EVでピークカットする取り組みが加速!V2BやEV分散充電制御について解説
地球温暖化が世界共通の課題とされている昨今、CO2削減を目指すためにEVを活用してピークカットを実現する取り組みが日本国内でも加速してきました。本記事では、EVから電気を取り出しビルに使う「V2B」と、EVへの充電である「EV分散充電制御」におけるピークカットについて解説します。企業の取り組み事例も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
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目次
V2Bにおけるピークカットの取り組みについて
電気をエネルギーとするEVは、従来のガソリン自動車よりも環境に優しい自動車として国内でも普及が進んでいます。そしてEVをただの自動車としてだけではなく、EVの蓄電池を活用してエネルギーコストを削減する取り組みにも着手してきました。「V2B(Vehicle to Building)」とは、EVに貯めた電気をビル・施設に活用するものです。
V2Bの目的
V2Bの目的は、ピークカットを実現することで電気料金を削減することです。企業が使う高圧電源の基本料金は、最も多く電気を使った時間帯の平均電力量が基準となります。一度でも使用量が上がると基本料金が高くなってしまうため、企業はできるだけピークカットを目指さなければなりません。電力需要の多い時間帯に電力をカットすれば、電気料金の削減や基本料金を抑えることができます。
V2Bでピークカットをする主な時間帯
EVを蓄電池のように使って建物へ電気を供給するV2Bは、電力需要の多い時間帯のピークカットを目指すことが可能です。V2Bでピークカットをするには、企業の電気使用量の実績などからビルの消費電力量を予測します。消費電力がピークになると予想される時間帯にEVからの放電を行えば、電力会社からの買電を削減できる仕組みです。工場やオフィスビルごとに使用電力量がピークになる時間帯は異なるため、稼働時間やスケジュールなどを分析して正確に予測しなければなりません。
V2Bのピークカット取り組み事例
V2Bを活用してピークカットへの取り組みを行っている企業の事例を紹介します。
NTT西日本 × NTTスマイルエナジー
西日本電信電話株式会社(NTT西日本)、株式会社NTTスマイルエナジー(NTTスマイルエナジー)は、日産自動車株式会社との協業でEVを活用したV2BによるCO2削減事業を2018年から始めました。主に夏のピークカットを実証し、コスト削減効果を確認しています。所有するEV自動車の消費電力量を予測し、スケジュールに従って充放電を行いました。2030年までには、すべての車両をEV自動車にすると発表しています。
アイ・グリッド・ソリューションズ × 伊藤忠商事 × ヤオコー
伊藤忠商事は、アイ・グリッド・ソリューションズと共同でヤオコー川越的場店のEV自動車の充放電によるピークカットを行うと発表しました。ヤオコー川越的場店では、すでに蓄電池によるコスト削減を実現しています。CO2削減のために、次にV2Bの活用によるピークカットで電気料金を削減できると予想しています。
EVへの充電におけるピークカット(EV分散充電制御)について
EVへ充電をする際にもピークカットをするとコスト削減につながります。効率よくピークカットを行うには、EV分散充電制御が必要です。EVへの充電には、時間や量を制御し最適なピークカットを実電するシステムが欠かせません。
EV分散充電制御の目的
EV分散充電制御では、EVへの充電を分散させることで使用電力量のピークカットを行います。もし、充電を制御せずに一度に何台ものEVに充電を行うと、使用電力量が多くなり基本料金が高くなる可能性もあるでしょう。また、施設に引き込んでいる電源設備が高電流に耐えられない可能性もあります。同じ時間帯に充電が集中しないように、充電する時間をずらし電気料金が高い時間帯を避けることでピークカットを目指すのがEV分散充電制御での目的です。
EV分散充電制御が行われる主な時間帯
EVに充電するのは企業の電力需要が多い時間帯を避けるのが効果的です。例えば、日中に稼働する工場なら、夜間に充電を行い次の日に稼働するまでに充電を完了しておけば良いでしょう。EV分散充電制御システムを導入して、消費電力量やEVの稼働状況などから充電時間や充電する電力量を自動で行うようにするのがおすすめです。
例えば、EVバスの運行の場合、運行計画をもとに充電する仕組みを作成します。複数台のバスの運行時間は同じではないため、効率的にピークカットを実施すれば電気料金を削減できます。バスの路線や稼働状況により電力消費量を予測し、充電量を抑えることが大切です。
EVの普及が進むと分散充電制御が必要になる場面は?
EVの普及が急速に進むなか、今後はさまざまな場面でEV分散充電制御の活用が必要になるでしょう。例えば、将来的にはマンションなどの集合住宅でもEV充電設備が普及していくと考えられています。そのため、メーカーによる集合住宅用のEV充電設備の開発も進んできました。また、商用のEV自動車としてのバスやタクシー、トラックの拠点にもEV充電設備が必要になってきます。集合住宅や事業所におけるEV分散充電制御の市場は、将来的に大きな規模になるかもしれません。
EVとピークカットする取り組みを進めよう!
パリ協定からCO2削減の機運が高まり、EVはガソリン自動車に代わるものとして普及してきました。V2Bは、EVを蓄電池のように使ってピークカットを実現できる方法として推進されています。使用電力を予測し充放電を管理することで、電気料金をコストダウンできるのが大きなメリットです。V2Bは、今後住宅や社用車などにも活用広くされていくと考えられています。
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