
地域の移動を価値に変える〜電脳交通が描くタクシーDX次の一手〜
地域の移動を価値に変える〜電脳交通が描くタクシーDX次の一手〜
| 第25回は、株式会社電脳交通・代表取締役社長の近藤洋祐さん(後編)。日本型ライドシェア解禁・配車アプリの普及・乗務前後の点呼デジタル化——タクシー業界は今まさに大変革期を迎えています。電脳交通が次に仕掛けるのは「ドライバーの能力データベース化」。英語対応・観光案内など各ドライバーが持つ隠れた価値を需要とマッチングし、タクシーの付加価値を引き出す官民連携プラットフォーム構想、そして業界全体のノウハウを横展開して地域交通を豊かにしていく壮大なビジョンを語っていただきます。 |
前編はこちら「タクシーをデジタルで変える〜徳島発・電脳交通が描く地域交通DXのビジョン〜」
- 番組名
- 『まちと移動のミライコラボ』全文書き起こし
- 放送日
- 2026年6月28日
- ゲスト
- 近藤 洋祐 氏(株式会社電脳交通 代表取締役社長)
【オープニング〜タクシー業界の大変革期〜】
石井:前回に引き続き、株式会社電脳交通・代表取締役社長の近藤洋祐さんをお迎えしています。近藤さん、今週もよろしくお願いします。
近藤:よろしくお願いします。
石井:前回は近藤さんのキャリアと電脳交通の立ち上がりについてお話を伺いました。今週は将来の話を中心に伺いたいと思います。タクシー業界はドライバー不足、配車アプリの普及、日本型ライドシェアの限定解禁など市場環境が大きく変化していますが、この変化をどのように捉えていますか?
近藤:業界に入った2010年から約16年経って、本当に変化が激しくなってきたと感じています。ここ数年の大きなトピックとしては、まず日本型ライドシェアという新しいサービスの誕生、そして配車アプリの全国的な普及があります。さらにあまり一般的には知られていませんが、タクシー業界では革命的と言われた規制緩和があって、乗務前後の点呼、元々は有資格の運行管理者が対面で行う必要があったが、2023年頃から段階的に自動化・遠隔対応が認められるようになりました。これによってタクシー会社の運行管理業務が大幅に楽になり、固定費も削減できるようになりました。
石井:それによって業界にどのような変化が起きていますか?
近藤:タクシー会社のM&Aが加速度的に広がっています。制度設計が変わる中で、業界外から参入してくる方が増えていて、業界の固定観念に囚われない新しい人材がどんどん入ってきています。その結果、収益性が改善し、安全運行への投資や乗務員の福利厚生・育成にも投資できる好循環がようやく生まれ始めています。
【次のテクノロジー〜ドライバーの「隠れた才能」をデータベース化する〜】
石井:テクノロジーの観点で、次に取り組みたいことはどのようなものですか?
近藤:受給マッチング(空き車両とお客様の最適化)・キャッシュレス対応・バックオフィス効率化は現在も進めていますが、次にやりたいのはドライバーの能力をデータベース化してお客様とマッチングする仕組みです。
石井:具体的にはどのようなイメージでしょうか?
近藤:例えば私自身の話ですが、15年前、徳島で英語対応かつ観光案内ができるドライバーは私1人でした。ただ当時はメーターの運賃でしか営業できないため、付加価値をつけられなかった。旅行業を持つ事業者と連携してツアーパッケージとして販売できていれば、もっと稼げていたはずです。こういった情報は誰も知らない、たまたま地元のタウン誌で報道されて、観光協会の方がたまたま思い出してくれたことでマッチングされた、という偶然に頼っていたんです。
石井:それをデジタルで体系化しようということですね。
近藤:はい。配車アプリ事業者が需要側の情報をたくさん持っている一方、私たちは供給側、タクシー業界のデータをプラットフォーム的に持っています。こういった「この町で唯一英語が話せる」「スペイン語対応できる」「地域一番の観光案内ができる」といったドライバーのアビリティをデータベース化し、需要側のプレイヤーと連携して官民共同でマッチングさせていく仕組みを作りたいと思っています。
【電脳交通の目標と業界への思い〜ノウハウを横展開し業界全体を牽引する〜】
石井:最後に、絶対に達成したい目標をお聞かせください。
近藤:ビジネスの観点では、業界で最も高いシェアを獲得し、地域・業界をしっかり支える企業へと成長していくことが第一の目標です。創業から10年、少しずつ実績を積み上げてきましたが、自信を持って業界を牽引できるプレイヤーになったと言える規模感にしていきたい。
石井:もう一つは?
近藤:業界にかける思いとしては、各地域でタクシードライバーが持つドラマを繋いでいきたいということです。徳島では、山形では、青森ではそれぞれの地域でストックされてきたドライバーの情報や、タクシー会社が秘伝のタレのように磨き込んできたオペレーションを横展開していきたい。例えば業界平均で営業利益率2〜3%のところを、カリカリに仕上げて7%を出している会社のノウハウを全国に広める。交通圏という区切りがあるため徳島のノウハウを山形に展開してもマイナスはない。そうやって業界全体の経営資源をデータベース化して横に繋ぎ、官民連携でさらに良いものにしていく。それが私のやりたいことです。
石井:電脳交通さんだけでなく、業界全体を良くしていくというビジョンですね。2週にわたって、近藤さんにお話を伺いました。規制緩和・テクノロジー・官民連携を通じてタクシー業界の未来を変えていく熱い思い、大変貴重でした。近藤さん、2回にわたりありがとうございました。
近藤:ありがとうございました。
石井:なお今回の放送はラジコ・当社YouTubeでもご視聴いただけます。ぜひチェックしてください。この番組はWill Smartの提供でお送りしました。












