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インターネット上でのバスの経路検索を可能にする「GTFSデータ」とは?推進される背景や事例を紹介!

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近年、日本国内では「GTFSデータ」を整備して地図アプリや路線情報にバスの運行情報を掲載する取り組みが進められています。世界中で活用されているGTFSは、公共交通の情報をスピーディーに得られる便利なデータフォーマットです。
本記事では、GTFSデータの活用が進む背景や、日本国内で行われているGTFSデータの活用事例を紹介します。

GTFSデータとは

GTFS(General Transit Feed Specification)は、経路検索サービスや地図サービスへの情報提供を目的としてアメリカで策定された世界標準の公共交通データフォーマットで、一定のルール(項目やファイル名の形式)に沿って作られたTXTファイル群で構成されています。
GTFSは公共交通機関のデータを利用者に提供する方法の一つとして、世界の中で普及が進んでおり、多くの地域ではオープンデータとして公開されています。また、バスのデータだけではなく、鉄道や飛行機など様々な公共交通で利用可能であることも特徴です

日本でも、国土交通省によって2017年にバス事業者と経路検索事業者との間でデータの受け渡しをするための「標準的なバス情報フォーマット」が策定されました。バス関連のデータには、経路の検索や時間の確認などの静的情報とリアルタイムで変わる位置や遅延に関する動的情報があります。日本の「標準的なバス情報フォーマット」では、静的情報を「GTFS-JP」、動的情報は「GTFS-RT」と呼んでいます。GTFS-JPとGTFS-RTを組み合わせることで、電車やバスの遅延情報や接近情報を把握することが可能になります。

GTFS-JPデータの整備が進んでいる背景

日本では、近年GTFS-JPデータの整備が急速に進められています。その背景の一つとして挙げられるのは、外国人観光客への案内業務が急務となっていることです。
岐阜県中津川市が観光名所である「馬籠宿」行きのバスをどのように知ったかアンケートを取ったところ、外国人の場合はGoogleマップを通じて知ったという人が2割以上という結果になりました。GTFSデータを活用してインターネット上で公共交通機関の運行情報や経路を把握することができれば、より外国人観光客はスムーズに日本国内を観光でき、窓口などでの案内業務の時間も短縮できるでしょう。

また、GTFS-JPデータの整備は地域の公共交通機関の利用を促進することにもつながります。国内の地方都市や町などでは自家用車で移動する人が増えたことで、路線バスを使う人が年々減ってきました。公共交通機関を利用する人が減ると、路線の廃止や交通事業者の撤退が進む原因となります。ただ、車の運転できない学生や高齢者などにとっては公共交通の手段は欠かせません。GTFS-JPデータを整備することでインターネット上で公共交通の経路検索が可能になるので、今まで公共交通を活用していなかった利用者が増えると期待されています。

日本国内におけるGTFSデータの活用事例

日本国内でも、GTFSデータを路線バスの経路検索に活用する事例が増えてきました。なかでも注目されている事例を2つ紹介します。

  • 岐阜県中津川市

    岐阜県中津川市は公共交通を担当している「定住推進課」が中心となってGTFSデータを整備し、市内を走る民間路線バスと市が運営するコミュニティバ
    スについてインターネットによる経路検索が可能になりました。
    外国人観光客などを含め、利用者の利便性向上に貢献しています。また、GTFS-JPデータとバスに搭載されたGPS機器から得た位置情報を組み合わせてバスの
    遅延を加味した到着時間を案内するデジタルサイネージを病院に設置するなどのサービスも行っています。
    ただデータを整備するだけではなく、より便利に公共交通を利用するための取組みを行い、いつまでも住み続けたい、住みたくなる街を目指しています。

  • 小豆島オリーブバス(香川県土庄町)

    小豆島を運行する「小豆島オリーブバス」は四国運輸局が行う「SHIKOKU楽ちんプロジェクト」の一環でGTFS-JPデータを整備しました。従来はGoogle
    マップで検索できるのは1路線のみでしたが、新たに8路線が追加され、フェリー航路を含めた経路検索ができるようになりました。小豆島は「瀬戸内国際芸
    術祭」の開催地の一つであり、外国人観光客も多く訪れます。バスや航路も含めた島内の観光地までの経路がスムーズに検索できるようになり、観光客の増
    加が期待されます。

GTFSデータの活用が公共交通の利便性を向上させる

路線網が複雑でダイヤの改正なども多い路線バスも、GTFSデータを整備することで経路検索に掲載することができるようになり、利便性が向上します。
また、経路検索に掲載されることで、来訪者や外国人観光客等にバスの存在を認知してもらいやすくなります。自家用車の普及により、公共交通の利用者は減少
傾向にありますが、新たな利用者が増えることで路線の廃止や減便を防ぐ効果も期待されています。
公共交通事業者と利用者どちらにもメリットのあるGTFSデータは、ますます交通事業者へ普及していくと考えられます。

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GTFSデータを活用したデジタルサイネージシステムとは?

GTFSデータを活用することで、バスのダイヤや運行情報をデジタルサイネージ上に自動で配信しています。
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