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交通事故を未然に防ぐ「ドライバーモニタリングシステム」とは?

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近年、交通事故による死者や重症者数は減少傾向にあるものの、高速道路における交通事故発生件数や死者数は増加傾向にあり、運転者の健康状態に起因する事業用自動車の事故も社会課題となっています。

高速道路での事故の多くは前方不注意による法令違反です。前方不注意の原因としては「居眠り運転」や集中力や注意力が低下した状態で運転する「漫然運転」などがあげられますが、こうした事故を未然に防ぐため国内外の企業が「ドライバーモニタリングシステム」の開発に取り組んでいます。

本記事ではドライバーモニタリングシステムについて解説するとともに、5月に行われた「人とくるまのテクノロジー展2023YOKOHAMA」で取材したドライバーモニタリングシステムをご紹介します。

ドライバーモニタリングシステムとは

ドライバーモニタリングシステム(DMS)とは、運転中のドライバーの不注意や眠気、前方不注意などにより安全に運転することができないと判断した場合に警報や警告で注意を喚起してくれるシステムです。

ドライバーのわき見運転や漫然運転などによる事故を防止することが期待されており、2020年にはドライバーモニタリングシステムの早期実用化・普及を促進するため、国土交通省がシステムのガイドラインを作成しています。

国内ではスバル株式会社が車内のカメラでドライバーの居眠りや脇見を検知して警告するシステムを搭載した車を販売しているほか、三菱電機はドライバーモニタリングシステムのカメラを活用して、脈拍や血圧などを非接触で推定し運転手の体調の異常を検知するシステムを開発しています。

「人とくるまのテクノロジー展」で取材したドライバーモニタリングシステム

2023年5月24日~26日にかけて開催された「人とくるまのテクノロジー展2023 YOKOHAMA」(主催:公益社団法人自動車技術会)で取材した住友理工株式会社のドライバーモニタリングシステムをご紹介します。住友理工株式会社はスマートセンシング技術で安心・健康な街づくりに取り組んでいます。その取り組みの一つとして開発を行っているのが「ドライバーモニタリングシステム」です。

住友理工株式会社のドライバーモニタリングシステムの特徴は柔軟で電気を通す特殊なゴム材料で作ったスマートラバー(SR)センサを座席シートに内蔵することで、座面に伝わる微弱な心拍や呼吸による体動を検知できることです。そのため、走行中でもシートに座るだけで乗員の心拍成分や呼吸成分などのバイタル情報を高い精度で推定することができます。

また、将来的には計測結果をクラウドサービスに連携することで健康管理や運行管理に活用することができるようになるのではと期待されています。

展示会会場ではドライバーモニタリングシステムが搭載されたシートから推定される心拍数と指先で計測した心拍数(※)を比較するデモを拝見しました。
誤差はあるものの、座っただけで指先から測るのと大きく変わらない心拍数(※)が推定できていました。(※):本製品は医療機器ではありません。数値は目安となります。

現在はこのバイタル情報をもとに乗員の居眠りを予兆したり、ストレスや疲労の状態を推定できる機能を開発中とのことです。

(取材先:住友理工株式会社 新商品開発センター)