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ラジオ:まちと移動のミライコラボ

タクシーをデジタルで変える〜徳島発・電脳交通が描く地域交通DXのビジョン〜※アイキャッチ・動画未受領

タクシーをデジタルで変える〜徳島発・電脳交通が描く地域交通DXのビジョン〜

 

第24回のゲストは、株式会社電脳交通・代表取締役社長の近藤洋祐さん(前編)。18歳でアメリカへ野球留学、帰国後に飛び込んだのは祖父が営む保有台数9台の徳島のタクシー会社。お母さんが全業務をフルスタックでこなす現場を目の当たりにし、2015年に共同創業した電脳交通は今や全国47都道府県・600社以上のタクシー事業者に導入されるクラウド型配車システム「DS」を生み出しました。”現場の痛みから生まれた会社”の創業ストーリーを語っていただきます。

 

番組名
『まちと移動のミライコラボ』全文書き起こし
放送日
2026年6月26日
ゲスト
近藤 洋祐 氏(株式会社電脳交通 代表取締役社長)

【オープニング】

石井:この番組では、移動と街づくりをキーワードに、日本の移動インフラや都市のあり方がこれからどう変わっていくか、第一線で取り組まれている方々と一緒に考えていきます。本日のテーマはタクシー・地域交通のDX。100年以上の歴史を持つタクシー業界をテクノロジーの力で内側から変えるミッションを掲げ、徳島発のベンチャー企業が今や全国47都道府県のタクシー事業者で使われているシステムを作り上げました。その立役者をお招きしました。株式会社電脳交通・代表取締役社長、近藤洋祐さんです。近藤さん、よろしくお願いします。

近藤:よろしくお願いします。

【近藤洋祐さんのキャリア〜野球留学から祖父のタクシー会社へ〜】

石井:まずご自身のキャリアについて伺いたいのですが、近藤さんは非常にユニークなご経歴をお持ちで、元々メジャーリーガーを目指されて18歳で渡米されたとか。その辺りからぜひ教えてください。

近藤:私は徳島で生まれ育ち、アメリカに渡り、また徳島に戻り今に至るという人生です。アメリカには野球をしに行っておりまして、2003年から2007年まで留学していました。ちょうど日本の野球部の縦社会にうんざりしていた頃でして、思い切って飛び出しました。

石井:帰国後はどのような流れで今のお仕事に?

近藤:帰国が2008年頃で、就活をしていたわけでもなく日本に戻ってきました。母方の家系で商売をいくつかやっていて、そのうちの一つにタクシー会社の経営がありました。当時の徳島は地場産業もさほど発達しておらず、観光もインバウンドもなく、タクシーの利用者が激減していた時期でした。法人の利用者も接待交際費の削減でどんどん減っており、業績が悪化していた。祖父が「廃業しようか」と家族会議しているのを、たまたま家にいて耳にしたんです。

石井:そこで関わることを決めたのですね。

近藤:小さい頃からドライバーの方に可愛がっていただいていたこともあり、「なんか関わりましょうか」というくらいの感じで飛び込みました。それがイバラの道の始まりでした。保有台数9台——県庁所在地の交通圏に登録されている法人タクシー会社の中で最小規模で、かつ徳島県は47都道府県で地域別タクシー売上高が最も低い街でした。

【電脳交通創業の経緯〜お母さんの姿が原点〜】

石井:2015年に電脳交通を創業されることになるわけですが、どういう思いから立ち上がっていったのでしょうか。

近藤:当時、母と2人で経営再建をしていました。事務員として働く母が、経理・電話対応・ドライバーの管理まであらゆる業務をフルスタックでこなしながら現場を離れられない姿をずっと見ていました。私が当時24〜25歳でがむしゃらに動ける人間が1人いるだけでなんとか回っているけれど、構造的にヘッドカウントを揃えてタクシー会社を経営しようとすると固定費が重すぎて収益が上がらない。創業一族の家族が24時間交代で回している会社が非常に多かったんです。まずお母さんを楽にしてあげたい、そう思ったのが始まりでした。

石井:そこからどうやってテクノロジーに繋がっていったのですか?

近藤:実現するツールが当時存在しなかったので、徳島の経済団体のイベントに参加したとき、講師で来ていたエンジニアの方と懇親会でたまたま話す機会がありました。「タクシー業界にこんな課題があるんですけど、一緒にやりませんか」と誘ってみたんです。それが後の共同創業者・坂東です。2015年6月の出会いから6カ月でビジネスモデルを確立し、必要なシステムを開発してPoCを実装。売れそうだという確信を得て、2015年12月に電脳交通を創業しました。

石井:まさに現場の痛みから生まれた会社だったんですね。

近藤:おっしゃる通りです。

【サービスの全容〜クラウド配車システム「DS」と「タクシーCC」〜】

石井:現時点で600社以上のタクシー事業者が利用されているとのことですが、具体的にどのようなサービスで、どんな課題解決につながっているか教えてください。

近藤:大きく2つあります。1つ目がクラウド型タクシー配車システム「DS」です。従来のタクシーは電話で注文を受けると、オペレーターが口頭で聞いた情報を口頭で無線を通じてドライバーに伝えていました。聞き間違えや伝達ミスが起こりがちなこのプロセスを、電話やアプリから受けた注文情報をデジタルでドライバーに伝え、ドライバーのアプリがナビゲーションで最短距離を案内し、お客様とのマッチングを最適化するシステムに変えました。これが今、評価され、全国のタクシー事業者への導入が急速に進んでいます。

石井:もう1つは?

近藤:タクシーCC(タクシーに特化したコールセンター)です。配車の電話を受けて手配を行うオペレーターの人材もタクシー会社では圧倒的に足りていません。そこで、タクシー会社の代わりに電話対応・注文管理を当社にアウトソースしていただく仕組みを作りました。徳島県と岡山県にコールセンターを構え、日本各地のタクシー会社の配車業務を支援しています。

石井:元々お母さんのお仕事を見て始まったこの事業ですが、当時大変だった業務は今何割解決できていますか?

近藤:ゼロにできています。

石井:それは素晴らしいですね!

近藤:規制緩和でタクシー会社が業務をアウトソースできる仕組みができたことも追い風になりましたが、それを実現するプロダクトと当社が受け皿になるソリューションを組み合わせることで、10あった課題を今は0にできています。母も私の会社から引退して、今は家でのんびり暮らしています。

石井:最大の親孝行をされたということですね。今日は、メジャーリーガーを夢見てアメリカへ渡り、帰国後に祖父のタクシー会社の変革に携わり、そして電脳交通を立ち上げたという非常にユニークなストーリーを持つ近藤さんにお話を伺いました。次回の後編では、全国47都道府県・600社以上に広がったビジネスがこれからどのように発展していくかを深くお話を伺いたいと思います。近藤さん、今日はありがとうございました。

近藤:ありがとうございました。

石井:なお今回の放送はラジコ・当社YouTubeでもご視聴いただけます。ぜひチェックしてください。この番組はWill Smartの提供でお送りしました。