
消費から共創へ〜東北観光が描く、これからのミライ〜
消費から共創へ〜東北観光が描く、これからのミライ〜
| 第33回のゲストも、一般社団法人東北観光推進機構・専務理事の渡辺厚さん(後編)。今年始動した第6期中期計画が掲げる「四方よし」の観光ビジョンと、2028年に向けたインバウンド宿泊・消費額の数値目標。そして東北ならではの広大さゆえの二次交通の課題と、その解決に向けた取り組みを伺います。最後には、震災復興の道として整備された「みちのく潮風トレイル」など、渡辺さんおすすめの東北の魅力もたっぷりご紹介いただきました。 |
前回のこちら「鉄道マンが歩んだ観光キャリア〜“オール東北”が切り拓く新たな可能性〜」
- 番組名
- 『まちと移動のミライコラボ』全文書き起こし
- 放送日
- 2026年8月23日
- ゲスト
- 渡辺 厚 氏(一般社団法人東北観光推進機構 専務理事)
目次
【オープニング〜“消費”から“共創”へ〜】
石井:前回に引き続き、東北観光推進機構 専務理事・渡辺厚さんにお伺いしています。渡辺さん、今週もよろしくお願いします。
渡辺:はい、今週もよろしくお願いいたします。
石井:前編では、これまでのキャリアと、「オール東北」「ワン東北」の取り組みについて深くお話を伺いましたが、今回は将来の話をしっかり伺いたいと思っています。まず伺いたいのが、今年から新しく動き出した、これからの3年間の計画についてです。どんな考え方を軸にされていて、東北観光をどう進めていきたいか、その将来像・ビジョンのようなものをぜひ伺いたいと思っています。
渡辺:今年から3か年で第6期中期計画というものを策定し、東北の各ステークホルダーの皆さんにご協力いただいてやっていこうという段階になりました。我々のビジョンとしては、東北一体の取り組みにより観光の力で地域を元気にし、持続可能な観光地「TOHOKU」を目指そうというものです。先週もお話ししましたが、人口減少が一番激しいエリアである東北においては、観光の力で交流人口・関係人口を増やして東北経済を元気にする、東北というエリアを持続可能な地域にしていくために観光がまさにあるというところを実践していくことが、これからのポイントだと思っています。東北の魅力は豊かな自然・文化・食、そして鮮やかな四季ですね。四季のコントラストが非常に豊かであることも東北の魅力だと思っていますが、実は最大の魅力は「人」だと思っているんです。
石井:なるほど、なるほど。
渡辺:私はその中期計画の中で、基本コンセプトとして、旅行者、それから観光事業者、地域住民、そして東北の自然も、みんながハッピーになる「四方よし」の観光というものを実現したいと思っています。オーバーツーリズムが課題になっているところもあるかもしれませんが、東北においては、いずれ多くの方が集中する時も目指していきたいと思いつつ、地域の住民や観光に携わる我々がウェルカムマインドで海外からのお客様をお迎えする。そして海外からのお客様も東北の豊かな自然や文化を一緒に育んでいく、お互いを尊重し合うレスポンシブルツーリズムの東北版を実現していきたいというのが大きな方向性だと思っています。
石井:なるほど、よくわかりました。まさに人を中心とした観光経済をしっかり回していくんだという強い計画が作られているということですね。
【第6期中期計画と2028年目標】
石井:具体的に、今数字の目標感としてはどういった目標を立てていらっしゃるのですか。
渡辺:まず、インバウンドの宿泊数は年率でだいたい20%ほど伸ばしていこうと思っていまして、東北6県では今258万人泊というところですが、2028年には432万人泊、新潟を含めると523万人泊にしていきます。インバウンドの消費額の目標もこれまでなかったのですが、これから入れていこうと思っておりまして、6県では1,300億円、7県では1,600億円という目標値にしているところです。
石井:これは正確な値が取れないですよね。
渡辺:正確な値が取れないので、観光庁が取っている消費動向データなどをもとにした推測値という形にはなるんですけれども。それでも、そういったもので一定のどれだけ伸びているのか、あるいは減っているのかを見る必要がありますので、県別に見ていて東北全体としてどうなっているのかを共有していくことがこれから必要だと思っています。
石井:そのためにも、滞在期間が長いインバウンドの方が大事ということですよね。
【東北ならではの“移動”の課題〜二次交通とレンタカー〜】
石井:次に、この番組の1つのテーマでもある移動についてお話を伺いたいと思います。将来に向かって明るい目標の話をいただいたのですが、一方でこれは東北に限らず全国的にもそうだと思うのですが、やはり移動、特に二次交通の問題が1つのボトルネック、足かせになりかねない問題だと思うんです。この二次交通の課題について、どういう対策に取り組んでいかれるのか、ぜひお話を伺いたいです。
渡辺:東北・新潟の面積は、日本全体の20%を占めるんです。
石井:広いですね。
渡辺:すごく広いんです。東北6県だけでも18%というところなんです。旅行者の方が目的とする観光地が広域に点在しているという現状なんですよね。東北は東京から新幹線で1時間半から3時間で各県庁所在地に新幹線が全部ダイレクトに入っているという、縦のラインでは非常に強みだと思っていますが、やっぱり横、毛細血管というか、域内の移動をどうするかというのは大きな課題だと思っています。点からストーリーで線にし、そして面として魅力を紡いでいくためには二次交通は欠かせません。我々もこれは問題意識を持っているところです。最近、二次交通の中で訪日客の利用が多いのは圧倒的にレンタカーなんです。
石井:レンタカーですね。
渡辺:はい。現在レンタカーが伸びているのは、Googleマップなどスマホの中で、自国語で目的地や周辺の新しい食事処が手のひらでわかる、これが大きく伸びた理由だと思っていますので、やっぱりここはまだまだ伸びしろがあるところだと思っています。他方で、すべての方がレンタカーで利用できるわけではありません。
石井:そうですね、お酒も飲みたい人もいますし。
渡辺:そうですよね。だからやはり公共交通機関を利用して、いかに東北を巡っていただくかというのが1つの課題です。東北の中でドライバーも不足している中で新しい路線を開拓する、あるいはフリークエンシーを向上させるのはなかなか簡単なものではないと思っていますので、やはり今ある公共交通機関の情報を旅行者にきちんとお伝えする、シームレスにワンストップで、という仕組みがまず必要ではないかと思っています。レンタカーの利用がGoogleマップの活用で飛躍的にストレスフリーになっているように、公共交通機関を利用する方にもワンストップに情報が届く仕組み、発信できるアプリなどを開発し、使っていただけるような環境づくり。これが必須だと思っています。
石井:その観点で言うと、まだまだやることはたくさんあるということでしょうか。
渡辺:はい、そういう自覚をしております。我々もやることがありますし、我々だけで解決できる問題ではありませんので、Will Smartさんや他の事業者さん、あるいは行政の皆さんのご支援もいただきながら、連携してこれは整備をしていくことが必要だと思っています。
【エンディング〜みちのく潮風トレイルへのいざない〜】
石井:ありがとうございます。それでは最後に、東北の魅力をぜひこの場でアピールしていただいて、1人でも多く、今回はおそらく日本人の方が中心になってくると思いますが、ここはぜひ来てほしい、もちろん東北全部ということになると思うのですが、できればこんなところもあるんですよという知らないエリアなども含めて紹介いただけるとありがたいです。
渡辺:ありがとうございます。東北は広いので、様々魅力的なところがあります。その中でもぜひ日本人の方も含めてお越しいただきたいところで申し上げると、「みちのく潮風トレイル」ですね。ぜひ来ていただきたいなと思います。
石井:おお、なるほど。
渡辺:このみちのく潮風トレイルというのは、震災からの復興の道ということで、太平洋沿岸、北は青森の八戸から南は福島県相馬まで、これが1本のトレイルルートで結ばれているんです。
石井:そうなんですか。
渡辺:整備して8年目になります。最近ようやく、海外から歩くということを目的に多くの方が訪れるようになりました。歩くというスピード感で、風を感じ、匂いを感じ、そして人と交流ができる。それで東北の本当の良さがじっくり味わっていただける。そして広域になっていますので、オーバーツーリズムも全くありません。様々な表情があるんですよね。東北の広大さと人々との繋がり、そして震災以降力強く復興している住民の方との触れ合い、そういった場面もあります。そんなものを体感いただける所ですね。まさに、よく社会の教科書で「やませ」というのがありましたよね。
石井:ありましたね。
渡辺:夏、なかなか海沿いの風で気温が上がらない、あのやませ、もう自然のクーラーですよ。周辺には本当にいい温泉もあれば、美味しい山菜もあれば海の幸もあれば、短角牛とか美味しいお肉もたくさんあるんです。
石井:いいですね。仙台牛もありますし、お酒も飲んでいただいて。
渡辺:そうですね。そういうのがありますので、ふんだんに魅力が東北に詰まっています。みちのく潮風トレイルもそうですし、他にもたくさんありますので、ぜひ皆さん、今年は9月にも大型連休があります。
石井:いいですね。まだまだ暑いですからね、9月も。
渡辺:そうですね。秋はまさに行楽シーズンでありますので、ゆっくりと東北の旅を楽しんでいただくように、皆さんのお越しをお待ちしたいと思います。
石井:ありがとうございます。みちのく潮風トレイル、ぜひ足を運んでいただければと思います。
渡辺:ぜひ、石井さんも一緒に歩きましょう。
石井:ぜひいいですね。よろしくお願いします。
渡辺:お願いします。
石井:ありがとうございました。本日は、消費から共創へということで、新しい3年計画の考え方と、東北がこれから先どういう方向に観光を向かわせていくのか、具体的な数字目標であったり、その取り組みについて深くお話を伺いました。渡辺さん、2週にわたりありがとうございました。
渡辺:ありがとうございました。
石井:最後にお知らせですが、今回の放送はradiko・当社YouTubeでご視聴いただけます。そちらもチェックしてください。この番組はWill Smartの提供でお送りしました。












