1. HOME
  2. 事例
  3. スマートシティを実現する次世代まちづくりを支える「建物OS」とは?
事例

スマートシティを実現する次世代まちづくりを支える「建物OS」とは?

事例, 役立つ記事

近年は、大手ゼネコンを中心に、オフィスビルなどの建物全体を管理する建物オペレーションシステム(以下、建物OS)の開発・導入を推進する企業が増えています。

政府は統合イノベーション戦略2020等に基づき 、スマートシティの実現を目指しています。このスマートシティを推進する中で、推奨しているのが都市オペレーションシステム(以下、都市OS)の活用です。
建物OSはこの都市OSと連携することで、スマートビルディングやスマートシティの実現に活用できるシステムとして、ディベロッパーやゼネコンなどから注目を集めています。
本記事では各企業が開発を進める建物OSの事例と共に、建物OSを活用したスマートシティの推進における今後の展望についても考えていきます。

建物全体を快適空間にできるシステム「建物OS」

建物OSはオフィスビルなどを中心に建物全体を統合的に管理するシステムのことです。従来は同じ建物にある空調や照明、エレベーターなどの設備はそれぞれのメーカーが管理を行っていますが、建物OSを活用すると、すべての設備を一元管理することができるようになります。
たとえば、人が集まる場所では状況に合わせて自動的に空調の温度や風量を調整することができます。また、照明も人感センサーと連動させて自動的にオン・オフができるようになるので、電気代の節約につながります。
建物OSは既存の建物にもIoT機器とソフトウェアを組み込むことで導入ができるので、コロナ禍によるテレワークの推進などで入居率が低下しているオフィスビルの資産価値向上も期待されています。

各企業によって開発された建物OSの事例

近年、大手ゼネコンが実際に開発・導入した建物OSの事例を見てみましょう。

ビルコミ®/株式会社 竹中工務店

2009年からスマートビルの取り組みを続けている竹中工務店は各種ビル管理サービスをクラウド上で実現できる「ビルコミュニケーションシステム®」(通称「ビルコミ®」)を開発しました。
「ビルコミ®」はリアルタイムのモニタリングや遠隔制御機能を備えているほか、継続的な機能の追加や更新に柔軟に対応することができます。既に多数の実績があり、エネルギー需給の予測を機械学習させたり、照明を個別に調光するシステムなど画期的なシステムでビル機能の高度化を図っています。

DX-Core/清水建設株式会社

清水建設が提供する建物OS「DX-Core」とは、建物にインストールすることで資産価値の向上や建物管理の効率化、利用者の利便性向上などを実現します。
異なるメーカーの自動ドアやエレベーター、空調、照明などの設備を連携させて、アプリケーションを追加するだけでビル機能をアップデートすることができるほか、近年増えている清掃・警備用ロボットの運用にも活用されています。
従来はロボットごとにエレベーターや自動ドアと連携させる必要がありましたが、「DX-Core」とロボット制御用のアプリケーションを利用することで連携作業が簡単になりました。

鹿島スマートBM/鹿島建設株式会社

鹿島建設株式会社と鹿島建物総合管理株式会社は日本マイクロソフト株式会社と連携した建物管理プラットフォーム「鹿島スマートBM」を開発しました。
空調や照明などの稼働状況、温度や照度などの室内環境、エネルギー消費量など建物に関する様々なデータをマイクロソフトのクラウドプラットフォームへ蓄積させます。蓄積されたデータをAIが学習し、導入した建物の設備調整や異常の早期発見、エネルギーの消費予測によるランニングコストの削減などにつなげています。

LifeCycleOS/大成建設株式会社

LifeCycleOSは、業界初のBIMと建物の運用管理に関するデータを統合的に管理するシステムです。パブリックのクラウドプラットフォーム上でサービス用BIMを蓄積していきたいデータと紐づけることができます。
これによってリアルタイムで建物の情報の確認が可能です。サービス用BIMとは、設計・施工で活用したBIMデータと建物の運用管理に関する情報を組み合わせたものを指します。将来的にはAIの活用も検討されており、用途別にサービスのパッケージ化する予定です。

建物OSと都市OSの連携がスマートシティを加速させる!

政府はスマートシティの基本理念で「分野間・都市間連携の重視」を掲げており、スマートシティ化の課題となっているデータの利活用やシステムの拡張性の低さに対処するために都市OSの設計を推進しています。

大手ゼネコンが開発した建物OSはすでに多数の建物に導入されており、利用者の利便性、安全性の向上に貢献しているほか、AIによる建物内のデータの活用も進んでいます。
例えば、国土交通省がスマートシティ先行モデルプロジェクトのひとつに選定している「豊洲スマートシティ」ではその中核となる大型オフィスビル「メブクス豊洲」に清水建設の「DX-Core」を導入しています。館内の混雑状況の確認や案内ロボットなどのサービスを利用することができ、利用者の利便性の向上が期待されています。

「豊洲スマートシティ」の例のように、都市OSと建物OSを連携させることで地域の枠を超えたデータの利活用が進み、スマート化が加速していくのではないでしょうか。

合わせて読みたい!
デジタルサイネージを活用したオフィスビルの業務効率化とは?

オフィスビルにデジタルサイネージによるリアルタイムの情報配信システムを導入し、ビルの価値向上や利用者の利便性向上を実現しています。
▼もっと詳しく

メールマガジンに登録しませんか?

本サイトを運営しております株式会社Will Smartは公共交通・物流・不動産などの社会インフラの領域においてIoT技術やモビリティテックを活用したGX×DXの取り組みに注力しております。

メールマガジンではWill Smartの最新の取り組み事例やミライコラボのコンテンツ情報をなどお届けします。下記の登録フォームよりぜひご登録ください。

無料メルマガ会員登録