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ラジオ:まちと移動のミライコラボ

空を越えてバナナから半導体まで〜全日空商事が描く多角化経営と地域共創のビジョン〜

空を越えてバナナから半導体まで〜全日空商事が描く多角化経営と地域共創のビジョン〜

 

第20回のゲストは、全日空商事株式会社・代表取締役社長の宮川純一郎さん(前編)。1984年のANA入社から約40年、コールセンターのオペレーターを経て楽天とANAとのジョイントベンチャーの社長へ——ダイナミックパッケージ黎明期を牽引したキャリアとは。そして1970年の設立以来「バナナから半導体まで」を手がける全日空商事の多角化経営、さらに空港を地域の玄関口として活用する”三方よし”の地域共創モデルを語っていただきます。

 

番組名
『まちと移動のミライコラボ』全文書き起こし
放送日
2026年5月24日
ゲスト
宮川 純一郎 氏(全日空商事株式会社 代表取締役社長)

【オープニング】

石井:この番組では、移動と街づくりをキーワードに、日本の移動インフラや都市のあり方、これからどう変わっていくかを、第一線で取り組まれている方々と一緒に考えていきます。今回のゲストは——皆さん、空港でお土産を買ったり、機内で飲み物を楽しんだりしたことはありますよね。実はその裏側に、あるとても面白い会社が関わっています。今日はその会社のトップをお招きしました。全日空商事株式会社・代表取締役社長、宮川純一郎さんです。宮川さん、よろしくお願いします。

宮川:こんにちは。よろしくお願いします。

【宮川社長のキャリア〜インターネット旅行の黎明期を駆けた40年〜】

石井:まず宮川さんご自身のことから伺いたいと思います。1984年に全日本空輸に入社されて、約40年にわたりさまざまなキャリアを積まれてきましたが、振り返るとどんな旅だったか、ご自身のキャリアについて教えていただけますか。

宮川:1984年——もう大昔ですが、当時のANAはまだ国際線を飛ばしておらず、国内線専業の航空会社でした。入社1年目はコールセンターのオペレーターをやっていまして。

石井:コールセンターのオペレーターですか。

宮川:そのあとは旅行代理店向けの営業を経験しました。自分にとって大きな転機になったのは2009年です。楽天さんとANAのジョイントベンチャーでインターネット旅行会社を立ち上げ、その社長を務めました。

石井:そこで上司と部下という関係になったんですよね。

宮川:はい。オンライン・トラベル、つまりインターネットでパッケージ旅行を作るダイナミックパッケージという商品の黎明期でした。石井さんと一緒にその立ち上げに携われたのは非常に懐かしい思い出です。

石井:当時は旅行代理店が流通の主体で、インターネットで旅行商品を購入できること自体が珍しかった時代ですよね。

宮川:そうです。消費者に対していかにマーケティングしていくかが重要な時代でした。大きな変わり目に立ち会わせていただけたと思っています。

石井:そういったご経験を経て、全日空商事の社長に就任されるわけですね。

【全日空商事とは〜「バナナから半導体まで」の多角化経営〜】

石井:全日空商事さんのお仕事について、一般のリスナーさんにはなかなかピンとこない部分もあると思いますので、ぜひどんな事業をされているか教えていただけますか。

宮川:全日空商事は1970年の設立です。もともと航空会社ですから、飛行機の機体やエンジンは国産ではなく海外製のものが多く、その輸出入を担う貿易会社としてスタートしました。それに加えて、空港内のショップも創業当初から手がけています。

石井:設立当初から多角化への構想もあったとお聞きしました。

宮川:実は最近、会社創設間もない頃の古い資料を見ていたのですが、「関連事業開発の一構想」というペーパーに、ANAグループの将来構想の中に「宇宙」という言葉が入っていたんです。

石井:1970年代の頭ごろ——まだジェット機が入って5年ほどの時代に、ですか。

宮川:そうです。アポロの時代に、宇宙が将来大きく成長するだろうと考えた先達がいたわけです。非常に衝撃を受けました。そういった流れの中で、エアライン以外のさまざまな事業を展開してきています。

石井:現在の主な事業について改めて教えていただけますか。

宮川:一つは創業からの航空機関連の商社機能。それから旅に関わるコンシューマービジネス、トラベルリテール。そして意外と知られていないのが食品事業です。最大のものはバナナで、ANAフーズというグループ会社が日本国内を流通するバナナの約10%を手がけています。

石井:バナナですか。それは知らなかったです。

宮川:さらに半導体の事業もやっています。電気製品や電気自動車などに使われるパワー半導体で、チップから製品化・検査・納入までの後工程を担っています。「バナナから半導体まで」というのが最近のキャッチフレーズです。

石井:面白いですね。1970年代に掲げた多角化構想が時代ごとに形になってきた結果が、バナナから半導体まで、ということなんですね。

【地域との繋がり〜空港を「地域の玄関口」として生かす三方よしのモデル〜】

石井:地元の産品を丁寧に取り扱う空港が、特に地方空港で増えてきた印象があります。そういった変化は実際に起きているんでしょうか。

宮川:はい。私たちはエアライン系の商社ですから、各地域との結びつきが特に強い。地域の自治体や関係団体・企業との繋がりを生かして、地域のプロモーションに繋がることを意識してやっています。ANA FESTAというショップに行っていただくと、ここでしか買えない限定品が結構並んでいますので、ぜひご覧ください。

石井:羽田第2ターミナルのおにぎりのショップも、そういった取り組みの一つですよね。

宮川:そうです。各地の特産米を使っていて、「今月は〇〇県のこの農家さんのお米です」という形でご提供しています。ANAグループのANAあきんどという会社が各地域の自治体やコミュニティと結びついて発掘してきたものです。お客様には地域ならではの体験になり、自治体には地元のアピールに繋がり、私たちも売り上げが上がる——三方よしの関係になっています。

石井:たまたま食べたおにぎりが非常に美味しくて、家庭でもそのお米を買い続けるようになる——そういった出会いの場になるということですね。

宮川:そうです。さらに今後は、そのお米を機内食に使ったりといったコラボレーションも考えています。縦割りではなく繋げることで、より大きなアピールに繋げていきたいと思っています。

石井:本日は宮川さんのキャリアと全日空商事さんの事業内容を伺いました。バナナから半導体まで多岐にわたるお仕事、そして地域との繋がり——おにぎりのエピソードも含め、大変楽しい内容でした。次回は、全日空商事さんがこれからどんな取り組みをされていきたいか、そういった内容を伺っていきます。宮川さん、今日はありがとうございました。

宮川:ありがとうございました。