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セミナー・体験レポート

小型車実証運行開始、車なしでも南足柄観光ができる! 観光とグルメを楽しむ1日モデルコース

南足柄市は都心から1時間半程度で行けて富士山の絶景が楽しめる、日帰り旅行には絶好の観光スポットです。また、令和7(2025)年10月6日から12月27日まで、実証実験として既存の路線バスが運行しない時間帯にも小型車が運行をしているため、車なしでも快適に観光が可能です。

そこで今回はバスを活用して行ける、南足柄の観光とグルメを楽しむ1日モデルコースについて、詳しく紹介します。興味のある方や車を持っていない方はぜひ参考にしてください。

小型車の運行とは

全国的なバス運転士不足の影響により、南足柄市内を運行する関本~地蔵堂・内山間のバス路線では、一部時間帯での減便が発生し、通院・買物・通勤・通学や登山客など、地域住民と観光客双方の移動手段の確保が課題となっていました。
これを受け、路線バスの運行がない時間帯の生活の足・観光の足を補うために実証運行として始まったのが、小型車(9人乗りワゴン車)の運行です。南足柄市では、路線バスの運行しない時間帯に小型車が路線バスの代わりとして運行する新しい形の公共交通モデルを構築し、令和7年10月から12月の間実証運行を行っています。
既存の路線バスを含めて利用状況を調査しており、地域住民や観光客のニーズに合った運行方法の検討・公共交通の維持向上につなげることを目指しています。

実証運行のリーフレット(出典参照)における運行ダイヤの赤字部分は、小型車で運行される便を示しています。9人乗りワゴン車を使用することで、大型二種免許ではなく「普通二種免許」を持つドライバーでも運転できるようになります。これにより、路線バスの運行がなかった時間帯にも小型車を運行することができます。

現行の路線バスはバス停によって5~7時間バスが来ないこともありますが、小型車が運行することで、ほとんどのバス停が1~2時間に1本程度の間隔になります。12月まで運行する予定で、運賃も利用区域に応じ300~500円(中学生以上)で利用できるため、ぜひ南足柄市にお越しの際は利用してみてはいかがでしょうか。

● 運行期間:令和7(2025)年10月6日(月)~12月27日(土)
● 運行スケジュール:平日・土曜日8時〜20時(日曜・祝日運行なし)
※現行路線バスが運行していない時間帯のみ運行

【走行エリア】関本~矢倉沢・内山・地蔵堂

出典:路線バス小型車実証運行

関本から地蔵堂までの所要時間約25分

【運賃:現金のみ】
● AまたはBのみ:300円
● AとBどちらも:500円

【B区域の予約方法】
予約専用WEBサイト(24時間受付)
● 電話受付:0465-35-0818(6:00~19:00)

予約専用Webサイトはシンプルな設計です。乗車日や乗車時間帯、乗降停留所、人数など必要な情報を打ち込み、画面下の「予約」ボタンを押すだけで誰でも簡単に予約可能です。

予約完了時に、画面に予約番号が発行されます。キャンセル時は、電話にて予約番号を伝える必要がありますので予約画面を保存しておきましょう。

【各バス停の時刻表】
実証運行リーフレットに掲載しているバス停以外の時刻表は、南足柄市公式ホームページの実証運行ページ上にPDF形式で掲載されています。ぜひこちらも参考にしてください。

各バス停の時刻表について詳しく見る

【バスロケーションシステム】
小型車が運行する時間になるとバスロケーションシステムで小型車の現在位置や残りの座席数などを確認する事が出来ます。(よいしょの金太郎アイコンが小型車の現在位置として表示されます。)

バスロケーションについて詳しく見る

今回体験した観光コース(1日)

今回は実際に、小型車の運行を利用して大雄山駅から地蔵堂まで行き、幾つかの観光スポットを巡ってきました。本記事で紹介する観光スポットはすべて1日で回れますので、ぜひ興味のある方はコースの参考にしてください。

地蔵堂地区

地蔵堂地区は「金太郎伝説」の残る土地として有名で、さまざまな観光スポットが存在します。金太郎はこの地で生まれ育ち、勇猛な武将として知られる源頼光の家来となって坂田金時と名を改め、京の都へ上り、源頼光の四天王の一人として、その名を天下にとどろかせました。

各スポットはどれも近い距離にあるため、立ち寄った際はウォーキングがてら、見て回るのもおすすめです。

【主な観光スポット】
● 夕日の滝:落差23m・幅5mの滝で、金太郎が産湯をつかったとされる
● 金太郎遊び石:金太郎が幼い頃動物たちと遊んだと伝えられる巨石
● 金太郎生家跡:金太郎が誕生した生家の跡地、現在は家の土台部分のみが残存
● 地蔵堂:登山口にあるお堂、神奈川県の重要文化財に指定された地蔵2体が収蔵庫に保管

【主なアクセス方法】
最寄り駅「大雄山駅」のバス停「関本」から約25分、バス停「地蔵堂」で下車

足柄万葉公園

神奈川県と静岡県の県境に位置し、南には箱根、東には足柄平野や相模湾が見渡せる公園です。万葉集(日本最古の和歌集)には足柄の歌が多いことから、歌を刻んだ石碑や関連する植物などが楽しめます。

また、万葉公園から徒歩7分程度歩くと足柄峠があり、その近くにある足柄城の跡地からは富士山の絶景が楽しめます。

【主なアクセス方法】
バス停「地蔵堂」で下車し、徒歩で60分程度

道の駅 足柄・金太郎のふるさと

豊かな自然に囲まれた足柄の魅力を発信する拠点として、2020年に開業した施設です。地域の農産物直売所や、地元の畜産物・農作物を使った食堂、地域住民の交流施設などが備えられています。

直売所では、新鮮な野菜や果物などはもちろん、足柄茶、足柄牛をテーマに開発したオリジナル商品も多数販売。食堂では特産品「相州牛」をはじめ、「やまゆりポーク」「かながわ鶏」を使用したオリジナルの創作グルメやお茶を練り込んだそば、スイーツなども楽しめます。

【主なアクセス方法】
大雄山駅からタクシーで6分程度、徒歩の場合は20分程度

乗車体験レポート

今回は小型車で地蔵堂へ行き、足柄古道を通り、足柄万葉公園エリアまで行って足柄城の跡地から富士山を見たあと、バスで駅まで戻ってきてから道の駅へ行く計画です。日本の文化が大好きで茶道まで始め、最近はほうじ茶の焙煎にもハマっているという日本在住のアメリカ人マイクさんにも協力してもらい、一緒に南足柄の魅力を体験してもらいました。

大雄山駅から地蔵堂へ小型車で移動

早速、最寄り駅である大雄山駅に到着。金太郎のゆかりの地だけあって、駅前には「金太郎」像も設置されていました。

まずは地蔵堂へ行くため、駅を出て右にある4番ロータリーへ移動し、10時台の小型車に乗り込みます。ちなみに、大雄山駅のバス停は名前が駅名ではなく「関本」のため、間違えないよう注意しましょう。小型車に乗り込むと、運転手の方が行き先や乗車人数について確認してくれました。

行き先を伝えると料金を教えてもらえるので、車内の料金箱へ先払いをします(現金のみです)。行き先や料金を事前に確認してもらえるため、初めてでも利用しやすいと感じました。また、ワゴン型のバスは思ったよりも広く、背の高いマイクさんでも問題なく座れました。

バスで移動中、運転手の方から南足柄の見どころについてもお話を伺いました。南足柄はお茶も有名で、途中で茶畑を見つけたマイクさんは足柄茶がどのような味か興味津々の様子。実際、後でお土産として何種類か購入していたようです。

普段小型車は関本~矢倉沢・内山の循環コースを回り、主に住民の方が生活の足として利用されています。循環コースの先にある地蔵堂へ行くには事前予約が必要で、予約が入ると車内にあるシステムに通知が入る仕組み。予約が入るとコースも自動的に変わるため、運転手の負担は少ないそうです。

地蔵堂から足柄古道へ

小型車に心地よく揺られて、約25分でバス停「地蔵堂」に到着。すぐ脇に地蔵堂があり、厳かな雰囲気を感じられました。周辺には「金太郎の遊び石」や「夕日の滝」などもあり、金太郎伝説の残る地として知られています。

地蔵堂を後にして道を登っていると石碑が現れ、足柄古道へと入ります。古道は山の中を通る、古くから使われている道のこと。マイクさんは、足柄古道が奈良時代(710~794年)にはすでに存在していたことに、驚いていました。

足柄古道はハイキングの初心者でも気軽に楽しめますが、舗装された道ではないため、ハイキング・トレッキングに向いた装備で登るのがおすすめです。実際、途中ですれ違った方はトレッキングポール(登山などで体の負担を軽減する杖)を使用していらっしゃいました。

古道は道路と隣接しているため、もしとても登れないと感じたり、途中疲れたと感じたりしたら、車道沿いを歩くのもよいでしょう。自分の体力や状況を見て、無理のないように楽しんでください。

足柄古道を抜けて足柄万葉公園エリアに到着。運転手の方からもおすすめいただいた、富士山が一望できるという足柄城址(足柄城跡)に向かいます。

富士山の一望できる足柄城址へ

足柄城址に到着し、階段を登るとそこには雄大な富士山の景色が……!と思いきや、あいにくの曇り模様で、ご覧のように富士山は全く見えない状況でした。

しかし20分ほど待っていると雲に切れ間が見え始めたため、もう少し粘ってみることに。マイクさんが日本茶セットを持参してくれたため、つかの間のティータイムを楽しみました。

「野点(野外でお茶を楽しむ茶会)ができた」と喜び、和気あいあいと過ごしているうちに段々と雲が薄れていきます。あと少しで富士山が見える…!

ついに富士山の姿を見ることができました!ここまで来る途中でも、何度か地上から富士山は見られましたが、足柄城址の景色は目の前をさえぎるものが何もなく、富士山だけをあますことなく目に焼き付けることができました。
雄大で荘厳な富士山の姿に圧倒され、息を飲む美しさに体の疲れも吹き飛びます。

その後は1時間ほど写真撮影や足柄城址の散策をして下山。地蔵堂まで戻ると、朝私たちを送ってくれた運転手の方が小型車で迎えに来ており、私たち以外にも数名の方がバスに乗り込んで関本まで戻りました。

道の駅でグルメに舌鼓

昼食やお土産購入のため、次はタクシーで6分ほどの場所にある道の駅 足柄・金太郎のふるさとへ。建物の前にはよいしょの金太郎の像や顔はめパネルがあり、写真撮影を楽しめます。

・【相州牛】ウニとろ牛めし
ウニとろ牛めしは、やわらかくさっぱりとした味わいの地元足柄の銘柄牛・相州牛をたっぷりと乗せ、その上からさらにウニを乗せた贅沢な一品。
・金太郎の小丼定食〜地魚小丼・ウニとろ牛小丼〜
海鮮と相州牛をそれぞれ同時に楽しむことができる定食。
・足柄茶そば 冷~曽我の梅と共に〜
足柄茶を使用した茶そばです。ツルツルとしたのどごしと足柄茶の香りが食欲をかきたてます。

食事の後は食堂の隣にあるアイスクリーム屋さんへ。

・きんたろーみるくミックスソフト
神奈川県産生乳100%のきんたろう(R)牛乳を使った、すっきりとした味わいのミルクソフトと、足柄緑茶を練りこんだ抹茶ソフトをミックスしたソフトクリーム。金太郎の金のオノがついてきて、見た目にも可愛い一品です。

マイクさんはこのソフトクリームがとても美味しいと大絶賛し、ソフトクリームを食べにまた来たいと言うほど。アイスクリームに求めるレベルが高いといわれる海外の方にも、高く評価される商品のようです。

・きんたろーみるく ミルククレープ ホイップ&クリーム(金太郎山盛り)
神奈川県産生乳100%のきんたろう(R)牛乳を使用した生地に、カスタードや生クリーム、クランベリーなどを包んだクレープ。クレープの上に盛るクリームの量は3段階で選べ、もっともクリームの量が多い「金太郎山盛り」には、こちらも金太郎の金のオノがついてきます。クリームは非常に軽い口当たりのため、金太郎山盛りでもぺろりと食べられました。

ランチとスイーツを満喫したあとは、帰りのお土産も購入。お店には地元の食材や、お茶・地酒など南足柄周辺の特産品、さらに金太郎グッズなどが豊富に取り揃えられており、見て回るだけでも楽しく、充実した1日を過ごせました。

まとめ

南足柄の豊かな自然やグルメを、車がなくても気軽に楽しめる――そんな旅を叶えてくれるのが、今回ご紹介した小型車です。公共交通だけでスムーズに旅ができるのは、普段車での観光を迷っている方にも大きな魅力。今回の旅では都心ではなかなか見られないような自然を、ゆっくりと堪能できました。

また泣く泣くコースから外したものの、約600年の歴史をもつ寺・最乗寺や温泉、キャンプなどさまざまな観光スポット・レジャースポットが存在します。南足柄市の観光パンフレットでは、お祭りの情報や桜・紅葉のシーズンなどについても紹介されているため、そちらも参考にしてください。

効率的に観光をしたいのであれば、事前にルートを決め、必要に応じて予約などを取るのがおすすめ。小型車を使えば、地元ならではの絶景や歴史、グルメまで自由に巡ることができます。今だけの実証運行も、ちょっと特別な体験になるはずです。

南足柄は東京から1時間半程度で気軽に行け、富士山やグルメなどが楽しめるおすすめの観光スポット。旅行終了後、同行したマイクさんにまた行きたいかとたずねると、「I’d love to go again!(訳:また行きたい!)」とすぐ答えが返ってきました。ぜひあなたも、路線バスや小型車を使い、南足柄の魅力を味わってみてはいかがでしょうか。

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