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介護×MaaSで超高齢化社会を乗り越える

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この記事では、MaaSを活用した医療・介護サービスの提供を想定している方向けに、高齢化・過疎化が進む地域の地方交通も絡めた、新しいビジネスモデルについて紹介しています。

個々人の移動が最適化される、交通手段の総合サービス・MaaS(Mobility as a Service)は、利用者に新たな選択肢を提示しています。俗に「交通革命」とも呼ばれるこのサービスは、需要の少ない地域でも採算性を確保するため、医療・介護の分野にも応用されようとしています。
すでに実証実験が行われ、群馬県太田市では、路線バスより機動力の高い「オンデマンド型の乗り合い交通サービス」を介護の現場に融合させようとしています。また、ヘルスケア製品・医療関連機器大手のフィリップスもMaaSへの参入を決めており、人手不足に起因する問題の解消・移動制約者へのケアに期待が高まっています。

今回は、「ヘルスケアモビリティ」とも呼ばれる、私たちの未来に写る新たなイノベーションの形に迫ります。

MaaSの未来形につながる、群馬県太田市の事例

日本を代表する自動車メーカーの一つ「SUBARU」のお膝元として、長年日本のモータリゼーションを支えてきた都市・群馬県太田市では、新たな車との付き合い方が模索されています。その現場となっているのが「太田デイトレセンター」です。

こちらは大規模なデイサービス施設となっており、その規模は延床面積4,056㎡と、東京スカイツリーの建築面積2,002㎡の倍以上です。巨大スポーツジムにも例えられる室内には、歩行レーン・トレーニング機器などが並び、料理教室・陶芸といった幅広いリハビリ教室も充実しています。

利用者は太田市内にとどまらず、遠方から多くの高齢者が押し寄せます。その結果、効率的な送迎をどうするのかが課題となりました。
解決策となったのが、施設独自の送迎配車システムである「福祉Mover」でした。38台の介護送迎車両を展開し、「車いすあり」・「同行者あり」など個々の事情に即した効率的な運用を実現することに成功し、そこから新たな試みが生まれたのです。

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リアルタイム配車システムにより実現した、新しい乗り合い交通

福祉Moverの送迎インフラが出来上がったことで、その発想はさらに発展しました。要支援・要介護認定を受けたセンター利用者につき、オンデマンド型(利用者の要求に応じてサービスを提供する方式)の乗り合い交通サービスを提供したのです。

施設から半径5Km以内という制限こそあるものの、アプリを経由して行き先を登録すれば、人数・状況(通常座席2名・車いす利用者1名など)を指定することで、近いところを走るデイサービスの送迎車両が配車されます。昔ながらの乗り合い文化を、最新技術で復活させた形になります。
運営会社のエムダブルエス日高は、福祉車両に加え、介護経験を積んだドライバーという資源を持っています。つまり、タクシーとは異なる交通需要を満たすためのサービスであることを自覚して、サービスを展開しているところがポイントです。

この仕組みは将来的に「他のデイサービス事業者」の参入を想定しており、送迎配車システムの提供と車両の空席活用によって、言わば「太田デイトレモデル」とも表現できる新たな交通モデルに発展する可能性を秘めています。既存の業種に配慮しつつ、事業者の垣根を越えて展開できるメリットは、やがて全国に波及するものと想定されます。

フィリップスによるヘルスケア領域の課題解決

日本では、高齢化の加速・医療従事者の慢性的な不足に加え、医療費の増大が大きな問題となっています。また、医療サービスを必要としている人が公共交通機関を使えず、ヘルスケアサービスの提供施設に足を運べないといった問題や、近所に総合医療施設がなく初期段階で必要な治療を受けられない問題などが、地方を中心に顕在化しています。

そのような状況に対応するため、ヘルスケア製品・医療関連機器大手のフィリップスが、健康な生活・病気の予防・迅速な診断と治療・ホームケアの実現に向けて、車両と車内スペースを活用したヘルスケアの仕組みを実装しようとしています。

2019年5月下旬より、仙台に開設する「Philips Co-Creation Center」に展示されたモックアップ(実物大の模型)には、遠隔診療に使うモニターの他、床には体重計が埋め込まれ、顔認証の仕組みなども提案されています。自治体が抱える課題に応じて、車両の中身をカスタマイズすることも想定されており、2020年3月に始まる予定の実証実験の結果が注目されます。

PHILIPS Co-Creation Centerのショースペース

出典元:PHILIPS

まとめ

個人社会が進むにつれて、日本では個人で対処しきれない問題が生まれ続けました。その結果、医療難民・交通難民といった、いわゆる「足」を持たない世帯が増大しました。それと同時に、新しい世代は消費することに抵抗感を覚える中、最新テクノロジーに慣れ親しみ、所有することへの抵抗が薄れる傾向もみられるようになりました。「時代は繰り返す」と言いますが、MaaSという新たなイノベーションによって社会システムの一部逆行が見られるというのは、何とも皮肉な結果と言えます。

しかし、医療・介護を必要とする人にとっては、その動きは望むところであり、事業者としても新たなビジネスモデルの構築につながっていきます。超高齢化社会の到来と新たなテクノロジーの普及を迎え、日本社会もようやく成熟の時を迎えようとしているのかもしれません。

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