交通事業者などが次々に参入し展開する次世代教育モデルとは?
交通事業者などのBtoB企業に向けて、2020年のプログラミング教育の必修化を見据えた官民各団体の最新の取り組み事例を紹介します。
人工知能(AI)やIoT、ロボット等の技術の発展によって社会的課題を解決し、同時に経済発展を実現しようとする次世代社会、「society5.0」の時代が到来しようとしています。この時代の中心を担う今の子どもたちが、情報や技術に対して受け身になるのではなく、主体的に選択し活用していけるようになるため、小中学校・高校において2020年から順次、プログラミング学習が必修化されることになりました。
この準備の推進のため、官民による教育プログラムの共同開発や、教育領域への民間企業参入などが盛んに行われています。
これらの取り組みについて、本稿をお読みの各社様が参考にしていただけるよう、最新事例を紹介します。
目次
プログラミング教育推進の最新事例
内閣府は、society5.0がロボットやIoTの活用、ビッグデータの人工知能(AI)による分析を通して実現する「新たな価値」のイメージとして、交通、ものづくり、エネルギーなど7つの分野における事例を挙げています。
この実現のためには、各分野の企業や団体において、プログラミングに明るい人材が今後ますます必要になってくるでしょう。そんな未来を見据えた官民の各団体は、society5.0で求められる人材の教育を推進し、開発を牽引すべく、様々な取り組みを始めています。
文科省などが進める官民連携によるプログラミング教育推進月間「みらプロ」
文科省・総務省・経産省の3省は連携し、民間企業と共にデジタル教材の開発や学校のサポート体制構築を推進する団体として、2017年に「未来の学びコンソーシアム」を組織しました。
同組織は小学校プログラミング教育の実施に向けた準備を推進するため、2019年9月を「未来の学び プログラミング教育推進月間」とし、期間中に全国の小学校へ向けてプログラミング授業の体験に取り組むよう呼びかけています。
これに協力する民間企業はトヨタ自動車、グーグル、日本郵便など各業界の大手17社。
各社は「総合的な学習の時間」としてそれぞれ35時間分の指導案を用意し、企業訪問・講師派遣・教材提供を通したプログラミング体験で児童の理解を深め、各自の課題に探究的に取り組める活動を支援します。
各指導案の詳細は、「みらプロ」の特設サイトから確認することができます。
近鉄と「ロボ団」による教育コンテンツの共同開発
近畿日本鉄道は、ロボットプログラミング教室「ロボ団」を運営する夢見る株式会社と連携し、鉄道を題材としたロボットプログラミング教育コンテンツを共同開発することを2019年7月に発表しました。
「社会とつながるプログラミング教室 新プロジェクト ~鉄道編~」と題して、「子どもの教育と未来に希望を持てる沿線づくり」をテーマに、新たな価値を子どもたちに届け、子どもたちの教育と未来をより豊かにすることを目指すとのことです。
現時点で詳細は未定ながら、電車の運転や鉄道システムの制御のようなノウハウをロボットプログラミングに組み込んだコンテンツの開発を進めことを予定しています。
渋谷区と東急電鉄ら民間5社の官民連携によるプログラミング教育モデル構築プログラム
自治体の主導する取り組みとしては、渋谷区がいち早く動き出しています。
区の教育委員会は、渋谷区に拠点を置く民間5社(サイバーエージェント、GMOインターネット、DeNA、東急電鉄、ミクシィ)と「プログラミング教育事業に関する協定」を締結し、新しい教育モデルを構築するプロジェクトを推進することを発表しました。
「Kids VALLEY(キッズ バレー)未来の学びプロジェクト」と題し、各団体がそれぞれ次のような役割を果たすことで、渋谷区独自のカリキュラム開発とその発信を目指しています。
- 東急電鉄:行政や教育機関、IT企業などをつなぐハブの役割を務める
- 渋谷区教育委員会:教育過程上の助言と学校との橋渡しを行う
- IT企業4社:最先端のITスキルや、IT教育ノウハウの提供
まとめ
- society5.0の到来に備えた2020年のプログラミング教育の必修化に備えて、官民の各団体が教育プログラムの開発等に動き出している
- 文科省らが組織した「未来の学びコンソーシアム」では、プログラミング教育推進月間の準備の一環として民間17社と連携し、全国の小学校にプログラミング体験を提供している
- 近鉄はロボットプログラミング教室の運営会社と連携して、鉄道を題材にした教育コンテンツの共同開発に着手している
- 渋谷区は民間5社と提携し、渋谷区ならではの教育カリキュラムの開発を推進するプロジェクトを始動させた
プログラミング教育の必修化は、現場ではまだまだ認知や対策が進んでいないと言われています。
今後も企業の参入や官民の連携などはますます加速していくことが考えられるでしょう。企業にとってこの領域への進出は、注目度の高さや将来的な人材開発という点で実質的な利益があります。各団体は、このテーマの動向に今後も注目しておくべきではないでしょうか。
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