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「2024年問題」とは?現状と解決策について解説!

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「2024年問題」についてご存じでしょうか。「2024年問題」とは2024年4月に施行された働き方改革関連法に基づいてトラック運転手など特定の職業の時間外労働の上限が規制されることで生じる問題のことです。特にトラック運転手を多く抱える物流業界では、「2024年問題」によってドライバー不足や輸送能力の低下が懸念されています。
本記事では「2024年問題」の現状とその解決策について解説するとともに、2024年問題への対応事例も紹介します。

※本記事は2022年7月1日配信記事を再編集したものです

2024年問題とは

2024年問題とはバスやタクシー、トラック運転手などに対して時間外労働規制の見直しが行われたことによって発生する影響や問題のことです。これまでは労働基準法による時間外労働の上限はありませんでしたが、労働者の残業時間を削減するために2024年4月からは年960時間に制限されました。
また、厚生労働省がドライバーの拘束時間を定めた「改善基準告示」によって1日あたり、1か月あたりの拘束時間も制限されました。特に物流業界への営業が深刻で、トラックドライバーの労働時間が制限されることで、輸送能力の低下が懸念されています。国土交通省の試算によれば、2024年には輸送能力が約14%不足し、2030年には34%に達する可能性があると予想されています。また、ドライバーの収入減少やそれに伴う離職率の増加も問題となっており、業界全体での対応が求められています。

政府が掲げる2024年問題の解決策

2024年問題の解決に向けて、厚生労働省は建設業・ドライバー・医師の時間外労働の上限規制特設サイト「はたらきかたススメ」において長時間労働は事業者だけでは削減できず、国民の行動変容が必要だとしています。例えばトラックドライバーに対して何度も再配達を依頼せず「置き配」を利用することや、バスが時刻どおり運行できるように道を譲るなどが挙げられます。
また、国土交通省は2024年問題の影響が特に大きいと見られている物流業界に対して、2023年6月に行われた「我が国の物流の革新に関する関係閣僚会議」で「物流革新に向けた政策パッケージ」を決定。荷主企業や物流事業者(運送・倉庫等)、一般消費者が協力して物流を支える環境整備を呼びかけています。荷主や消費者の行動変容や商慣行の見直しのほかに物流の効率化にむけた「物流DX」の推進についても策定されました。

物流DXに着手するには?

物流業界は2024年問題の解決に向けてどのように物流DXに着手すればよいのでしょうか。物流DXの施策例をご紹介します。

●配車・配送計画の見直し

物流DXの取り組みのひとつとして、配車・配送計画の業務改善が挙げられます。車両動態管理システムや配車管理システムを導入することによって、計画を全体的に把握できるので、業務の効率化が図れます。業務効率化によって従業員の業務時間の削減にもつながります。

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●勤怠管理システムの導入

物流業界向けの勤怠管理システムの導入も効率化に向けた重要な要素です。ドライバーごとの出勤時間や退勤時間、時間外労働時間などの勤務状況を正確に記録できるので働きすぎていないか、など労働状況の確認・改善に役立てられます。また、システムを導入することによって労務管理の業務負担も軽くなります。

●トラック予約受付システムの導入

ドライバーの長時間労働の原因のひとつに「荷待ち時間」があります。「荷待ち時間」とはトラックドライバーが荷物の積み下ろしや指示待ちのために待機している時間のことです。トラックドライバーの1運行あたりの荷待ち、荷役作業などにかかる時間が計約3時間となっており、国土交通省は2023年6月に「物流の適正化・生産性向上に向けた荷主事業者・物流事業者の取組に関するガイドライン」を策定し、荷待ちや荷役作業等にかかる時間を2時間以内にするよう定めています。
ガイドラインでは荷待ち時間等の削減のために「トラックの予約受付システム」を取り入れることを推奨しています。ドライバーがあらかじめ荷下ろしをする場所を予約することで、待ち時間を削減するというシステムです。荷主と受主が連携し積み下ろしのスケジュールを調整するなど、複数の対策を行うことでより高い効果が期待できます。

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2024年問題に対応している企業の事例

2024年問題に対応するため、多くの企業が対策に乗り出しています。

●佐川急便

佐川急便株式会社(以下、佐川急便)では、2024年問題と環境問題を解決するために「共同配送」に注力しています。パン業界全体が配送コストの高騰やドライバー不足に悩んでいたことから、複数のパンメーカーの商品を佐川急便の共同配送センターに取りまとめて小売店へ配送する仕組みを構築しました。配送が効率化されたことで配送コストや配車業務の削減につながり、配送車両台数の削減によってCO2排出量の削減も実現しています。

参考:佐川急便HP 「パンの共同配送プロジェクトを佐川急便主導で実現!」
https://www.sagawa-exp.co.jp/logistics/casestudy/25/

共同配送のイメージ図。佐川急便HPより引用
(URL:https://www.sagawa-exp.co.jp/logistics/solution/retail/)

●日本通運

日本通運株式会社では2024年問題によってドライバーが減少することの対策として物流効率化に取り組んでいます。物流効率化の施策の一つとして自動配車システムを活用した運行ルートの最適化を行っています。自動配車を行うことで規定の拘束時間内での配車が可能になります。

参考:国土交通省 「第2回自動物流道路検討会ヒアリング(2024.03.28) 資料2」
https://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-council/buturyu_douro/pdf02/03.pdf

●アスクル

アスクル株式会社は配送しやすい商品の企画や開発を行っているほか、購入者に対して配達日を遅らせるインセンティブを提供することで配送の負担軽減に取り組んでいます。プライベートブランドの2リットルペットボトル入りのミネラルウォーターを配送に使う段ボールに収まるよう5本組で販売し、他の商品と一度に配送できるよう工夫しています。また、個人向けのECサイト「LOHACO」では「最短お届け日」より数日遅い配達を選択するとポイントがもらえる「おトク指定便」サービスを導入。配送日を分散することで配送サービスの負担軽減に取り組んでいます。

参考:LOHACO HP「人にも、環境にも、やさしい水 LOHACO Water」
https://lohaco.yahoo.co.jp/special/event/lohaco_water/?srsltid=AfmBOoppKoPrcVRIGr9GNDWeK9wgxF0x0bJgMCo3qAf2OY-FChLRaMU2#point_l

参考:LOHACO HP「急がない荷物はゆっくりお届け日指定でオトク!おトク指定便」
https://lohaco.yahoo.co.jp/special/event/delivery_point/?srsltid=AfmBOor9GXhSSSO-qOvWPJPFYShaXqYBiSHK0_mV-a-A99DuT040qYSq

まとめ

2024年4月にバスやタクシー、トラック運転手などに対して時間外労働規制の見直しが行われたことで、運送業の人手不足による倒産が増加したり、バス事業者がバスの減便を余儀なくされるなど既に私たちの生活に大きな影響を及ぼしています。人手不足の状況下では物流DXをはじめとする業務効率化に取り組むことが欠かせません。積極的に効率化に取り組む先進事例を参考にしながら取り組んでいきましょう。

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