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事例

踏切での安全確保、人を検知する「AIカメラ」に期待

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鉄道会社にとって、永遠の課題である踏切事故。以前に比べると減少したものの、現在も鉄道事故の約3分の1が踏切で起こる事故であり、件数を見ると、2日に1度全国のどこかで事故が起こっていることになります。特に「あかずの踏切」と呼ばれる事象が多く残る都市部では、踏切の安全性に対する関心が高まっています。

こうした中、丸紅子会社の丸紅ネットワークソリューションズ(東京都港区)が、富士急行と協力して、複数の踏切道で、人工知能(AI)カメラを使った滞留検知システムの実証実験を進めていくと発表しました。踏切での安全確保に向け、期待が高まっています。


実証実験の内容について教えてください
システムは、AI分析映像監視サービス「TRASCOPE-AI」を利用して、内蔵の演算装置がカメラの取得した映像データを処理します。

AIカメラは、 物体の形状を認識し滞留を検知する「物体検知」と、人物の移動・滞留を検知する「骨格検知」の複数のAIアルゴリズムを実装していて、複数のAIアルゴリズムを用いて踏切道内に置かれた物体、踏切道内に滞留した人物を検知し、リアルタイムに富士急行の運転指令所に遠隔通知します。

骨格検知は、危険エリアへの人物の侵入検知で培ってきたAIアルゴリズムで、踏切道での人物の滞留検知に応用しました。
この方式は、 ディープラーニングによる画像中の関節点抽出、各関節点の接続状態推定によって画像内の人物骨格を検知します。
関節点間の繋がりの強さも学習対象とすることで、 精度良く人物の検出が可能になりました。

今後の展望を教えてください
実証実験は2019年8月から開始しています。富士急行の運転指令所から第4種踏切道(*1)の横断者状況を正確に把握、踏切道の安全性向上に効果があることを実証しました。これを受けて2020年7月から第1種踏切(*2)でも実証実験を開始しました。
10月からは隣接する電柱にパトランプを設置し、 踏切道内に滞留する人物や物体の検知を電車運転士へ直接注意喚起する実験も開始しています。今後は、効果を検証して2020年度中に本格導入する予定です。

(*1) 第4種踏切道とは、踏切警標のみで列車の接近を知らせる装置の無い踏切道
(*2) 第1種踏切道とは、自動遮断機、警報機が設置されている踏切道

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