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世界各地で進む都市の進化ー「スマートシティ」の動向を追う。 〜各地域の先行事例紹介〜

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21世紀の企業が共有する一つのテーマである「Society5.0」。新たな社会の在り方を追求する取り組みの中で、一際高い注目度を誇るのが「スマートシティ」です。「スマートシティ」は、最先端のICT技術を駆使して都市や地域の機能における効率化を図る施策の一つ。新型コロナウイルス感染拡大の煽りを受けて、この「スマートシティ」の実装は加速する模様です。今回は新時代を生き延びるための一手として押さえるべき「スマートシティ」を深掘りします。

 

スマートシティとは

「スマートシティ」について国土交通省は「都市の抱える諸課題に対して、ICT等の新技術を活用しつつ、マネジメント(計画、整備、管理・運営等)が行われ、全体最適化が図られる持続可能な都市または地区」と定義しています。その他各関連企業から定義されており一つの正解はありませんが、先述した通り「最先端のICT技術を駆使して都市や地域の機能における効率化を図る」というポイントが論点であると見て間違いないでしょう。

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「スマートシティ」に関する世界の動向

新しい都市の在り方として「スマートシティ」が注目される理由の一つに、都市への急速な人口集中が挙げられます。以下、ソフトバンク株式会社によるメディア「FUTURE STRIDE」記事「スマートシティ国内事例10選【2020年最新版】」内の記述を参照します。

“世界の人口のおよそ50%が都市に居住しており、その人口は2050年には2010年の1.7倍にも増えると言われている。 都市によるエネルギーの消費が温室効果ガスの60%から70%を排出しているといわれており、都市部の効率的なエネルギー使用は急務であると言える。また、都市部への人口の集中は、交通渋滞の増加や大気汚染、犯罪の増加、環境悪化などの問題の原因となっている。 一方で、日本では今後将来にわたって労働力が不足する見通しであり、これまでの経済成長に陰りが予想されている。そのため、労働力を確保するためにも、都市における居住性がより重要な意味を持つ。(中略)IoTやセンサ、ビッグデータを始めとした技術を活用したスマートシティに期待が寄せられている”

上記から、都市への急速な人口集中に起因する、
①効率的なエネルギー供給
②交通における利便性の向上
③環境に配慮した開発
④犯罪のない街づくり
⑤住み心地の維持で人口確保
これら5つのポイントを押さえる必要があるでしょう。そして、これらの課題を解決する施策として、「IoTやセンサ、ビッグデータを始めとした技術を活用したスマートシティ」が注目されているのです。「スマートシティ」を目指す取り組みは世界で広がっており、以下のようなプロジェクトが先進事例として進んでいます。

NTTグループ「スマートシティプロジェクト」
ラスベガス市、オースティン市、カリフォルニア大学バークレー校を対象に、「スマートシティ」を目指すプロジェクトが始まっています。

中国杭州市「アリババ ETシティブレイン」
中国での先進事例です。交通違反や渋滞対策といった交通の課題をAIの力で解消する他、無人コンビニの展開も進めています。

エストニア「電子政府プロジェクト」
住民情報、税金、医療、教育といった項目を対象に「スマートシティ」化を推進。紙面上で行われていた手続きの電子化が実現しています。

このように、様々な国や地域で「スマートシティ」の実践が進んでいます。次に国内の事例をご紹介します。

スマートシティの現状と課題(国内の最新事例)

現在、日本でも「スマートシティ」化が推進されています。主導権を握るのは国土交通省。基本方針を打ち出し、内閣府、文部科学省、経済産業省と連携しながら全国各地の「スマートシティ」化プロジェクトを支援しています。

「連携」の具体的な取り組みとしては、地方公共団体や民間企業を対象とした初期投資・継続的な体制整備の補助や、都市計画に関するビッグデータを各都市や地域で利活用するためにオープンデータ化する取り組みなどが挙げられます。企業や研究機関、地方公共団体など様々な立場を人々を巻き込む「官民連携」で「スマートシティ」化を加速させる目論みです。以下、日本における「スマートシティ」最新事例をご紹介します。

・「柏の葉スマートシティ」の事例

「柏の葉スマートシティ」は、日本初の「スマートシティ」として知られています。ゴルフ場だった土地を利活用してスタートした「スマートシティ」化で、柏の葉キャンパス駅を中心に大学や病院、商業施設など主要な施設を集め、人・モノ・情報の繋がりを強固にしました。10年後には26000人街規の街を作る想定で計画が進んでいる模様です。
「環境共生都市」「新産業創造都市」「健康長寿都市」という3つの軸を持ち、その中でも「環境共生都市」を目指す取り組みが注目されています。特筆すべきはAEM(エリアエネルギー管理システム)。「柏の葉スマートセンター」を中枢として、暮らしとイノベーションを支える「スマートグリッド」を実現させています。
商業施設やオフィスビルがそれぞれ太陽光発電を行い電力を国内最大級のリチウムイオン蓄電池に溜め、平日は来客の少ない商業施設の電力をオフィスビルへ融通します。逆に、休みの日はオフィスビルの電力を商業施設に回すなど、必要な分だけ電力を供給するシステムを都市単位で構築できるのです。停電時には近隣のマンションに供給するなど災害対策としての活用も想定しており、地域の電力を自給自足で賄えば年間約1000万円の節電を可能にします

そうした中、八晃運輸の循環バス「めぐりん」が岡山駅への乗り入れについて国に申請した事案を機に協議会は紛糾。協議会の外で物事を動かす事案に対する不信感が募る一方で、「乗り入れに反対する」という競合他社の圧力は独占禁止法に違反するという見方もあり、事業者同士の意見が固まらない膠着状態が続きます。両備バスは18路線(全36路線中)、岡電バスは13路線(全42路線中)について廃止届を提出。一方で八晃運輸は「めぐりん」の益野線(中心部〜東西大寺地区)廃止を提案しています。益野線の低廉な運賃競争を止めて両備グループに譲る意図があると見られますが、両備グループは他の赤字路線を維持できないとして八晃運輸に降りた認可の取り消しを求める訴訟を起こし、国を相手に係争中です。加えて、新型コロナウイルスの件もあり路線の再編の議論は一時中断という形に。岡山市のバス共同経営に関しては、今後も議論が続く見通しです。

・広島(広島市)の事例

広電、広島バス、広島交通、中国ジェイアールバスなど各社が台頭する広島市(広島県西部)。都市の中心部は多くの利用者が見込めるため多くの事業者が乗り入れを行い、過剰な供給が問題視されています。また、市内は路面電車とバスが互いに乗客を奪い合う状況も続いています。
このような市内の公共交通の課題を是正するべく、広島市の路線バス事業者が共同経営に乗り出しました。この共同経営において、広電が検討しているのが「ハブ&スポーク(幹線と支線の結節点に乗り換え拠点を設ける)」の手法です。この手法を用いて事業者間で調整を図り、同じ時間帯での運行の集中を避け、本数が少ない時間帯は増便して利便性を高めます。ハブに待合所を設け、乗り換えが発生しても運賃が加算されない仕組みを作り顧客満足度も維持。乗り換えによる不便が発生するケースもありますが、過疎地路線を維持するために必要な施策であるとの説明を丁寧に重ね、市民の支持を得ています。
各社の運賃収入は一度集約し、事前に決めたルールに基づいて各社に配分するなど、収益の面でも独自の取組を実践しています。

・「トヨタ Woven City」の事例

人々が生活を送る都市に新たな技術を導入したら…。その「仮説」を実際の都市で実証・検証するためにトヨタが立ち上げたプロジェクトです。同社はラスベガスで開催されたエレクトロニクス見本市「CES 2020」の中で、静岡県裾野市に「Woven City(ウーブンシティ)」と呼ばれる実験都市を作ると発表しました。網状に道が織り込まれる街の姿から名付けられたこの実験都市では、自動運転、MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)、パーソナルモビリティ、ロボット、スマートホーム技術、人工知能(AI)技術などの最先端技術が導入されます。
初期は、同社の従業員や関係者が居住し、今後は2000名の住民が暮らすことを想定。新たなサービスが提供され続ける情報社会において、スピード感を持った開発と実証を可能にする取り組みです。言わば、新たな価値を創造するための「スマートシティ」でしょうか。

・「ソフトバンク 東急不動産 スマートシティ竹芝」

2020年に竹芝(東京都港区)にて、ソフトバンクと東急不動産が連携して街全体のデータ活用やスマートビルの建設を含む「スマートシティ」化プロジェクトを始動しました。計画の核は、ロボティクスやモビリティ、AR(拡張現実)、VR(仮想現実)、5G(第5世代移動通信システム)、ドローンなど幅広い領域におけるテクノロジー検証です。「トヨタ Woven City」と同じく実験都市の位置付けで竹芝を「スマートシティ」化しており、様々なイノベーションに挑戦しています。
例えば顔認証の技術を駆使してセキュリティ管理を行い、財布不要のカフェや自動キャッシュレス決済を実現する予定も。「ランチが空から降ってくる街」「ワイヤレスで勝手にスマートフォンが充電」など、まるで夢のような計画に同社の発想力が光ります。

ウィズコロナ時代の「スマートシティ」

「スマートシティ」と新型コロナウイルスの話題を絡めて紹介するに当たっては、中国での事例を参照したいと思います。

中国では、新型コロナウイルス感染拡大の収束に向けて、新たなデジタル技術・サービスを多く導入しました。具体的には、国家報告システムによってビッグデータを活用した感染者の監視、感染クラスターの特定、感染状況の発信・注意喚起を行ったのです。交通機関・病院などの公共部門のオープンデータを公開し、「微信(ウィーチャット)」「支付宝(アリペイ)」「百度(バイドゥ)地図」など既存のプラットフォームから情報を発信。これは緊急時における都市への迅速な情報発信を実現した重要な先行事例と言えます。加えて、人的作業を代替するサービスが発展しました。医薬品のドローン輸送やレストランでの配膳ロボット導入などの利活用で、人々の過度な密集が避けられました。

河北省廊坊(ろうぼう)市のスマートシティ化も重要な先行事例です。同市は、2019年には華為技術(ファーウェイ)と提携するなど、コロナ以前から「スマートシティ」化に積極的な姿勢を見せていました。ウィズコロナの時代を迎え、整えられていた基盤を活かして「1日で地区内全13万人のPCR検査を完了」を実現したというニュースはご存知でしょうか?このように、「先に動いていた」からこそ得られた恩恵もあるのです。ウィズコロナ時代の「スマートシティ」。日本も「今」が変革の時かもしれません。

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