と地域共創が描く未来〜】
石井:これからの小湊鉄道を取り巻く環境はどうなっていくか、そしてそれに対して会社としてどのように適応していくのか、将来のビジョンについて伺いたいと思います。
石川:まず一番大切にしなければいけないのは安全ということでして、鉄道もバスもタクシーも安全投資をきちんとしていかなければいけない。ハードもソフトも含めてやっていかなければいけないというのが大前提にあります。
その上で、房総半島は千葉県全体の人口は微増なのですが、房総半島の下の方に行けば行くほど人口減が激しいです。特に若い人が急激に減っていて、うちの鉄道沿線と同じような状況でして、これは交通だけでなく様々な問題につながっていく大きな社会問題だと思っています。我々でできることは限られていますが、その課題を地域のそれぞれのプレイヤーの方と、行政も含めて共有・連携してやっていくということかなと思っています。
その一つのチャレンジが学生の年間パスポートです。地域から引っ越していくことを考える家族がそういう話をする理由を一つ一つ解消していかないといけないなと思っていて。自分の生まれた土地が好きな人はやっぱり多いです、話していると。そういうところを離れなくてもいい状況をどうやって作れるかというのが、我々は交通屋としてできることをやっていくということかなと思っています。
石井:まさに交通事業者だからこそ見えている課題と、できることがあるのですね。最後に、このラジオをお聞きの皆様にメッセージをいただけますか。
石川:千葉県でローカル鉄道、小湊鉄道含め交通をやっています。ぜひ一度遊びに来ていただけると、昭和の懐かしさが漂っていまして、どの季節もそれぞれ楽しい沿線だと思いますので、ぜひ足を運んでいただければ嬉しいです。そして「学生応援寄付 Go!ジモト」への寄付を一口でもやっていただけますと。
石井:皆さん、一口と言わず二口、三口と、ぜひご寄付をお願いしたいと思います。2週にわたって、小湊鉄道株式会社代表取締役社長、石川晋平さんにお話を伺ってまいりました。前編ではご自身の経歴から、3月15日にスタートした学生専用年間パスポート、そして寄付制度のお話をいただきました。日本でも初めての取り組みとして、ぜひ今後の成果にも注目していきたいと思います。今週は、ローカルの移動を支える企業が人口減少の地域とどのように向き合っていくか、その考え方と取り組みについて詳しくお話を伺うことができました。石川さん、本当にありがとうございました。
石川:ありがとうございました。
石井:後にお知らせですが、今回の放送はradiko、当社YouTubeでご視聴いただけます。そちらもチェックしてください。この番組はWill Smartの提供でお送りしました。












