1. HOME
  2. 業界News
  3. i-Constructionが実現しようとする、建設業界のSociety5.0
業界News

i-Constructionが実現しようとする、建設業界のSociety5.0

業界News

この記事では、2016年のICT土工を皮切りに定められた新基準「i-Construction」について、政府が提唱するSociety5.0の実現に向けた取り組みと合わせて紹介しています。

建設業界では、依然として生産年齢人口の減少・建設技術者の高齢化に悩まされており、労働力不足が深刻化しています。外国人労働者だけでは埋まらない人手不足の溝を埋めるため、2016年を「生産性革命元年」と銘打って始まったi-Constructionの取り組みは、前進・深化の2年を経て、2019年の「貫徹」の段階に至りました。

「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)」というSociety5.0のコンセプトを建築業界で実現するため、今までベテラン陣に依存していた工事を、より安全かつ正確にこなせる環境を整備する動きが加速化しています。
また、国土交通省が、ICT技術導入の加速化を目的として「モデル事務所」・「サポート事務所」を決定したことにより、全国規模での効果検証・ノウハウ蓄積が期待されます。

ドローンに代表されるロボット技術・人工知能による建機の自動制御など、建築現場の設計・施工における、未来の姿を追いました。

i-Constructionが目指すもの

国土交通省は、測量・調査から維持管理までの先導的な3次元データの活用・ICT等の新技術の導入を加速化するため、国土交通省直轄事業を実施する事務所を決定したと発表しました。
北海道から沖縄まで、i-Constructionの取り組みを先導する「モデル事務所」は全国10事務所・ICT-Full活用工事の実施や地域の取り組みをサポートする「サポート事務所」は全国53事務所が定められています。

ここまで大掛かりなプロジェクトに発展したきっかけは、2016年9月12日に開催された「第1回未来投資会議」です。安倍総理が、建設現場の生産性を「2025年までに20%向上」させるよう、会議の席で方針を打ち出し、関係省庁へ指示を出したのです。

具体的には、橋・トンネル・ダムなどの公共工事の現場において測量にドローン等を投入し、施工・検査に至る建設プロセス全体を3次元データでつなぐという、新たな建設手法を3年以内に導入するというものです。このことから、i-ConstructionにおけるICT施工の優先順位としては、主に土木の分野が高いものと推察されます。

合わせて読みたい!建設現場の労働環境改善や働き方改革を推進するデジタルツールとは
次世代型デジタルツールよって、現場に端末を設置することで、安全啓蒙などを目的とした教育コンテンツの放送に加え、工具や弁当を注文するECサービスの利用も可能になります。その手法や導入事例をご紹介します。
→導入事例を読む

ICT施工が必要とされる背景

政府の動きが比較的迅速だったのは、建築業界における労働者人口の減少率が圧倒的に高いという現実があったからです。

日本建築業連合会の調査によると、2014年時点で150万人を超える50歳以上の技能労働者は、その7割が2025年までに離職すると予想されています。にもかかわらず、29歳以下の労働者は全体の10%以下となっており、本格的な人手不足はすぐ目の前に迫っていることが分かります。

土木事業など、建築現場で施工に携わる労働者は、長きにわたり3K(汚い・キツい・危険)と言われる労働環境の中で働き続けてきました。その悪いイメージのため、建設業界を選ぶ人材は限られており、慢性的な人手不足につながったのです。他国では、こういった問題を解決するため、移民の受け入れなどで労働力を確保している例が多く見られます。
しかし、日本では移民の受け入れにつき消極的な姿勢を取っているため、国内で移民を労働力とする方法は非現実的だとする見方が強いようです。

そこで打ち出されたのが、ICTを活用した省人化・省力化、つまるところi-Constructionだったのです。

3次元データが建築業界の3Kを変える

i-Constructionにおける「キモ」となるのは、3次元データの活用です。
具体的には、3Dモデル・仕様などの属性情報を一貫して管理する情報システムを使い、着工するまで気付けなかった問題を洗い出し、業務・工事のミス・手戻りを防ぐ仕組みの構築が重要になってきます。

このような情報システムはBIM/CIMと呼ばれ、単純作業の軽減や工程短縮など、現場の負担を大きく減らせるものとして、その活用に期待が高まっています。最終的には、一人あたりの生産性を上げ、3Kの意味を「給与が高い・休暇が取れる・希望が持てる」という意味合いに変えていくことが、日本政府ないし国土交通省の目標です。

ツールを用いた具体的な方法論としては、目視による測量・検査の代わりにドローンを使う、設計段階で3次元データを使う、施工段階で手動ではなくGPSによる自動制御で建機を動かすといった手法が挙げられます。これは夢物語ではなく、ICT建機の分野などでは、すでに素人が高い正確性を実現した例もあります。建機大手のコマツのICT建機に試乗した石井国交省大臣は、自分が天才だと勘違いするほど操作性が高いと評価しています。

ドローンの測量や検査も、人間の手を使うよりもはるかに効率的であることが分かってきており、数百万地点の測量をわずか15分で完了できるという報告もあります。測量データは3Dで生成できるため、設計・施工の計画時に、あらかじめ必要な土量の自動算出も可能になることが予想されます。

まとめ

優秀な技能労働者を育てるために必要な時間は、年単位に及びます。
そして、そんな優秀な技能労働者であっても、完璧な仕事には時間がかかります。

しかし、ICT技術を用いれば、1ヶ月かかる仕事が数時間で終わってしまう可能性もあります。
i-Constructionによる圧倒的な作業効率化は、日本の建築業界に「3Kの概念を変える生産性向上」という、新しい風を吹き込んでくれることでしょう。

AI画像認識を活用した通行量・交通量調査とは

交通量調査は、国や自治体からの要請で主に都市計画や道路計画を目的として定期的に実施されるものです。実施のつど調査員を雇用し計測を行ってきましたが現在、働き手不足により人手による調査の継続は困難になりつつあります。そこで、活躍が期待されるのが通行量・交通量調査システムです。これにより、高い精度で車両のカウントを行うことに加え、ナンバーの認識や車種の検知、進行方向も検知することが可能になります。その手法や導入事例をご紹介します。
→導入事例を読む

本サイトを運営しております株式会社WillSmartは事業立ち上げから企画・ソフト、ハードを組み合わせたソリューションの開発・運用サポートを提供しております。課題解決型AIやカーシェアリングシステム、非接触型サイネージの様々な事例などをご紹介しています。

事例を見る

メルマガでは、定期的(月に2度)にコンテンツの更新状況をお伝えする予定です。ご興味のある方は以下よりご登録ください。

メルマガ登録