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大日本コンサルタントが進める「防災×MaaS」に着目した避難所運営のデジタル化を支援する取り組みとは?

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近年、集中豪雨や台風などの自然災害が増える中、AIやIoTなどの技術を活用した防災のDX(デジタルトランスフォーメーション)化に注目する自治体が増えています。
特に、多くの自治体では人手不足の中でどのように災害へ対応していくかが課題となっており、住民の避難行動に対する支援や、避難所運営におけるデジタルの活用が注目されています。
今回は、Will Smartとの共創により、住民の安全・安心な避難と自治体職員の避難所運営をサポートする「ヒト・モノの把握・可視化システム」の開発を行っている大日本コンサルタント株式会社のインフラ技術研究所 技術開発本部 次世代交通推進室の富田様、大谷様にお話を伺いました。

—貴社は高いコンサルティング能力を強みに社会インフラを支えていらっしゃいますが、貴社のインフラ技術研究所は、どのような役割を担っているのでしょうか。
富田:当社のインフラ技術研究所は、当社が強みとしている橋梁設計のセクションを中心に、設計をしていく上での特許や、橋梁点検などの新しい技術の開発を行いながら、それを支社に水平展開していくという役割を担っています。
その中で私たちの所属している次世代交通推進室は、公共交通ネットワークの再編や新しい公共交通の導入など交通計画分野においてまだ実績の少ない案件の対応などを行っています。また、インフラ技術研究所全体と同様に支社への水平展開にも取り組んでおり、当社で実績のない分野の受注につながるような環境づくりをしています。

▲(写真左から) 大日本コンサルタント株式会社のインフラ技術研究所 技術開発本部 次世代交通推進室 大谷様、富田様

—新しい技術の開発や新規事業を中心に取り組んでいらっしゃるんですね。では、今回のメインテーマである住民の安全・安心な避難と自治体職員の避難所運営をサポートするシステムの開発もそうした新しい取り組みの一つとして推進されているのでしょうか。
富田:そうですね。我々のミッションである交通計画分野での新しい取り組みのひとつとして、住民の安全・安心な避難と自治体職員の避難所運営をサポートする、ヒト・モノの把握・可視化システムの開発を進めています。
このシステムでは、災害発生時に避難者が知りたい情報をリアルタイムに発信しますので、住民は安心して避難することができます。また、システムを介して避難所の混雑状況や救援物資の情報を管理し、避難所運営に関わる業務負荷の軽減も実現します。

—可視化システムの開発の背景として、どのような経緯がありますか。
富田:防災・減災とMaaSに着目して、これらを組み合わせて何かできないかな、と考え始めたのがきっかけです。
当社の次世代交通推進室は、自動運転やMaaSなどを扱う部署として2020年に誕生した部署です。自動運転やMaaSに関連した取り組みを軸として、基本的には公共交通関係で自治体の担当者の方とお話しする中でご相談いただいたり、課題を見つけて解決策を考えたり、といった取り組みをしています。
ただ、自動運転やMaaSに関する取り組みは2017年から2018年頃から徐々に広まってきているので、我々のMaaSの取り組みは、そこから2、3年くらい遅れをとっています。そうすると、既に確立されている市場に入り込むためには、何か新しい観点を持つ必要がありました。

大谷:そもそもMaaSというのは、「Mobility as a Service」の頭文字を取ったもので、出発地から最終目的地までのルート検索から予約、決済などを一連のサービスとして、アプリなどで完結させようという概念です。このようなサービスの導入が進むと人々の移動に関する情報がどんどんビッグデータとして蓄積されていくので、例えば、混雑時間帯を避けて電車を利用してくれた人にはポイントを付与する、みたいな形で移動をもっと最適化できるようになると考えています。

—新しい観点の必要性を感じたときに災害時のMaaSに着目したのはなぜですか。
富田:ひとつは、インフラ技術研究所では他の部署を含めて、防災・減災の分野に力入れて取り組んでいるので、自然とそういうところに着目したという流れがあります。

大谷:その他にはMaaSの取り組みの中で蓄積されていく移動データを、災害対策に生かせるのではないかと考えたことも災害MaaSに取り組むきっかけになりました。

—そのような経緯で始まった災害MaaSの企画、「避難所におけるヒト・モノの把握・可視化システム」は、どんな課題を解決するシステムなのでしょうか。
富田:このシステムは自治体の避難所運営を中心とした災害時のお困りごとを解決するシステムです。
災害MaaSの企画を検討する中で、自治体から災害時の業務についてどのような業務に負担を感じているのかをヒアリングしていったのですが、避難所の受付業務に時間がかかるため、受付に避難者の列ができてしまうことや、一部の避難所に人が集中してしまい、避難所をたらい回しになってしまうことなどの課題が浮かび上がってきました。
そこで、避難所の運営における課題解決するツールを提供していきたいと考え、Will Smartとの共創による避難所ヒト・モノ可視化システムの構築に至りました。

—「避難所におけるヒト・モノの把握・可視化システム」を構築するにあたって重視していた機能はどのような部分なのでしょうか?
冨田:特に重視していたのは一部の避難所に人が集中しないようにリアルタイムで混雑状況を表示する機能を設けたところでしょうか。また、避難所の運営を行う自治体の職員の方からはどの避難所に何がどれくらい備蓄されているのか管理できるのが便利だという声をいただいています。
また、JX通信社が開発・提供を行っている「FASTALERT」の発災箇所の情報を活用することで避難所までのルートに危険がないかを確認することも可能になり、避難者は自分向かう避難所の情報をより詳しく知ることができます。
避難所の受付業務に時間がかかってしまうという課題については、避難所に設置したQRコードを避難者に読み込んでもらい、それぞれのスマートフォンから避難所の受付登録をしてもらうことによって業務を効率化できるようになりました。

▲避難所の満空情報の可視化


▲住民用の避難者情報登録フォーム

—当初想定していた避難所に関する課題については可視化システムによって大幅に改善されそうですね。システムの普及に向けた今後の展望や課題などはありますか?
冨田:せっかくシステムを導入しても災害時にきちんと使われなければ意味がないので、避難所の受付にスマートフォンが使えることや避難所の混雑状況がリアルタイムで確認できることを平常時から市民の方に知っていただけるように取り組んでいかなければならないと感じています。

例えば、JX通信社の「FASTALERT」の情報は平常時も確認することができるのですが、今は文字情報しかないところに写真や動画が見られるような機能を追加していくことで、平常時から可視化システムを市民の方に活用してもらえるのではないかと考えています。
防災や減災の取り組みだけではなく、デジタル田園都市国家構想の実現に向けた取り組みも行っています。本システムを各自治体に広めていくことで、社会課題の解決に努めてまいりますのでご期待ください。

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お問い合わせ窓口
DNホールディングスグループ 大日本コンサルタント株式会社
インフラ技術研究所 技術開発部 次世代交通推進室  

■メール:info@ne-con.co.jp
■ヒト・モノの把握・可視化システムに関する詳細については▼こちら
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