
高速バスのイメージは、なぜ変わり始めているのか
高速バスのイメージは、なぜ変わり始めているのか
~Will Smart × WILLER EXPRESS が見る、移動市場の変化~
| 高速バス業界において「移動の価値向上」を実践してきたWILLER EXPRESS。2006年の創業から20年を経た現在、乗客構成は大きく変わり、女性客が70%を占めるまでになりました。2025年の大阪・関西万博では、インバウンド客やホテル不足への対応として、新たな利用層が生まれています。こうした市場変化のなかで、高速バスのイメージはなぜ変わり始めているのか。Will Smart代表取締役社長の石井が、WILLER EXPRESS代表取締役社長の平山幸司氏をゲストに迎え、顧客ニーズの変化への向き合い方、そしてサービス革新の実践的アプローチについて語り合いました。 |
- 番組名
- 『まちと移動のミライコラボ』全文書き起こし
- 放送日
- 2026年1月11日
- ゲスト
- 平山幸司 氏(WILLER EXPRESS株式会社 代表取締役社長)
目次
【オープニング】
石井:まちと移動のミライコラボ Will Smartと街づくりのプロが描く日本のこれから
この番組では、移動と街づくりをテーマに、日本の移動インフラや私たちの暮らしを支える仕組みがこれからどう変わっていくかを、第一線で取り組まれている方々と一緒に考えていきます。 私、石井は、Will Smartという会社で、鉄道、バス、観光、地域交通などの分野でデジタルの力を使いながら、移動をもっと便利に、街をもっと元気にする、そんな取り組みを全国で行っています。
石井:この番組は、そうした現場で見えてきたリアルな課題や、これからの可能性をリスナーの皆さんと共有する場として立ち上げました。2026年1月11日、本日がこの番組の第1回目の放送です。私としても初めてのパーソナリティということで、とても緊張しておりますし、楽しみにしております。様々なプロフェッショナルの方々と楽しいお話をしながら、移動、街づくりの現場のリアルを皆さまに感じていただければと思っております。それでは番組をスタートしたいと思っております。よろしくお願いいたします。
【ゲスト紹介】
石井:記念すべき初回のゲストは、高速バス事業を軸に移動の価値を向上し続ける、WILLER EXPRESS株式会社 代表取締役社長の平山幸司さんです。平山さん、よろしくお願いします。
平山社長(以下、平山):よろしくお願いします。
石井:まず私の方からWILLER EXPRESSさんをご存知ない方のために、簡単にご紹介したいと思います。高速道路を運転されていると、ピンク色の目立つ車体を見られた方って少なからずいらっしゃると思います。特に大阪・東京間は非常に見る機会が多いかと思いますが、まさにそのバス会社の社長をやっていらっしゃるのが平山さんです。
【WILLER EXPRESSの歩み:女性客への転換】
石井:ここからは平山さんご本人から、どんな会社なのか、どんな特徴がある会社なのかそういった点について改めて教えていただきたいと思います。
平山:ありがとうございます。私どもWILLER EXPRESSは、実は大阪から生まれた会社で、創業は大阪の南森町です(笑)
石井:初回ゲストとして一番ふさわしい方にきていただいた(笑)
平山:元々はスキーツアーの旅行会社からスタートしたんですけど、2006年からですね。
高速バス事業というのをスタートさせたという会社で、そこからですね。当然、旅行会社からなので、全然バス業界のことを知らないわけですよ。で、バス業界のことを調べて気づいたことがあって、「なんか男性ばかり乗っているな」ということだったんです。
石井:なるほど。確かに20年前の高速バスのイメージは、なんとなくそんな感じがありましたね。
平山:その状況を見て、「これは女性をもっとターゲットにしたらいいんじゃないか」と思ったんですよね。そこから、女性が乗りやすい環境とかシートとかをどんどん開発したりとか、あとは、まだまだアナログの時代だったので、女性の横には女性が座るといった配置を人が管理するという時代を超えてですね。
石井:女性の安全性を担保しながら、ということですね。
平山:そうすると、女性がたくさんお乗りいただくことになりまして。色もですね。私どものコーポレートカラーのピンクなんですけど、女性が非常に親近感を持って、イメージしていただける安心が大事なので、そういったところからカラーリングをしました。
石井:今だと比率でいうと女性の割合はどれくらいですか?
平山:今はなんとですね、70%ぐらいが女性です。
石井:そんなにですか!元々は(女性客が)ゼロだったところから7割まで。それは完全に需要創出をしたということですね。
平山:特にそれも若い方が、二十歳前後の方がお乗りいただく、最初は本当に高校生の方が初めての大阪からディズニーに行くとかですね。こういう旅行にご利用いただくとか、そこからスタートしましたね。
石井:すごい変化ですね。まあ、20年を長いと捉えるか早いと捉えるかですが、本当にゼロだった女性の方が本当に今そこまで増えているんですね。すごい改革、革命ですね。
平山:今は「推し活」で、かなりの方が男性女性問わずですね。全国を遠征される、そこにご活用いただくことが非常に多くなってきた、というのが最近の大きなトレンドかもしれませんね。
【独自シートと「カノピー」の開発秘話】
石井:先ほどシートにも工夫をされたという話だったのですけど、私もWILLER EXPRESSさんをもちろん存じておりますけど、シートの特徴についてというのもぜひリスナーの方に教えてください。
平山:我々が一番気にしたのは、バスのシートのイメージってなんとなく「狭い、辛い、お尻が痛い、膝があたる」みたいな(笑)じゃあそれを取り除こうと思ってですね。そこでオリジナルのシートをかなり手掛けました。長距離を移動することが多くありますので、そうするとお休みになる、寝るということですね。そうすると形状からちょっと変えていかないといけない。非常に身体を伸ばしやすいということや、腰当のところに硬さの違うクッションを入れるとか、そういうこだわりを持って作っています。そうすると快適なので一度ご利用されたお客様が、また乗ろうということを思っていただけるという方が多いですね。
石井:そうすると初めて乗られた方っていうのは、最初の印象と乗った後の印象って随分違うんじゃないですか?
平山:全然違うと思います。
石井:やはりそうですよね。結構アンケートとかも取られるんですか?
平山:アンケートもそうですし、実際私どもはお客様のご様子とかもしっかり見ているんですよね。そうすると、寝顔って見られたくない。そうすると、顔にタオルとかハンカチをかけてお休みになられていたんですよ。これって辛そうですよね。
石井:それは確かに寝苦しそうですし。
平山:でも、そこまでして顔を隠したいわけですよ。だったらそこをケアできることってないかな、ということで、私どもでは「カノピー」って呼んでいるんですけど、イメージはベビーカーのフード、これをシートにつけることで寝顔を見られなくなる、そんなことをスタートしたという感じです。
石井:まさに今のお話をきくと本当にお客様の声を集めて、実際の現場を見て改善を繰り広げられているということですね。
平山:本当にその繰り返しだと思います。
石井:やっぱり移動手段になると、細かい改善をするというよりも、ある程度スペックが固定されていて、あとはどれだけ効率良く輸送するかというビジネスにやはりどうしてもなりがちですよね。今みたいな創意工夫を積み上げるというのは、既存の交通とは違うアプローチだと思うんですけど。
平山:そこは元々旅行会社からスタートしているのでマーケティングという考え方が非常に強かったかもしれませんね。そこにヒントがあると思っているから、だからできるんだと思うんですよね。
【顧客の声の循環】
石井:そうした改善のための、定例の会議体ってあるんですか?
平山:もちろん会議体であるとかチームもあるんでけど、実はそこから必ずしも生まれるものではないと思っているんですよね。色々な人が声を上げてそれを吸い上げるという仕組みが重要じゃないかなって思っています。
石井:実際にお客様の声に対してフィードバックもされているんですか?
平山:もちろんです。
石井:どういう形でやられているんですか?
平山:今は当然お客様からはメールとかを通して多くいただいています。非常に参考になるご意見に対してはそれに対しお答えしますし、当然お叱りをいただくこともありますが、それに対して真摯に対応するということももちろんございます。
石井:非常にお客様の声が循環していってサービスが改善されていく、非常に良い取り組みですね。
【2025年万博の影響と最新の利用動向】
石井:そのような中、先日平山さんが、メディア向けに事業戦略の発表をされたという風にお聞きしました。非常にメディアでも取り上げられ、その内容について業界で話題を生んだわけですが、具体的にはどういったお話、またその背景にはどういう事があったのか、このあたりの戦略発表の中身について少し詳しく教えていただけますか?
平山:一つは高速バス事業に置かれている環境、状況というのをお話させていただいたのですが、特に昨年(2025年)の特徴が顕著な部分があったんですね。一つは「万博(大阪・関西万博)」がありましたよね。
石井:やはり2025年というと外せないのが万博ですよね。ましてや大阪にとっては万博は記念すべき忘れられない年ですよね。
平山:万博でホテルが取りにくい、高い。そこに約4,000万人を超えるインバウンドの方々が来られ当然単価も上がる。実をいうと私どもメインのお客様がなんと推し活の方なんですが、ホテルが取りにくい、高いとなると、チケットは取れたけど行けなくなる。そこにバスが注目され、利用される方が多くなったんですね。さらに面白いのが推し活の年齢層が幅広く、利用者の年齢層も上がっているんですよね。こういったリアルな変化を知ってほしいということでメディア向けに発表させていただきました。
石井:目的が変化することによって選ばれる移動手段が変わっていくということですね。
平山:もともとは若い女性が7割、そこに男性女性問わず年齢の高い方。さらに推し活だけではなくビジネスマンも当然ホテルが高いことでバス利用される方も多くいらっしゃる。男性は少し高額にはなりますが、ほぼフルフラットになる高機能なシートがあるのですが、そこをアクティブシニアの方やビジネスマンがご利用されるようになっているんですね。
石井:実際に使っている声に変化はありましたか?
平山:非常にありがたい声を頂戴しておりまして、「ずっとこれでいいんじゃない?」と言っていただけるような最高の声も届いているんですよね。私どもとしては、そういったお客様の声を伺うと、「じゃあ次はもっと違うシートの開発をがんばろう!」という気持ちになり、非常に励みになっていますね。
【エンディング】
石井:ありがとうございます。今日はWILLER EXPRESSさんがどういう会社で、また正に今日お話しいただいたようなどのようなお客様が実際に利用されているか、新しいお客様が増え、次の10年、20年と繋がっていくような新しい顧客層が増えた、非常に現場感のあるお話を伺いました。次回は、WILLER EXPRESSさんが考える「未来戦略」についてお話を伺いたいと思いますので、是非来週も楽しみに待っていただければと思います。






