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全国展開が期待されているバスタプロジェクトとは?

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2021年4月、国土交通省は「交通拠点の機能強化に関する計画ガイドライン」を発表しました。このガイドラインは今後全国展開が期待されているバスタプロジェクトの法的なよりどころになると期待されています。しかし、そもそもバスタプロジェクトという言葉を聞いたことがない、という人もいるかもしれません。そこで今回は、バスタプロジェクトとは何か、その意義、今後の広がりについて詳しく解説します。

バスタプロジェクトとは

バスタプロジェクトとは、鉄道やバス、タクシーなどの集約型公共交通のターミナルを官民連携で整備するプロジェクトです。それまで駅周辺の様々な場所に点在していたバスやタクシーの乗降場を一点に集中することで利用客の利便性を高めよう、というわけです。バスタプロジェクトの「バスタ」という名称は公募によって選ばれました。バスタという言葉によってバスが星(スター)のようにターミナルから各地へ向けて放射される様や、バスターミナル、バスとタクシーの略称を表しています。

これまでターミナルはただ移動拠点の場に過ぎませんでした。しかし、バスタプロジェクトではターミナルの目的をただ移動しやすいだけでなく、より安全で快適でにぎわいのある場所にすることと定義しています。

バスタプロジェクトのメリットとしてまず挙げられるのは、電車やバス、タクシーといった公共交通の乗り降りや乗り換えの際の利便性向上です。
様々な公共交通機関のターミナルが一カ所に集中していることにより、利用者はより快適に、分かりやすく乗り降りや乗り換えができるようになるでしょう。その結果、ECT2.0のようなデジタル技術の活用やMaaS(Mobility as a Service)のさらなる推進につながります。

ターミナルを一カ所に集中することは災害対策にもなります。バスをより使いやすくすることは災害時にバスを鉄道の代替交通機関にすることにつながるでしょう。
実際、2011年の東日本大震災では、運休した東北新幹線の代替輸送手段として高速バスが活用されたことが大きな話題となりました。また、各交通機関のターミナルが一カ所に集中しているため、災害や運行に関する情報収集・活用もしやすくなります。とりわけ災害時にはこのことが大きな利点となるでしょう。

さらに、ターミナルが地域の拠点となって新たなにぎわいづくりに貢献してくれることも期待されています。
人が集まる場となることで、ターミナルでのイベント開催や告知を行うことができるでしょう。ターミナルから周辺各地への移動がしやすくなることは周辺地域に向かう人を増やし、その結果、地域のにぎわい強化にもつながります。

バスタプロジェクトの事例にはどんなものがある?

バスタプロジェクト第1号となったのは、2016年4月に開業したバスタ新宿です。JR新宿駅南口に整備されたこのターミナルは4階建てとなっています。1階はJR新宿駅のホームで2階に改札があり、3階にはタクシーと高速バス(3バース)の乗降場が、4階には高速バス(12バース)の乗降場があります。
そのほか、施設内には待合所やトイレ、土産物屋、コンビニ、外国人観光客向けの観光情報センターなどが設置されており、従来のターミナルよりもより快適性の高い空間になっているのが特徴です。

バスタ新宿には100社を超える高速バスが乗り入れているほか、開業以来平均で1日1500便の高速バスが発着し、約3万人が乗降しています。新型コロナウィルスの流行以降利用者の数は減ってきているものの、感染拡大が収まった後には再び多くの利用客が戻ってくると期待されています。

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バスタプロジェクトは今後どう展開する?

バスタプロジェクトはバスタ新宿を皮切りとして全国各地で展開していきます。2019年には品川駅西口で高速バスやタクシーのターミナルのほか、官民連携によって自動運転など最先端のモビリティーの乗降場を備えた次世代型交通ターミナルを整備する事業が開始されました。
また、2020年には新潟駅と神戸三宮駅、2021年には神奈川県横須賀市の追浜駅と三重県四日市市の近鉄四日市駅、広島県呉市の呉駅において交通ターミナル整備事業が事業化されました。そのほか、札幌駅や仙台駅、大宮駅、長崎駅などでもターミナル整備の検討が行われています。

その一方、バスタプロジェクトにはいくつかの課題があることを見逃すことはできません。
ひとつは、法整備が追い付いていないことです。たとえば、バスタ新宿は「道路付属物の一般交通の用に供する自動車駐車場」として整備されています。そのため、バスやタクシーの専用ターミナルであるという法的な位置づけがされていないのです。

また、バスタ新宿はターミナルの運営会社とターミナル内の商業施設の運営会社が別々になっていることが大きな問題だとされています。それだと施設の運営において民間のノウハウを十分に活かすことができないからです。
しかし、2020年の道路法改正によってバスやタクシーなどを停留できる「特定車両停留施設」においても空港などに導入されているコンセッション方式が導入できるようになりました。そうしたことから、鉄道会社や不動産会社、建設会社などがこのプロジェクトに大きな関心を示すだろう、と予想されています。

バスタプロジェクトは新たな技術が普及する大きなきっかけとなる!

これからの交通マネジメントについて考える際、ECT2.0をはじめとしたICT技術の活用や自動運転など新しいモビリティへの対応は必須の課題といえます。
バスタプロジェクトが全国に展開されてゆくことは、そうした新しいIT技術やモビリティが全国的に広まってゆく大きなきっかけとなるでしょう。そのようなプロジェクトが国主体ではなく官民連携で行われる、ということも注目すべきポイントです。

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