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役立つ記事

​​EVとは?モビリティ業界が注目する電気自動車の基礎知識と今後の展望​

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 近年、環境への配慮や技術革新により、EV(電気自動車)は世界中で注目を集めています。EVは、従来のガソリン車に代わる次世代の移動手段として、自動車産業に大きな変革をもたらしつつあります。本記事では、モビリティ業界に携わる方々に向けて次世代モビリティの主役と期待されるEVの基本的な仕組みや、その特徴、メリットやデメリット、さらには将来の展望まで、詳しく解説します。EVがもたらす新たなビジネスチャンスを見出し、今後のモビリティ産業の方向性を考えるきっかけとなれば幸いです。

EV(電気自動車)とは何か​

​​EV(電気自動車)は、ガソリンエンジンの代わりに電気モーターを動力源とする自動車です。バッテリーの電気エネルギーで走行し、排気ガスを出さない環境に優しい車両として注目されています。EVの登場は、自動車産業に大きな変革をもたらし、車両設計や製造プロセス、エネルギー供給インフラまで広範な変化を引き起こしています。本章では、EVの基本的な仕組みと種類について詳しく解説します。

EVの構成要素

​​EVの主要な構成要素とその役割について解説します。​

電気モーター 電気モーターは、電気エネルギーを機械的エネルギーに変換し、車輪を回転させます。高効率で静かな動作が特徴です。​
バッテリー EVの心臓部ともいえるバッテリーは、走行に必要な電力を貯蔵します。近年の技術革新により、容量と耐久性が大幅に向上しています。​​
​​インバーター インバーターは、バッテリーの直流電力をモーターに適した交流に変換する重要な役割を果たします。同時に、モーターの回転数や出力を細かく制御します。​​
​​充電システム ​​家庭用コンセントや専用の充電スタンドから電力を取り込み、バッテリーを充電します。急速充電技術の発展により、充電時間の短縮が進んでいます。​​​

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EVの種類​

​「電気を動力にする自動車」をEVといいますが、細かくみるといくつか種類があります。主な種類について、それぞれの特徴を説明します。

​​BEV(Battery Electric Vehicle) バッテリーと電気モーターのみで走行する完全な電気自動車です。排出ガスゼロを実現しますが、航続距離に制限があります。一般的にEVといえばBEVを指します。​
PHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle) プラグインハイブリッド車​。電気モーターとガソリンエンジンを併用し、外部充電も可能なハイブリッド車です。短距離はEVモードで、長距離はエンジンで走行できる柔軟性が特徴です。​​
HEV(Hybrid Electric Vehicle) ハイブリッド車​。電気モーターとガソリンエンジンを組み合わせた車両ですが、エンジンを使用して発電した電気をバッテリーに貯めてモーターを動かすため、外部充電はできません。燃費向上と排出ガス削減を両立します。​​​
FCEV(Fuel Cell Electric Vehicle) 燃料電池車​。水素と酸素の化学反応で発電し、電気モーターで走行する車両です。水しか排出しませんが、水素インフラの整備が課題です。​​​​

EVのメリット・デメリット

​​EVはガソリン車と比較して、環境面や経済面でのメリットや利便性など様々な利点があります。その一方で今後の技術開発や政策立案の方向性を考える上で課題も存在します。

メリット

電気自動車(EV)は走行中にCO2を排出しないため、都市部の環境改善に貢献します。また、電気モーターは内燃機関に比べて静かで振動が少なく、快適な乗り心地を提供します。さらに、燃料となる電気はガソリンより安価であり、エンジンオイル交換などの定期メンテナンスが不要なため、長期的な維持費が抑えられます。多くの国や地域で税制優遇や補助金制度が設けられており、EVの購入や利用に対する初期コストの軽減が可能です。加えて、大容量バッテリーを搭載しているため、災害時などに非常用電源としても活用できます。

​​デメリット

EVには従来のガソリン車と比較して、様々なメリットがある一方、デメリットも存在します。​
​​例えば、現状のEVは1回の充電で走行できる距離がガソリン車に比べて短いことや、ガソリンの給油に比べてバッテリーの充電に長時間を要することが挙げられます。また、バッテリーなどの高価な部品により、現状ではガソリン車よりも販売価格が高く、その高価なバッテリーも使用年数とともに性能が低下し、最終的には交換が必要になるため、どうしてもコストはかかってきてしまいます。さらに、充電インフラの整備状況も十分ではありません。​
​​メリット・デメリットの両方を理解したうえで、利用しましょう。

EVの現状と普及状況​

EVの普及は世界各地で急速に進んでいますが、その速度や規模は国や地域によって大きく異なります。本章では、世界のEV市場の動向、日本の普及状況、そして主要自動車メーカーのEV戦略について詳しく解説します。

​​海外のEV市場動向​

EVの普及は世界各地で急速に進んでいますが、そのスピード感や規模は国や地域によって大きく異なります。世界各国でのEV普及状況と、その背景にある政策や市場環境について説明します。

中国市場の急成長
​​中国はEV販売台数で世界最大の市場です。政府の強力な補助金政策や規制により、2023年のEV販売台数は約810万台に達しました。地場メーカーの台頭も目覚ましく、世界市場へ進出しています。
中国の大規模インフラ投資
​​中国は世界最大の充電インフラ網を持ち、2023年時点で約270万基の充電器が設置されています。政府主導で急速な整備が進められています。
​​欧州でのEV普及加速
EU各国の厳格なCO2排出規制により、欧州でのEV普及が加速しています。2020年には約130万台のEVが販売され、特にノルウェーでは新車販売の過半数をEVが占めるまでになり、2022年にはBEVの販売台数は14万台になりました。
​​北米市場の変化
​​テスラの成功により、北米市場でのEV認知度が向上しています。バイデン政権の環境政策強化に伴い、GMやフォードなど従来メーカーもEV開発を進めています。ただ、アメリカ合衆国は州ごとに規制や補助など異なるため、EV普及率に差が出ているようです。
欧米での充電ネットワーク
​​欧州では2023年時点で普通充電器・急速充電器あわせて70万台が設置されています。米国では約13万基の充電器があり、バイデン政権下で50万基への増設が計画されています。​

​​日本のEV普及状況

​日本におけるEV市場の現状と、今後の展望について詳しく説明します。

​現在のEV普及率
​​日本における2023年のEV(PHEVを含む)販売台数は約4.4万台で、新車販売全体の約1.66%と依然として低い水準にとどまっています。しかし、注目すべきはHEV(HVを含む)の販売台数で​​、2023年では5万2000台​​で新車販売台数の約1.97%を占めており、EVに比べて​​普及率が高い​​という点です。これは、多くの日本の消費者が既に環境への意識を高め、環境性能の優れた車を選択する傾向が強まっていることを示しています。このような消費者の環境意識の高まりと、環境性能重視の購買行動は、今後のEV市場にも大きな影響を与える可能性があります。
政府の普及促進策
2050年カーボンニュートラル実現に向けて、政府は購入補助金の拡充や税制優遇措置を強化しています。また、乗用車は2035年までに、新車販売で電動車100%、商用車については、2030年までに小型の車の新車販売の20-30%、大型の車については、2020年代に5,000台の先行導入を目指す目標を掲げています。
日本の充電ステーション数
EVの普及​​には、充電インフラの整備が不可欠です。​​年時点で、日本国内の急速充電器は約7,900基、普通充電器は約21,000基設置されています。政府は2030年までに充電器を15万基に増やす目標を掲げています。

​​主要自動車メーカーのEV戦略

​​世界の主要自動車メーカーのEV開発と販売戦略について解説します。

トヨタの電動化戦略
​​トヨタはHVでの成功を基盤に、PHVやFCVを含む幅広い電動化戦略を展開しています。2030年までに電動車のグローバル販売を年間550万台以上とする目標を掲げ、EV・FCVは、合わせて100万台以上を目指すと発表しました。
日産のEV先行戦略​
​​日産は2010年に量産型EVの「リーフ」を発売し、EV市場でのパイオニアとなりました。この経験を活かし、「アリア」など新型EVのグローバル展開を加速させています。また、2030年代早期に主要市場で100%電動化を目指しています。
​​テスラの破壊的イノベーション
​​テスラは高性能EVと先進的な自動運転技術で自動車業界に変革をもたらしました。直販モデルやOTAアップデートなど、従来の自動車ビジネスの常識を覆す戦略で急成長を遂げ、2020年には約50万台を販売しました。
​​ヒョンデ(ヒュンダイ)の積極的EV戦略
​​ヒョンデ自動車(現代自動車)グループは、EVへの転換を急速に進めています。専用EVプラットフォーム「E-GMP」を開発し、高性能かつ効率的なEVの量産を実現しました。アイオニック5やキア・EV6など、斬新なデザインと先進技術を融合させたEVモデルを次々と投入しています。EVの世界販売台数を2030年までに187万台、またバッテリーEVを17車種投入する計画を立てるなど、積極的なEV戦略を推進しています。また、水素燃料電池車の開発にも注力しており、乗用車から商用車まで幅広い車種でゼロエミッション車の普及を目指しています。

EVの技術革新と将来展望​

EVの技術は日々進化しており、その未来には大きな可能性が広がっています。最新技術動向と将来展望を理解することで、モビリティ業界の未来像をより具体的に描くことができるでしょう。​

バッテリー技術の進化​

EVの性能を大きく左右するバッテリー技術の最新動向について説明します。​

​​大容量化・軽量化​​​
​​現在主流のリチウムイオン電池は、エネルギー密度が年率5〜8%向上しています。2030年までにエネルギー密度500Wh/kg以上を達成することが目標とされています。​
​​​​急速充電技術​​​
​​現在の急速充電器(50kW)より高出力の超急速充電器(150kW以上)の開発が進んでおり、充電時間を10分程度まで短縮することを目指しています。​
​​​​全固体電池の開発状況​​​
​​液漏れや発火、破裂などのおそれがある液体電解質を含むリチウムイオン電池に比べ、全個体電池は固体の電解質であり、そのような危険性がないため、安全性が高いとされています。高エネルギー密度を実現できる全固体電池の開発が進んでいます。トヨタやVW等が2025年前後の実用化を目指しています。

自動運転技術とEVの融合​

​​自動運転技術とEVの組み合わせによる、新たなモビリティサービスの可能性について解説します。​

電動化と自動運転の相乗効果​
​​EVのモーター出力やバッテリー管理、ブレーキシステムなどを高精度にコントロールする精密な電子制御と自動運転技術の組み合わせにより、より安全で効率的な走行が可能になります。
​​無人EVタクシー・配送サービス
​​Waymo(Google)やCruise(GM)などが自動運転EVを使用したタクシーサービスの実用化を進めています。また、Amazonなどが自動運転EVを活用した無人配送の実験を行っています。
スマートシティとの連携​
​​自動運転EVを核とした次世代都市交通システムの構想が進んでおり、トヨタの「Woven City」計画などが注目されています。​​

EVを活用した新ビジネスモデル​

​​EVの特性を活かした新しいビジネスの可能性について紹介します。​

EV専用カーシェアリング​
​​ドイツの「Share Now(旧Car2Go)」や​​日本の「NISSAN e-シェアモビ」「eemo」​​など、EVに特化したカーシェアリングサービスが展開されています。
電力ビジネス​
​​日産自動車株式会社と大阪ガス株式会社は、EV充電電力を活用した再生エネルギー利用を進めていく電力ビジネスの協業を開始することになりました。​
バッテリーリース・​​リユース​​事業​
​​Renaultのバッテリーリース事業や、4Rエナジーによるバッテリーリユース事業など、EVバッテリーの新たな活用方法が模索されています。​

EVがモビリティの未来を切り開く

​​EVは単なる移動手段の進化にとどまらず、エネルギー産業や都市インフラを含めた社会システム全体に変革をもたらす可能性を秘めています。EVを取り巻く環境は最新の技術や新たなビジネスモデルの登場により急速に変化しています。​
​​EVの普及に伴い、車両データの活用や新たなサービス開発など、多くのビジネスチャンスが生まれています。​
​​このような機会を逃さないためにも、モビリティ業界に携わる企業や専門家は最新の技術動向や市場環境の変化に注目し、EVと情報通信技術(ICT)の融合や、再生可能エネルギーとの連携など、柔軟な発想で新たなビジネスモデルを構築することが今後ますます重要になるでしょう。​

ミライコラボを運営するWill Smartでは、EVの可能性を最大限に引き出すためのソリューションを提供しています。EVの車両データ解析から、リアルタイムデータ取得、システム開発、API連携まで、幅広くサポートしています。EVを活用した新規事業の立ち上げや既存ビジネスの拡大をお考えの方は、ぜひWill Smartのソリューションをご検討ください。

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