
農と福が出会う場所〜農福連携が拓く新しい働き方と地域の活力〜
農と福が出会う場所〜農福連携が拓く新しい働き方と地域の活力〜
| 第14回のゲストは、一般社団法人日本農福連携協会・会長理事の皆川芳嗣さん。 農林水産省で林野庁長官・農林水産事務次官を歴任し、現在は全国の農業と福祉の連携をリードする皆川さんに、農福連携の仕組みと現場のリアル、そして浜松「京丸園」のユニバーサル農業や奈良「青葉会」の地域再生事例を語っていただきます。 |
- 番組名
- 『まちと移動のミライコラボ』全文書き起こし
- 放送日
- 2026年4月12日
- ゲスト
- 皆川 芳嗣 氏(一般社団法人日本農福連携協会 会長理事)
目次
【オープニング】
石井:本日のゲストは、日本農福連携協会・会長理事の皆川芳嗣さんです。皆川さんは農林水産省で農政の中枢を担われ、林野庁長官・農林水産事務次官を歴任された後、現在は農福連携等応援コンソーシアム会長としても全国の農業と福祉の連携をリードされています。本日はよろしくお願いします。
皆川:よろしくお願いします。
【農福連携とは〜人手不足と居場所不足を繋ぐ仕組み〜】
石井:まず、農福連携とはどのような取り組みなのか、また日本農福連携協会はどのような役割を果たしているか教えていただけますか。
皆川:農福連携は字のとおり、農と福の連携です。「農」は農林水産業とその関連産業、「福」は福祉、さらには社会的に出番や居場所がない方々全般を含む広い概念です。そういった方々が農林水産業の現場で活躍することで自己実現を図ることを目的としています。農福連携協会は2018年に設立し、行政との連携や有用事例の横展開、事業体が抱える販路開拓や六次産業化へのアドバイス、そして農福連携の国民理解促進に取り組んできました。
石井:農業の人手不足・高齢化と、福祉側の就労課題。現場ではどのような問題が起きていますか?
皆川:農業では高齢化と従事者の減少が深刻です。一方、福祉事業体はかつて内職的な作業(印刷補助など)が主な収入源でしたが、オフィスオートメーションの進展でそれが失われてきています。農業側は作業者を必要とし、福祉側は仕事の確保に悩んでいる、この両者を結びつけるのが農福連携です。ただ当初は、障害のある方々にどこまでできるか、どう配慮すべきかが双方にわからず、「出会いの場がない」ことが最大の壁でした。まず一度試していただくことを繰り返すうちに相互理解が深まり、農業側は丁寧な作業ぶりに感謝し、福祉側は体力がつき健康になるというWin-Winの状況が広がっています。
【京丸園に見るユニバーサル農業〜障害者雇用が現場を変える〜】
石井:実際に成果を上げている農業法人の事例を教えていただけますか。
皆川:浜松市にある農業法人「京丸園」さんが先行事例として優れた成果を上げています。葉ねぎやチンゲン菜を栽培している農場で、約100名の農作業従事者のうち25名、4分の1が障害のある方々です。そしてその中で販売金額もどんどん伸びています。
石井:それは素晴らしいですね。
皆川:代表の鈴木さんがおっしゃるのは、障害者が働きやすい環境を整えることが、高齢者や農業未経験者にとっても働きやすい環境になるということです。その取り組みを「ユニバーサル農業」という言葉で表現されています。
石井:なるほど。素晴らしい言葉ですね。
【地域を活性化する農福連携〜耕作放棄地の再生と六次産業化〜】
石井:地域全体への影響という観点では、どのような変化が生まれていますか?
皆川:農福事業体が周辺農家の仕事を請け負うことで、高齢化した地域が元気になるケースがあります。また都市近郊では、地域住民を招いた収穫体験など、オープンな交流も生まれています。さらに農作物の加工・販売拠点や飲食店経営へと六次産業化が進むと、地域の活力が一段と上がります。人が集まらなかった地域に農福事業体が生まれ、レストランを目的に人が訪れるようになる、そんな変化が各地で起きています。
石井:特におすすめの地域はありますか?
皆川:奈良県の「青葉仁会」をぜひご紹介したいです。京都南部の宇治茶産地に隣接していますが、労働力不足で荒廃していた茶園を借り受けて再生し、ブルーベリー園に転換するなどの取り組みをしています。また、もともと地域に飲食店が少ないなか、青葉仁会が複数のレストランを経営して地元の農林水産物を調理提供することで、わざわざ訪れる目的地になっています。
石井:奈良にお越しの際はぜひ青葉仁会へ。ありがとうございます。今日は農福連携とは何か、そして全国に広がる農福連携の現状についてお話を伺いました。次回後編では、農福連携の今後の発展、企業との連携、そして現場で働く方々の将来についてお話を伺います。皆川さん、本日はありがとうございました。
皆川:こちらこそありがとうございました。
石井:最後にお知らせですが、今回の放送はradiko、当社YouTubeでご視聴いただけます。そちらもチェックしてください。この番組はWill Smartの提供でお送りします。












