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ラジオ:まちと移動のミライコラボ

宅配はわずか2% 〜物流専門メディアが読み解く2024年問題の本質〜

宅配はわずか2%〜物流専門メディアが読み解く2024年問題の本質〜

 

第34回のゲストは、物流専門メディア「LOGISTICS TODAY」を運営するLOGISTICS TODAY株式会社・編集局副長の鶴岡昇平さん(前編)。日々物流の最前線を取材する鶴岡さんに、多くの人が「宅配」だと思い込みがちな物流業界の実態や、2024年問題の本質、そして現場で今何が起きているのかを伺いました。

 

番組名
『まちと移動のミライコラボ』全文書き起こし
放送日
2026年8月30日
ゲスト
鶴岡 昇平 氏(LOGISTICS TODAY株式会社 編集局副長)

【オープニング〜物流専門メディアが語る、知られざる物流の実態〜】

石井:本日のゲストは、LOGISTICS TODAY株式会社 編集局副長の鶴岡昇平さんです。鶴岡さん、よろしくお願いします。

鶴岡:よろしくお願いします。

石井:今日は物流をテーマにお話を伺っていきたいと思います。メディアという立場でずっと物流業界を見つめてこられた鶴岡さんですが、まず「物流業界とはどういう業界なのか」という入り口からご説明いただけますか?

鶴岡:一般のリスナーさんにとって物流というと、ヤマトさんや佐川さん、日本郵便さんといった宅配のイメージが強いと思います。もちろんあれも物流ですし、業界最大手であることは間違いありません。ただ、実は皆さんが普段目にする宅配の物流は、物流全体の総量で見るとわずか2%程度なんです。

石井:残りの98%は何なんですか?

鶴岡:いわゆる企業間の物流です。例えば皆さんがスーパーで買い物をするとき、店頭に並んでいる商品がどういうルートを辿って届いているのか。あれはすべて企業間の物流なんですね。スーパーも企業ですから。それが全体の98%を占めている構図になっています。

【物流の2024年問題とは〜働き方改革が引き起こした構造的な課題〜】

石井:そうした中で物流業界の大きな課題として浮かび上がったのが「物流の2024年問題」です。改めて、これがどういう問題なのか教えていただけますか?

鶴岡:もう2026年なので今さら感はあるかもしれませんが、この問題は今もずっと続いています。契機になったのは、トラックドライバーの働き方改革です。医師や建設業などと同様、トラックドライバーも急速に働き方改革を進めると産業や皆さんの生活に大きな影響が出てしまうため、猶予期間が設けられていました。その猶予が明けて、いよいよ適用が始まったのが2024年だったんです。

石井:なぜ働き方改革が必要だったんですか?

鶴岡:昔はトラックドライバーは長時間働けばその分稼げる仕事でした。ただ、そうした価値観はもう今の若い世代には通用しません。担い手が先細りしていくことが一つ。もう一つは過労による事故です。それによって罪のないドライバーさんの命が奪われることも起きていました。健康に働ける環境を整え、事故を減らし、担い手も増やしていく。そのために働き方改革が進められてきたんです。ただ、これまで12時間、15時間と働いていた人たちに支えられていたものを急に9時間以内に収めるとなると、単純に運ぶ能力自体が下がってしまいます。政府の試算では、2024年には14%、2030年には34%、輸送能力が足りなくなるとされています。

石井:つまりスーパーに並ぶ物の3割が届かなくなる可能性があるということですね。

鶴岡:その通りです。

【現場改善の今〜荷待ち・荷役・積載率、そして残る待遇の課題〜】

石井:それに対して国も対策を打ってきたと思いますが、2024年問題を契機にどんな政策のポイントが立てられたんですか?

鶴岡:簡潔に言うと、トラックドライバーが不足しているので、その担い手を増やす取り組みが中心です。加えて現場レベルでは、荷待ち・荷役時間を1運行あたり2時間以内にするという指標が設けられました。

石井:荷待ちというのは?

鶴岡:例えば工場で作られた荷物を卸の倉庫に届けるとき、倉庫側は複数の工場から荷物を受け入れているので、到着時間が重なってしまう。9時に来てと言われても9時からすぐ荷降ろしできない、そうした待ち時間のことです。荷役時間は、実際に荷物を積み下ろす作業時間ですね。この合計を1運行あたり2時間以内に削減しようというのが目標です。

石井:もう一つ、積載率という指標もありますね。

鶴岡:はい。例えば群馬の工場から東京まで荷物を満載で運べても、帰りの東京から群馬行きの荷物はなかなかありません。空っぽで帰ると、往復の積載率は50%になってしまう。現状の積載率は40%を切っていると言われていて、つまり60%は空気を運んでいる状態です。これを50%以上に引き上げるのが今の目標になっています。

石井:一方で、そもそもの課題だったドライバーさんの待遇改善は今どういう状況ですか?

鶴岡:そこが今、結構問題になっています。拘束時間はかなり短くなりましたが、それに伴って手取りが減ってしまったというドライバーさんが結構出てきていて、給与体系の見直しがもっと必要になってくると感じています。

石井:この点については、次回さらに深掘りしながら課題解決の方向性を伺っていきたいと思います。本日は物流という社会生活の重要なインフラについて、2024年問題という働き方改革の中で生まれた構造的な課題に、国と業界がどう向き合っているのかを詳しくお話しいただきました。次回はこの解決に向けてデジタルをどう活用していくか、その観点でお話を伺います。鶴岡さん、ありがとうございました。

鶴岡:ありがとうございました。