国際総合物流展で最新の業務効率化DXをリサーチしてきました!
2022年9月13日~16日まで東京ビッグサイト(東京都江東区)にて「国際物流総合展」が開催されました。この展示会は最新の物流機器やシステムなどが一堂に集まる展示会で、総勢526社2,597ブースが出展していました。
様々な展示がありましたが、特に物流業界のDX化をテーマにした展示が多くみられ、ミライコラボ編集部では、「IT×業務効率化」に注目して展示を回ってきました。
目次
物流業界でDXが急務となっている理由
そもそも、物流業界でDXが求められている背景にはどのような課題があるのでしょうか。2022年8月に国土交通省が発表した資料によると、2020年度の宅配便取扱個数は、48億3647万個で、前年度と比較して約11.9%増加しており、コロナ禍で宅配便の需要が増加していることが伺えます。
宅配便の需要は増加していますが、トラック運転手は人手不足が続いており、有効求人倍率は2022年5月時点では全産業の約2倍の高さとなっています。また、人材の高齢化や長時間労働などの課題も抱えています。
(参考:厚生労働省|統計からみるトラック運転者の仕事)
その中でも「2024年問題」が深刻な状況です。「2024年問題」とは運送業の労働環境改善のため、2024年4月1日からトラック運転手の年間時間外労働時間の上限が960時間までに規制されることに伴う問題のことで、トラック運転手の収入減少や、運送会社の利益減少に伴う送料の増加などが懸念されています。これらの課題を解決するために物流業界ではDX推進に向けた取り組みが進められているのです。
ミライコラボ編集部が見つけた「IT×業務効率化」
今回は「IT×業務効率化」というテーマで展示会を回りました。経由地などの条件を入力すると自動で最適なルートを作成しドライバーに送信できるアプリや、車載機で記録した勤務状況から自動で日報が作成できるデジタルタコグラフなど、運送業務に伴って発生する事務作業の時間を短縮するソリューションを提案する企業が多く見られました。
数多くの展示の中でミライコラボ編集部が特に注目した展示をご紹介します。
危険エリアへの侵入を検知する監視カメラ【i-pro株式会社】
i-pro株式会社はネットワーク監視カメラを開発・製造している企業で、海外製の安価な監視カメラに対抗するため、危険区域への侵入を検知する機能や、他拠点のカメラの映像を一画面で確認できる機能などを付加した製品を展開しています。
ブースでは主に物流倉庫内などでの活用を想定した、危険区域への立ち入りを検知するカメラのデモを見せていただきました。特定のエリアに人が入ると、カメラの映像をリアルタイムで映すモニター上に赤い印が表示され、一目で人が侵入したことがわかるようになっていました。実際の現場ではアラーム音などと連動させることも可能で、カメラが検知した危険をすぐに認識することができるということです。
カメラのラインナップも豊富で、「カメラを目立たせずに設置したい」という要望が多い商業施設などに対応するために小型の製品もあるそうです
スマホが高速バーコードリーダーに!【株式会社アスタリスク】
こちらのブースではスマートフォンを活用したバーコードリーダーの実演を見せていただきました。
「AsReader」という製品で、専用のアプリケーションをインストールすると高速でバーコードが読み取れるようになるタイプや、スマートフォンに装着するとスマートフォンをバーコードリーダーとして使用できる専用端末などがあります。QRコードやRFIDにも対応しており、アタッチメントを付け替えれば同じスマートフォンで異なる種類のバーコードを読み込めるようになるとのこと。
画像認識技術を活用したカウントアプリの展示も拝見しました。ばらばらに置かれた数えにくい真珠の数もスマートフォンで撮影した画像を解析すれば瞬時に個数を割り出すことができていました。
これらの製品は既に配送業務や棚卸業務などで活用されており、業務時間の短縮などの効果を上げているほか専用の業務用端末よりも低コストで導入できるということが大きな特徴だそうです。
担当者を悩ませる勤務シフトを自動で作成!【鉄道情報システム株式会社】
「勤務シフト作成お助けマン」というシフト表を自動作成するソフトの展示を拝見しました。
従業員がシフトで勤務している企業では、早番・遅番の区別があったり、決められた回数の休日を組み込むなど多くの条件を加味したシフトを作成しなければなりません。既にExcelを活用して作成している現場は多いようですが、エラーが出たら最初からやり直しになったり、公平性を考えて作成することが困難だったり、シフト作成に数日を要している現場もあるようです。
「勤務シフト作成お助けマン」は従業員ごとに勤務条件(夜勤明けは休日に設定する、何連勤できるか、など)を入力するとその条件を考慮したシフトを自動で作成してくれるソフトです。多くのドライバーを抱える物流会社や、コールセンターなどで導入されており、シフト作成の時間が数日から1日程度に短縮されるなどの成果が出ているとのことです。
危険運転を検知するAIシステム【株式会社Will Smart】
ミライコラボの運営会社でもある株式会社Will Smartは岡谷鋼機株式会社との合同ブースで展示を行っており、ドライブレコーダーの映像からドライバーの危険運転を検知するシステム「Will-Logi AI for Drivers」のパネルやデジタルサイネージを活用したリアルタイムの情報表示システムの展示を行っていました。
「Will-Logi AI」は当日中にドライブレコーダーの映像を解析することが可能で、AIが検知したドライバーの危険運転のデータを、翌日の点呼時などに安全指導の資料としてすぐに活用することができます。ドライブレコーダーの映像をすべて見なくても、AIが検知した部分を見るだけで危険運転がなかったか確認ができるので、大幅に業務時間を短縮することができます。
サイネージを活用した情報表示システムは、社内で会社からのお知らせや、緊急時の災害情報の配信などに活用できます。また、外部のシステムと連携して遠隔で情報を表示させることも可能で、同じブース内に展示されていた自動走行EV「eve autonomy」の日々の稼働状況や走行距離が見られるような仕様にすることもできるそうです。
※本サービスの提供は終了しております。
まとめ
以上、国際物流総合展で見つけた「IT×業務効率化」の取り組みについてご紹介しました。物流業界は長時間労働への規制や、人手不足、コロナ禍による宅配便の取り扱い個数の増加など様々な課題を抱えています。
そのような状況ではありますが、今まで手作業で行うしかなかった事務作業や従業員の管理業務・安全対策などを、アプリやシステムを活用することで作業時間を短縮したり、省人化したりできるようになっていることがわかります。
しかし、人手不足や長時間労働が問題となっているのは物流業界だけではありません。物流業界がどのように課題解決に取り組んでいくのか注視しつつ、物流業界以外の現場でも抱えている課題を可視化し、それに見合った改善策を見出していく必要があると考えます。
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