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駅ナカで「顧客の声」をどう可視化する?来館データと購買データの上手な活用方法

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コロナ禍以降、商業施設を取り巻く環境は大きく変化しました。購買行動の多様化やECとの競争が進むなかで、他施設との差別化が難しくなり、来店客数や売上の伸び悩みに直面するケースも増えています。
駅ナカ商業施設も例外ではなく、来館データや購買データは保有しているものの、それらの膨大な情報をどのように施策に活用すべきか悩む担当者は少なくありません。

本記事では、駅ナカ商業施設における顧客データ活用の課題と、その解決に向けた具体的なアプローチや成功事例を紹介します。

駅ナカ商業施設における顧客データ活用や管理の課題

駅ナカ商業施設における顧客データ活用・管理の課題を見ていきましょう。

他社との差別化や独自の顧客体験を創出できていない

まず課題としては、他社との差別化や独自の顧客体験を提供できていないことが挙げられます。日本ショッピングセンター協会の調査※によれば、新規オープンした複合型商業施設の数は、コロナ禍の2020年には24施設でしたが、2024年は38施設まで増加。また複合型商業施設全体の数は減少傾向にあるものの、2024年時点でも3,000施設以上が存在し、市場は飽和状態です。各施設では同じような店や商品を提供していることから競争も激化。

こういった状況で顧客を獲得するには、他社にはない魅力や、独自の顧客体験を提供しなければなりません。しかし、来館データや購買データ自体はあるものの、どのように差別化を図ればいいか、どのような顧客体験を提供すべきか判断できていないケースが多く見られます。

※出典:日本ショッピングセンター協会「SC白書2025

購買行動の変化に対応しきれていない

顧客の購買行動の変化に、企業側が対応しきれていないことも課題として考えられます。コロナ禍が収束した現在も、価格やポイントを理由にECサイトは利用されており、性年代・世帯年収に関わらずオンライン活用が定着。一方実物の確認といったニーズから店舗回帰も進んでおり、オンラインとオフライン両方を使い分ける形へと変化※しています。商業施設においても、店舗では試着や店員への相談といったニーズが根強く存在します。

そのため、店舗で試着した商品をECサイトで購入し、自宅へ配送するといったショールーミング型の仕組みなど、オンラインとオフラインそれぞれのメリットを活かした体制づくりが求められています。しかしデータがバラバラかつアナログな方法で分析されている状況で、オンラインとオフラインの連携・統合は難しく、購買行動の変化に十分対応できていないケースは少なくありません。

※出典:デロイトトーマツ「2024年度『国内消費者意識・購買行動調査』

企画やプロモーションの提案に説得力が出ない

販売促進の企画を考案する際、現場で培ってきた経験やノウハウをもとに感覚的に企画を立案するケースも少なくありません。しかしどれだけ優れた企画であっても、データにもとづく根拠を示せなければ説得力に欠け、企画は通りにくくなります。

購買データや来館データがあっても、それぞれが単体では企画の根拠として十分に結びつかないことも。また企画を立案する際は、ターゲット層の選定が重要ですが、データ分析が不十分だと、十分な選定は行えません。もし企画が承認されたとしても、ターゲット層がズレてしまう可能性もあるでしょう。

従業員の情報発信・管理負担が大きく十分に対応できない

情報の発信や管理においては、従業員の負担が大きいことも課題の1つです。駅ナカ商業施設では、次のような業務を正確に行う必要があります。

  • リアルタイム情報更新
  • 災害対応
  • 多言語対応

施設内では1年中イベントやキャンペーン、セールが実施されており、その度にポスターやチラシの印刷、貼り替えを実施します。広い施設内ではこれだけでも大きな負担であり、貼り替えミスを修正するのも工数がかかります。また万が一災害といった緊急事態が発生した際、来館者に適切な情報を提供し避難経路へ誘導しなければなりません。しかしアナログな掲示物だけでフォローするのは難しく、スムーズに誘導できる体制の構築は必須です。

さらに日本ショッピングセンター協会の調査※によれば、複合型商業施設のインバウド需要はコロナ禍以降急激に増加しており、2024年の消費額は8兆円以上にのぼります。この需要を取り込むためにも情報発信の多言語化が必要な一方で、外国語に長けたスタッフがおらず、十分に対応できていないケースも多くあるでしょう。

※出典:日本ショッピングセンター協会「SC白書2025

駅ナカ商業施設におけるシステム化やDXのメリット

データ分析のシステム化や、マーケティング業務全体でDXを行うメリットを紹介します。

顧客データ集約や精度の高い購買行動分析の実現

まず考えられるメリットは、幅広いデータを集約し、購買行動分析の精度を高められること。システム化やDXを行うことで、来館データやPOSデータ、ECサイトの購買データなど、これまでバラバラだったものを集約し、さまざまな軸や分析方法で分析できます。たとえば、POSデータでは曜日別でどの属性(性別・年齢・地域など)に何が売れているかなど詳細な情報を可視化できます。

たとえば、小田急百貨店※では、カード会員の情報はもっていたものの、百貨店に来店する顧客像を理解できていなかったため、分析ツールを導入。結果これまで知ることのできなかった、イベント毎の顧客の行動傾向や各店舗の実勢商圏などを把握できるようになりました。こういったデータから、自社の強みや弱みも可視化できるため、他社との差別化や、独自性の出し方も考えやすくなるでしょう。

※出典:クロスロケーションズ「事例|株式会社小田急百貨店

ニーズに合わせたターゲティングやプロモーションの実現

システム化やDXでは、顧客のニーズに合わせたターゲティングや、オンラインとオフラインを連携させたプロモーションも実現できます。ここまで紹介してきたように、システム化によって来館者・売上の傾向などが細かく可視化できる上、施設全体でのデータ連携・統合も可能です。

たとえば、10代の来館者が平日夕方に多いことが分かれば、アプリで平日夕方に学割クーポンを配布するなどのプロモーションが可能になります。実際にPARCOでは、サービス改善や施策の発掘のためにアプリ・Web・店舗のデータを統合した分析ツールを導入。これにより、天候による顧客の行動や購買の傾向が可視化され、雨の降りはじめに合わせてアプリで雨の日向けの販促通知を送信したところ、来店数や売上の向上につながりました。

出典:Tableau「パルコ、膨大な顧客行動・IoT データを可視化、O2O 販促からテナント支援までリアルタイムに施策反映

顧客データを根拠とした説得力のある企画提案を行える

分析データは具体的な数値として示されるため、企画立案に説得力を持たせることができます。たとえば、キャンペーン対象商品を、これまでの経験で売れやすいものから選定した場合、 経験だけに基づいた判断では、説得力に欠けることがあります。

一方で選定した商品の昨年同時期の売上実績や、どのような属性に売れているかといった数値を資料として添付すれば、選定の理由に根拠を持たせることができます。こうした客観的なデータがあると上司も内容に納得しやすくなり、企画の承認を得やすくなるでしょう。

業務の自動化や省力化

システム化やDXを行うことで、幅広い業務の自動化や省力化が可能になります。業務の自動化はデータ分析のほか、デジタルサイネージを使えば広告・イベント情報の表示も自動化できます。デジタルサイネージとは、ディスプレイを用いて広告やイベント情報などを配信できるシステムのことで、多言語にも対応。また災害発生時には、自動で災害情報や避難経路の表示へ切り替わるため、来館者を安全に誘導しやすくなります。

たとえばイオン北海道※では、各施設で月に100枚以上貼り替え作業を行っていたため、デジタルサイネージを導入。店舗スタッフの手間がゼロになり、映像配信によるブランドイメージの向上にもつながりました。

※出典:パナソニックコネクト「事例|イオン北海道株式会社様

駅ナカ商業施設のデータを使った具体的な施策や活用方法

では実際に、駅ナカ商業施設では来館データや購買データを使ってどのような施策やDXが実施できるか、具体例と共に詳しく紹介します。

来館者の属性に合わせた広告や情報の表示

来館者のデータと店舗の購買データを組み合わせ、デジタルサイネージを使って広告・イベント情報配信を最適化できます。デジタルサイネージではいつ、どの時間帯にどの情報を映すかが事前に設定でき、広告・情報配信をすべて自動化できます。

そのためたとえば平日13~16時は40~50代の女性、16~18時は10代の学生が多い、といった来館者の情報から、それぞれの属性が店舗で一番よく購入している商品を分析し、各時間帯にその商品の広告を配信することも。これにより自動化で担当者の情報管理負担を軽減しつつ、ターゲティングによるプロモーションで売上のアップを図れるでしょう。

顧客の行動に合わせたメールの自動送信

システム化で、顧客のニーズに合わせたメールの自動配信が実現できます。システムでは送信するメールの内容やタイミングなどを事前に設定できるため、商品を購入したユーザーへ、◯日後にアンケートメールを送る、などの流れが自動化できます。

またメールを開封するといった、顧客の行動をトリガーとしてメール配信を行うようにも設定可能。そのためたとえばECサイトで商品を購入した顧客に対し、実店舗で同じ属性に人気の駅ナカ限定商品の案内メールを自動送信し、顧客が開封した場合3日後に実店舗のキャンペーン案内メールを送信する、といった仕組みを作成できるでしょう。これによりリピーターの獲得やロイヤル顧客の育成などにも役立ちます。

アプリのクーポン機能などによる販売促進

システム化やDXで、アプリのクーポン機能を使った販売促進の効果も向上できます。たとえばデータ分析で、「来館データでは利用者数が多く滞留時間も長い一方で、1人あたりの購入数や購買額は少ない傾向にある」などの情報を可視化。

この場合、会員用のアプリからプッシュ通知で「〇〇店3,000円以上ご購入で20%オフ!」といった案内を出し、クーポンを配布することで、購買額や購入数の増加が期待できるでしょう。プッシュ通知は目を引きやすく、クーポンの配布と組み合わせると、効果的に購買意欲を高められます。

回遊と購買の傾向に合わせた顧客ロイヤルティプログラムの改善

データ分析は、顧客ロイヤルティプログラムの改善にも役立ちます。たとえばシステムからポイント会員に絞った分析ができ、1度の購買額自体は高いものの、回遊率が低いといった全体の傾向がわかります。

この場合より多くの店の魅力を知ってもらう必要があるため、「会員限定で3店舗以上の利用でポイント2倍」といったプログラムなどを実施するのがおすすめです。これにより回遊率が高まり、1回あたりの購入金額が向上するでしょう。

まとめ

商業施設がもつ「顧客の声」をシステム化やDXによって可視化し、うまく活用するための方法について詳しく紹介しました。まずは一度、自社がどういったデータを持っているか、ここからどのようなデータがほしいかを考えてみましょう。そこからどのようにDXを進めればいいかが見えてきます。

なおWill Smartでは、商業施設のシステム化やDX、デジタルサイネージの導入などスタッフがニーズに合わせたソリューションをご提案します。お困りの方はぜひ一度お気軽にご相談ください。

ミライコラボを運営する株式会社Will Smartでは、交通データの統合・分析・活用をサポートする「交通データ統合分析サービス」を提供しています。ICデータや乗降データなど異なる複数データを直感的にわかりやすく可視化。高度なデータ分析を簡単に実現し、ダイヤ改正 などに様々なデータを活用できます。
データを活用した施策の立案にぜひお役立てください。

交通データ統合分析サービス|Will Smart

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