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電気自動車(EV)のバッテリーのイメージ

バッテリー交換式EVとは?日本国内におけるEVの課題への取り組みと現状

近年の電気自動車(BEV)活用の潮流の中で、「バッテリー交換式EV」を耳にしたことがある方もいるのではないでしょうか?「バッテリー交換式EV」はトラックなど商用車で注目されており、運輸・物流領域でのEV化促進に必要と考えられています。
本記事はバッテリー交換式EVの概要を解説し、日本における実証実験などの取り組みや現状を紹介します。

バッテリー交換式EVとは?EVの課題解決につながる?

バッテリー交換式EVとは、バッテリー交換によりEVの運用を効率化するものです。従来の充電式EVにはCO2の排出を抑えたり燃料費や維持費を抑えたりなど、さまざまなメリットがありますが、課題も少なくありません。ここでは、EVの課題や導入が必要な背景を解説し、バッテリー交換式EVの概要を紹介します。

EVの課題とは?

EVの課題は「充電に時間がかかる」「充電スタンドなどのインフラ環境が整っていない」「一度の充電で航続できる距離がまだ短い」などがあります。バッテリーを充電する必要があり連続走行もできないため、物流やバス・タクシーなど商用車での活用はあまり進んでいません。

EVの導入が推奨される背景は二酸化炭素の削減

EVの導入が急がれているのは、二酸化炭素削減のためです。政府はカーボンニュートラルを2050年までに目指すと宣言しています。カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出をゼロにするもので、世界120以上の国と地域が実現を目指している取り組みです。

温暖効果ガスでもっとも排出量が多いのが二酸化炭素で、気象庁の発表では全体の76%を占めるとされています。そのため、二酸化炭素の削減なくしてカーボンニュートラルの達成は難しいのが現状です。

国土交通省「運輸部門における二酸化炭素排出量」によると、2020年の国内における二酸化炭素排出量10億4400万tのうち、運輸部門からの排出量は全体の17.7%にあたる1億8500万tでした。そのため、運輸部門でのEV導入が急がれているのですが、先述したEVの課題がネックとなり導入が困難になっているのです。

脱炭素社会の実現におけるEVシフトの重要性と実現方法について詳しく解説する資料をダウンロードいただけます。

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バッテリー交換式EVが運輸部門の脱炭素化につながる

運輸・物流領域などへEV導入を加速させる運用方法として取り組みが進んでいるのが「バッテリー交換式EV」です。環境省では、運輸・物流領域の二酸化炭素をはじめとした脱炭素化を実現するため「バッテリー交換式EV開発及び再エネ活用の組み合わせによるセクターカップリング実証事業」の公募を行いました。この事業は、物流とエネルギーの2つのセクターがカップリングしてEVの課題解決を目指すものです。次では、実際に行われている実証実験について紹介します。

バッテリー交換式EV普及に向けた実証実験の概要

バッテリー交換式EVのカップリング実証実験を2例を紹介します。

コンビニの配送業務による実証実験

バッテリー交換式小型EVトラックの配送実証開始_ファミリーマート

出典:ファミリーマート(https://www.family.co.jp/company/news_releases/2022/20221124_01.html)

ファミリーマートの配送車で行われているバッテリー交換式EVトラックの実証実験で、参画企業とそれぞれの役割は以下の通りです。

伊藤忠商事(株):プロジェクト全体の管理、事業性の検討
(株)ファミリーマート :フィールド提供
JFEエンジニアリング(株):バッテリー交換ステーション開発
(株)エッチ・ケー・エス :バッテリーパック開発
いすゞ自動車(株):バッテリー交換式小型EVトラック開発
(株)サンファミリー:検証車両での配送業務

2025年までの予定で行われている実証実験です。実験では、2台のバッテリー交換式小型EVトラックを1日に3便運用しています。バッテリー交換ステーションが設置された「ファミリーマート三郷中央定温センター」から、約80店舗のファミリーマートへ食品を配送する実証実験です。
JFEエンジニアリングでは、バッテリーは約3分で交換可能で、1台あたり年間6.1tの二酸化炭素の削減につながると試算しています。今後は、太陽光パネルによる検証も進められます。

バッテリー交換式小型EVトラックの配送実証開始_ファミリーマート

出典:ファミリーマート(https://www.family.co.jp/company/news_releases/2022/20221124_01.html)

軽貨物配送業務における実証実験

バッテリー交換式コンバージョンEVを用いた物流事業における実証実験開始のお知らせ

バッテリー交換式コンバージョンEVと可搬式交換バッテリー
出典:FOMM(https://www.fomm.co.jp/news)

軽貨物配送業務におけるバッテリー交換式EVの実証事件です。もともとガソリン車であったスズキのエブリイをEVに改造(コンバージョン)している点が目を引きます。
参画している企業とそれぞれの役割は以下の通りです。

(株)FOMM:バッテリー交換式コンバージョンEV(CEV)および可搬式交換バッテリー開発
丸紅(株):稼働実績管理及び運用評価、事業化検討
(株)創環会:バッテリー交換式EVのテスト導入及び運用
バッテリー交換式コンバージョンEVを用いた物流事業における実証実験開始のお知らせ

出典:FOMM(https://www.fomm.co.jp/news)

2023年1月までの予定で実施されている実証実験です。軽貨物配送事業を行う(株)創環会の実配送オペレーションにおいてバッテリー交換式コンバージョンEVのテスト導入及びバッテリー交換による運用のモデル検証を行うことがこの実証実験の目的です。

バッテリー交換は自動車以外でも広がる!

バッテリー交換式は、自動車以外の分野でも広がりを見せています。そのひとつが電動二輪車のバッテリーシェアリング「Gachaco(ガチャコ)」です。Gachacoは異なるバイクメーカーが共通仕様のバッテリーで走る電動二輪車をそれぞれ開発することで、バッテリー交換のインフラを構築する取り組みです。


EVバイクの課題をガチャっと解決!バッテリーシェアサービス開始式を実施

出典:株式会社Gachacoプレスリリース(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000109909.html)


パートナーとしてGachacoの取り組みに参画している企業と、それぞれの役割は以下になります。

ENEOSホールディングス:交換ステーション設置場所の提供
本田技研工業、ヤマハ発動機、カワサキモータース、スズキ :共通仕様バッテリー用のモビリティを開発

Gachacoは経済産業省の「電動二輪交換式バッテリー整備・運用モデル構築実証事業」に採用され、2022年10月から運用が開始されています。さまざまなメディアに取り上げられるなど、今後も注目の取り組みです。

バッテリー交換式EVはEVの課題を解決し脱炭素に貢献!

バッテリー交換式EVは、EVのネックである長い充電時間や充電インフラ不足、航続距離などの課題を解決できる可能性があります。EVが推奨されているのは、自動車から排出される二酸化炭素をはじめとした炭素の排出量を抑えるためです。特に排出量が多いとされる運輸部門においてバッテリー交換式EVの導入が進めば、脱炭素に大きく貢献できる可能性があります。実証実験も進められているので、今後の進展に注目です。

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EVの課題解決や非常用電源の確保に向けたバッテリーシェアの仕組みを支えるクラウドシステム「Battery Cloud」を構築

株式会社FOMMとWill Smartの協業の取り組みとして、バッテリー交換インフラを普及させていくにあたり、バッテリーの充電情報や位置情報などを一元管理し、ユーザー同士がシェアできる仕組みとして、「Battery Cloud」を構築しました。
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