
世界各地で進む都市の進化ー「スマートシティ」の動向を追う。 〜各地域の先行事例紹介〜
※本記事は2021年2月19日配信記事を再編集したものです
目次
スマートシティとは最先端技術で実現する持続可能な都市の未来
国土交通省はスマートシティを「都市の抱える諸課題に対して、ICT等の新技術を活用しつつ、マネジメントが行われ、全体最適化が図られる持続可能な都市または地区」と定義しています。つまり、ICTやIoT、AIなどの先端技術を駆使して、都市機能の効率化や住民サービスの向上を目指す取り組みです。
世界のスマートシティ動向:都市課題への革新的アプローチ
都市への人口集中や環境問題、交通渋滞などの課題に対処するため、世界各地でスマートシティの取り組みが進んでいます。
シンガポール:スマートネイション構想
シンガポールは「Smart Nation」プロジェクトを推進し、交通、エネルギー、健康管理、セキュリティなどの分野でICTを活用しています。政府サービスの99%がオンラインで完結し、デジタル化が進んでいます。
チューリッヒ:スマート照明とエネルギー管理
スイスのチューリッヒは、交通量に応じて明るさが変化するスマート街灯を導入し、最大70%のエネルギー削減を実現。また、スマートビル管理システムや自動運転車の実証実験も行っています。
アムステルダム:市民参加型のスマートシティ
オランダのアムステルダムは、地域住民、企業、教育機関、政府が連携し、電気自動車の普及やスマートライティングの導入など、多様なプロジェクトを推進。2025年までにCO2排出量を40%削減する目標を掲げています。
日本国内のスマートシティ事例:地域特性を活かした取り組み
日本でも、地域の特性や課題に応じたスマートシティの取り組みが進められています。
Woven City(静岡県裾野市)
人々が生活を送る都市に新たな技術を導入したら……。その「仮説」を実際の都市で実証・検証するためにトヨタが立ち上げたプロジェクトです。同社はラスベガスで開催されたエレクトロニクス見本市「CES 2020」の中で、静岡県裾野市に「Woven City(ウーブンシティ)」と呼ばれる実験都市を作ると発表しました。網状に道が織り込まれる街の姿から名付けられたこの実験都市では、自動運転、MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)、パーソナルモビリティ、ロボット、スマートホーム、人工知能(AI)などの最先端技術を導入し、2025年には初期居住者の受け入れが予定されています。
鳥取県:メタバース交流スペース「バーチャルとっとり」
空間内には、移住相談ルームやイベントホール、映像配信ができるスペースなどを整備。移住相談や婚活イベント、同窓会の開催など、多様な活用が進んでいます。2024年にはAIアバター職員「YAKAMIHIME」も登場し、全国初の「メタバース課」を設置するなど、体制強化も図られています。
今後は、地域クリエイターとの連携やバーチャル展示の実施など、関係人口の拡大と地域活性化に向けた取り組みが期待されています。
広島市の公共交通共同経営
広電、広島バス、広島交通、中国ジェイアールバスなど複数の交通事業者が乗り入れる広島市(広島県西部)。都市の中心部は多くの利用者が見込めるため多くの事業者が乗り入れを行い、過剰な供給が問題視されています。また、市内は路面電車とバスが互いに乗客を奪い合う状況も続いています。このような市内の公共交通の課題を是正するべく、広島市では、複数のバス事業者が共同経営を行い、ハブ&スポーク方式を採用して運行の効率化と利便性の向上を図っています。
ソフトバンク・東急不動産「スマートシティ竹芝」
2020年、東京都港区竹芝にて、ソフトバンクと東急不動産が連携し、街全体のデータ活用やスマートビルの建設を含む「スマートシティ」プロジェクトを始動しました。ロボティクスやモビリティ、AR(拡張現実)、VR(仮想現実)、5G、ドローンなど、最先端技術の実証を通じて都市機能の高度化を図る点が特徴です。トヨタのWoven Cityと同様に、竹芝全体を先端技術の実験場と位置づけ、都市のあり方そのものをアップデートする取り組みが進められています。
さらに、都市OSやデジタルツインを活用し、防災力の強化や防災業務の効率化に向けた実証も実施。AIカメラや3Dセンサーを用いた混雑度の可視化ソリューションは、2022年度グッドデザイン賞を受賞し、施設利用者の快適性向上に貢献しています。
スマートシティの未来:GX×DXによる持続可能な都市づくり
スマートシティは、環境(Green Transformation:GX)とデジタル(Digital Transformation:DX)の融合により、持続可能で、誰もが暮らしやすい都市の実現を目指します。エネルギーの効率的な利用、交通の最適化、災害対策の強化など、多岐にわたる分野での革新が期待されています。
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