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「ミライの種」JR九州 森取締役常務執行役員インタビュー 前編

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各分野における経営のプロフェッショナルたちが考える未来への戦略、未来への投資、そして未来像とは?過去から現在、そして未来の花咲くカギとなる「種」とはどんな姿なのか?その「歩み」を辿りながら「ミライの種」に迫ります。

お話をお伺いするのは、九州旅客鉄道株式会社取締役常務執行役員として最高財務責任者、総合企画本部副本部長・経営企画部長、IT推進部・財務部担当と多くを兼任する森 亨弘(もり としひろ)さん。鉄道事業本部時にデータマーケティングを活用した鉄道のネット販売を強化し、経営企画部ではそこで得られる顧客データを基にJR九州グループCRM戦略を推進するためポイントプログラムを統合。AIやIoT、ビッグデータ活用などJR九州グループのデジタルトランスフォーメーションを積極的に推進するなどJR九州の変革期を支えています。現状と未来に向けた取り組みについてお聞きしました。

「効率化が育むミライの種」

森さんの肩書と取り組みについてお伺いします。
JR九州 赤木執行役員インタビューでは、線路点検、法面(※1)状況確認などでのIoT活用や、AIを使ったデータ予測などの実証実験を始めているとお聞きしています。今貴社では、IoTを使った取り組みが加速しているのでしょうか。

「私の仕事は、グループの事業戦略を支える財務戦略の構築・実行に加えて、IT活用によるプロセス効率化や事業ポートフォリオの見直しを常に考えています。おっしゃるように幅広い役割を担っていますが、データ・ガバナンスへの取り組みや、ビッグデータ・プラットフォームの整備、社内の組織・体制づくりなど会社の全体像を一気通貫で把握できることは、効率的にスピード感を持って施策を実行できるメリットもあります。昨年度から取り組む財務部門でのRPA(※2) 活用では、経理業務の作業効率だけにとどまるのではなく、IR活動や社外PRにおける数字を考慮したアウトプットイメージ、それを実現するシステム構築まで、全体的な流れを汲んだ活用設計が出来ることは、より高い効果につながると思います」

昨年度から臨まれているRPAの活用範囲は広がっていますか。

「本社では経理業務や人事業務、子会社ではリース事業などで活用しています。具体的には、グループ会社のホテル事業での話ですが、フロント業務で離職者が減らないという状況が発生しておりました。社内で調査すると、フロント業務は全体の3割、残りの業務はお客さまからの口コミ対応や資料作りなどのバックオフィスに時間を費やしていた、ということが分かりました。このようなバックオフィスこそRPAによる業務改革が役立ちます。今では、RPAに取り組む部門がグランプリ形式で競う『R-1グランプリ』を実施しています。特に優秀と認められた2チームは役員の前で発表するという仕組みです。昨年度は先ほどお話したホテル部門が優勝しました。今年度は部門範囲を広げて開催する予定です」

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「若手を育てるミライの種」

森さんが可能性を感じる人材とはどのような方でしょうか。

「我々の仕事では多種多様、膨大なデータが日々生まれています。このデータを一早く情報に変換させ、いかに知識として定着させるかが重要だと思います。その為には高い分析力やテクニック、判断力も必要となる。そのための情報や知識を得ることに喜びを感じられる人は今後成長する可能性が高い人材ではないでしょうか」

若手社員にその可能性の高い人材は多いですか。

「私の主観なのですが、“能力”はあるが“やる気”のない人材を見つけた時、その人のやる気をどうやって働かせるか、どのように“やる気”を引き出すか、そういったことに喜びを感じます。例えば、ファイナンスやアカウンティングスキルの高い若手は、マーケティングやITもある程度理解すれば対応できてしまうが、若く経験がないが故に守備範囲が狭く、会社の評価や仕事の内容に不平不満を募らせている社員がいる。そういう人に面白い仕事を挑戦させ、良いポジションに引き上げていくことが楽しいです。私自身も若い頃飽きやすかったが、会社は2,3年おきに色々な経験をさせてくれた。そういった経験が自分のキャリアに結び付きここまで来れたのだと思います」

そのような経験を経て今活躍されている方はいらっしゃいますか。

「15年位前になりますが、ある男性社員の今後の人事運用が厳しいという状況の中、私の部署に来ました。そんな彼には、外部との協業プロジェクトを積極的に任せたところ、効率的に仕事もこなすし、非常に頭もよくどんどん成長していきます。その後、プロジェクトリーダーなどを経て、現在では、グループ会社の重役を担っています。彼もそうですが、“能力”はあるが“やる気”のない人材は、外部とのコラボレーション案件に関わらせてあげると上手く行きます。社外の人々との交流から様々な知恵を学べますし、自分達の会社には無い部分、ダメな部分が見えてくる。一方で、我々の会社の良さも分かる。客観視することで、不満だった仕事が面白くなり、面白くなれば必然的に成長する。忙しい最中多くの仕事をさばいていく経験が自信に変化し、最終的にはキャリアに繋がっていくのです。だからこそ、会社外との交流は大事にしています」

後編では、「コラボが創るミライの種」「ビジネスにおけるミライの種」「自身の描くミライの種」について迫ります。


森 亨弘
1991年九州旅客鉄道株式会社入社、経営企画部・財務部に従事後、2009年40歳でグループ会社のドラッグイレブン株式会社(現JR九州ドラッグイレブン株式会社)代表取締役社長に就任。その後、財務部長・鉄道事業本部営業部長・旅行事業本部長を経て、現在は取締役常務執行役員として最高財務責任者、総合企画本部副本部長・経営企画部長、IT推進部・財務部担当と幅広く担当。

(※1)線路脇の斜面のこと。
(※2)Robotic Process Automationの略で、事務作業を自動化・効率化することが出来るソフトウェアのことを指します。
近い機能はExcelのマクロ機能にも備えられていますが、ソフトウェアを横断して自動化できる。精密な条件を入力しなくても自動化できる(ある程度自動でソフトウェア側で判断してくれる)など対応範囲が大きく広がっていることが特長となります。

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