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物流業界の配車業務をサポート!完全AI自動配車システムとは?

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近年、ECや宅配サービスの発展によりニーズが高まる中、物流業界では人手不足や高齢化といった課題が顕在化しています。

最近は新型コロナウイルス感染拡大の影響によりさらに増え続けるニーズや現場での人同士の接触の機会の低減なども必要とされ、これからのウィズコロナ、アフターコロナ時代に向けたますますの人手不足などの課題の解消が求められています。

今回はそんな物流業界の配車業務をサポートする完全AI自動配車システム「LYNA CLOUD(ライナクラウド)」を提供する株式会社ライナロジクスに取材しました。


「LYNA CLOUD」開発の背景を教えてください。
元々、2000年から自動配車システムの「ライナ」シリーズを提供していました。
「ライナ」シリーズはパッケージ化されたソフトウェアであったため、それまでオーダーメイドが主流だった配車システムに比べると格段に、と言って良いほどローコストで導入できるものでした。
しかし、それでも導入時にはそれなりの費用負担となり、また機器の用意や情シスが必要など、企業規模の小さなお客様が導入しやすいものではありませんでした。
そのような中で「もっと気軽に簡単に自動配車システムを提供できないか」と考え、IT技術の発展により「クラウドサービス」が登場した段階でいち早く対応し、2018年からクラウド型の「LYNA CLOUD」を提供するに至りました。
その結果、お客様にご用意いただくものは「インターネットに接続できるPC」と「ブラウザ(Google ChromeまたはFirefox)」のみ、費用もサブスクリプション形式にすることにより、月額5万円~と導入いただきやすい形で提供できるようになりました。

「LYNA CLOUD」はどのようにAIを活用しているシステムでしょうか。
AIのなかでも「組み合わせ最適化」技術を用いています。
配車業務では、輸配送に関わる複雑な条件を考慮して配送計画を考える必要があります。
わかりやすいものでは「時間指定」がイメージしやすいと思いますが、それ以外にも「大型トラックでは配送不可」など、お客様によってその条件は異なります。
そのような配送に絡む複雑な条件を全てクリアした上で、最もコストが低くなるよう計算しています。
組み合わせ最適化は、
・解き方の手順が分からない問題を試行錯誤して解く技術
・人間の「勘と経験」を代替するAI分野の理論
として注目されています。

最適化した配送ルートが表示された画面例(提供:株式会社ライナロジクス)

「LYNA CLOUD」のドライバー向けスマホ配信オプションを2020年12月31日まで無償提供している(※1)と伺いました。目指すゴールを教えてください。
今回は新型コロナウイルス感染症対策の一環として配車担当者とドライバーとの接触機会低減を目指していますが、そもそもの目的は「現場での配送進捗把握をスムーズにし、事務コストの削減や連絡ミスによる損失を最小限に抑えること」です。
日本の物流現場では配送予定時刻が厳密に守られており、無断で相手先との約束を破ることは禁止事項です。無断遅延があると関係者から問い合わせも入り、ペナルティが要求されることすらあります。
このような背景があり、管理者が配送進捗をリアルタイムで把握することに大きなニーズがあります。
ただし、連絡手段を電話にすると、ドライバーには電話を掛ける手間と心理的負担が掛かり、管理者は電話応対に追われることになります。また、管理者側が電話を掛ける場合は、ドライバーは運転中・作業中で電話に出られないことも多々あります。しかし、デジタコ等によるリアルタイム動態管理システムはオーバースペックかつ高価であり、投資効果が見えにくい管理目的で導入するのは容易ではありません。
そんな中、会社支給の端末という既存インフラと最小限のシステム投資・手間で、取引先との信頼向上や連絡のためだけに費やされる労働時間の削減ができるのは非常に大きな意味があると考えています。

「LYNA CLOUD」によって、物流業界にどのような変革がもたらされるとお考えでしょうか。
物流業界は、ベテランの方の「勘と経験」での業務に頼っている状況であると考えています。
しかし、急激な個配の需要高による配送効率の低下や高齢化・人材不足の問題があり、このままではいずれ破綻すると考えられます。(※2)
当社システムは「コスト」ベースで効率の良い配車計画を作成することに特化したシステムです。複雑な配送条件を設定することができるため、ベテランの方のノウハウをシステム化することにつながります。
その結果、配送コストの低減、属人化の解消、配車担当者の育成期間の短縮化につながると考えています。
将来的には素人ドライバーでも配送可能な計画を作成できるようシステム改善を図るため、物流に携われる人材の幅を広げることにもつながると考えています。

最後に貴社の今後の展望を教えてください。
今回は「ドライバー向けスマホ配信機能」の無償提供を行いましたが、当社は4/3発表のゼンリンデータコム様との業務資本提携を始め、これから他社とのシステム連携を強化していきます。
最終的に目指しているものとしては、ありとあらゆるドアtoドアの移動や貨物の輸送に対応できるプラットフォームの構築です。ベテランの方のノウハウをいち早く共有できる仕組みを作り、配車業務の経験が浅い担当者であっても配送計画を作成でき、素人ドライバーであっても予定通りにお客様のもとへ配送できるような環境を目指しています。

※1・・・無償提供の申し込みは6月末までの受付でございます。

※2・・・参考資料:国土交通省「物流を取り巻く現状」https://www.mlit.go.jp/common/001320985.pdf、BCGプレスリリース「日本の物流トラックドライバーの労働力は2027年に需要分の25%が不足。96万人分の労働力需要に対し、24万人分が不足と推計~BCG調査」https://www.bcg.com/ja-jp/d/press/Japan-press-release-27october2017-logistics-174826

まとめ

物流業界は、新型コロナウイルス流行以前から個配の需要の増加や高齢化、人材不足といった課題がありましたが、昨今のコロナの影響でますますこの課題の対策に注目が集まっています。単純な業務の効率化はもちろん、ベテランの方の「勘と経験」での業務に頼っている状況で、その暗黙知となっているノウハウをAIを活用してシステム化し、物流に携わる人材の幅を広げるというのは非常に効果的な対策のように思いました。また、今回は物流業界でのAI活用を取り上げましたが、物流にかかわらず、こうしたベテランの方に頼る場面の多い業界では、その暗黙知をシステムに落とし込めるようなAIの活用が広がることが期待されていると感じます。ミライコラボでは、こうしたAI活用に注目していきたいと考えています。

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