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物流業界が実践するSDGsの取り組みとは?環境問題と人材不足の解決策

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物流業界は、CO2排出量の削減や労働環境の改善など、SDGsと密接に関わっています。特に運送過程での環境負荷低減と、深刻化するドライバー不足への対応は、業界全体で取り組むべき重要な課題です。
本記事では、物流業界の企業がSDGsの目標達成に向けて実践できる具体的な取り組みを、先進企業の事例を交えながら詳しく解説します。

物流業界におけるSDGs取り組みの重要性

物流の運輸部門におけるCO2排出量は、日本全体の排出量の約2割を占めており、削減が強く求められています。また、ドライバー不足も深刻化しており、物流サービスの安定提供には、以下の問題に正面から対処する必要があります。

物流業界が抱える2つの問題

物流業界は現在、環境問題と人材・労働問題という2つの問題に直面しています。
日本の産業部門別CO2排出量のうち、運輸部門から出るCO2は年間2億1,300万トンにのぼります。特にトラックによる輸送が中心となっている現状を見直し、環境への負担が少ない輸送手段に切り替えていく必要があります。
一方、人材・労働面ではドライバーの高齢化が進み、若い世代の就業者数も減少しています。2024年4月から始まった労働時間の上限規制も加わり、働き方の見直しは待ったなしの状況です。

SDGsの目標との結びつき

物流業界の取り組みは、いくつかのSDGs目標と深く結びついており、CO2の削減は目標13「気候変動に具体的な対策を」に直接つながります。また、働く環境の改善は目標8「働きがいも経済成長も」に、物流の新しい仕組みづくりは目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」に関係しています。

環境負荷低減に向けた具体的アプローチ

環境への負担を減らすことは、企業の社会的な役割を果たすだけでなく、経営の効率化にもつながります。ここでは具体的な取り組み方法をご紹介します。

モーダルシフトの推進

トラックから鉄道や船舶への輸送手段の切り替えは、CO2排出量の大幅な削減につながります。例えば、500km以上の長距離輸送では、トラックと比べて鉄道なら87%、船舶なら90%もCO2を減らすことができます。
ただし、輸送時間の調整や荷物の積み替えをスムーズに行う工夫が必要です。これに対して、他社と輸送をシェアしたり、専用の列車を使ったりする方法で対応している企業が増えています。このような取り組みは、燃料コストの削減や長距離ドライバーの負担軽減にもつながり、経営効率の向上にも貢献しています。

共同配送の実現

複数の企業が配送を一緒に行うことで、配送の効率を上げながらCO2を削減できます。また、都心部では、交通渋滞の緩和にも役立ちます。例えば、札幌都心部での実証実験では、参加した物流事業者の1日における配送時間が最大で63%減少し、6社の運送事業者が協力して850個の荷物を共同配送しました。
共同配送を成功させるには、参加企業同士でルールをしっかり決めることと、それを支える配送管理の仕組みづくりが大切です。配送する地域や時間帯の調整、費用の分け方など、細かな点を事前に決めておくと、スムーズに進めやすくなります。
出典:札幌都心部で荷物の共同配送実験を実施

環境に配慮した車両の導入

電気自動車(EV)やハイブリッド車を使うことで、直接的にCO2を減らすことができます。特に市街地での配送では、EVトラックの導入が効果的です。走行距離や充電設備の問題はありますが、無理のない範囲で少しずつ導入を進めることで、着実に環境への負担を減らすことができます。
導入時の負担を減らすため、政府による補助金制度も用意されています。環境に配慮した車両を導入する際には、車両価格の半額まで補助を受けられる場合もあります。

ドライバー不足解消に向けた取り組み

深刻化するドライバー不足に対しては、労働環境の改善と業務効率化の両面からアプローチが必要です。働く環境を整備しながら、最新のデジタル技術も活用することで、持続可能な物流体制を築くことができます。

労働環境の改善施策

ドライバーの定着率向上には、適切な労働時間の管理が欠かせません。デジタルタコグラフを使って運行を管理したり、荷主企業と協力して待機時間を減らしたりする取り組みが効果を上げています。
また、快適な休憩場所の確保も重要です。特に長距離運転では、安全に駐車できるスペースとしっかりと休める施設が必要となります。最近では、自社で休憩施設を整備する運送会社も増えています。

デジタル技術の活用

AIを使って最適な配送ルートを組み立てることで、ドライバーの負担を減らしながら、配送の効率も上げられます。渋滞などの交通情報をリアルタイムで反映したルート提案や、荷物の積載効率を考えた配送計画など、デジタル技術の活用場面は広がっています。
また、倉庫作業の自動化やデジタル化により、ドライバーの作業時間を減らすこともできます。自動倉庫やデジタルピッキングシステムを導入すれば、作業時間を短くしながら、正確さも高めることができます。

具体的な取り組み事例に学ぶ

SDGsの取り組みで成果を上げている企業の事例から、実践のためのヒントを見ていきましょう。企業の規模や業態に応じた最適な方法を選ぶことがポイントです。

大手物流企業の取り組み

大手物流企業では、環境への取り組みを数値で管理し、計画的に進めています。例えば、2030年までにCO2排出量を2013年比で50%削減する目標を掲げ、EVトラックの導入や再生可能エネルギーの活用を積極的に進めている企業があります。
こうした取り組みを円滑に推進するため、全社的な推進体制を整えています。部門をまたいだプロジェクトチームを作り、会社全体で課題に取り組む体制を作っているのが特徴です。

中小企業での実践例

中小企業でも、着実に成果を上げている例があります。まずは自社の現状をしっかり把握し、効果の高い取り組みから順に導入していくアプローチが有効です。
例えば、最初はデジタルタコグラフの導入から始め、その後ルート最適化システムを取り入れるなど、段階を追って設備投資を行うことで、確実にデジタル化を進めている企業もあります。

まとめ

物流業界におけるSDGsの取り組みは、環境負荷の低減とドライバー不足の解消という2つの大きな課題に集中して取り組むことが重要です。モーダルシフトや共同配送の推進、環境に配慮した車両の導入は、CO2排出量の削減に確実な効果をもたらします。同時に、デジタル技術を活用した業務の効率化や、働く環境の改善は、ドライバー不足の解消につながります。自社に最適なIT技術を検討し選定することが大切です。

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