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事例

2021年、カーシェアサービス成長の可能性とは

事例

2015年の地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」によって脱炭素化の意思が採択され、日本政府は「2050年までに温室効果ガスの排出量を80%削減する」という目標を立てました。「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略策定に向けた提言」では、世界全体を視野に入れた処方箋を提供する脱炭素ビジネス立国という将来像を掲げられ、昨年12月、経済産業省によって「2050 年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」が策定されました。その中のライフスタイル関連産業項目には「地域の再生可能エネルギーを活用した EV のカーシェアリングによる脱炭素型交通や、バッテリー交換式 EV とバッテリーステーションを活用した地域貢献型脱炭素物流に係るビジネスモデルの確立と全国レベルでの横展開を推進する」と自動車産業を成長分野とする目標が盛り込まれました。これに伴い、様々な企業や地域によるカーシェアサービスが活発化しており今後さらに加速度的に進んでいくと考えられています。そこで2021年、カーシェアサービスの急成長の可能性はあるのか、現在取り組む様々な事例と共にご紹介します。

急成長するカーシェアリングビジネスとは

新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、これまで公共交通機関移動が中心だった通勤にもカーシェアを取り入れたり、家族での移動はカーシェアを利用するなど人々の移動に変化が生まれカーシェアへの需要が高まっています。MaaSやカーシェアリングは、交通インフラとしての地域課題解決や観光地における回遊性向上の施策などによる利便性を高める効果だけではなく、低炭素社会の実現効果も高いと注目されています。また、既存事業への波及効果や社用車のコスト削減や有効活用、遊休資産の有効活用など事業や収益面でのメリットが多い点から、カーシェアリング市場は急速に成長しており、自動車メーカー、レンタカー会社をはじめ、デベロッパー、プロパティマネジメント事業者、宿泊事業者、行政などモビリティ業界に限らず様々な業界での導入が進められています。

カーシェアリングサービスに適した事業社とは

マンション居住者専用のカーシェアリングや社用車を有効活用した社内カーシェアリング、地域住民向けのカーシェアリングなどコミュニティ内での導入ニーズが高まり、多くの企業・自治体によるカーシェアリングサービス展開が増加しています。

  • カービジネス(レンタカーやリース等)を展開している事業者
    有人対応が必要となる既存のカービジネスとは異なり、カーシェアリングサービスを導入する事で24時間無人対応が可能となる事から収益増や効率化を図れます。
  • 多くの社用車や営業車を利用している事業者
    社用車や営業車を使用していない時間でカーシェア事業を行うことで、保有資産の有効活用が可能となります。
  • 土地や空地などの資産活用を行っている事業者
    カーシェアリングサービスは1台からはじめられるので、コンビニの駐車スペース、ガソリンスタンドやマンションの駐車場など、空地で簡単にカービジネスをスタートできます。
  • 高需要地域で新規事業を模索している事業者
    Maasなど地方移動や観光地でのカーシェアビジネス、行政と連携した事業展開も注目を集めています。


【行政×企業】拡大が進むエネルギーマネジメント連動型EVカーシェアリング

電気自動車(EV)を活用した電力需給調整およびカーシェアリング事業を行う「REXEV」(レクシヴ)は2020年12月21日、リードインベスターのジャフコ グループ、三井住友ファイナンス&リース、エースタート、大阪ガス、京セラ、東芝などの引受先による第三者割当増資による総額約7.4億円の資金調達を発表しました。REXEVは、2020年6月に神奈川県小田原市を中心としたカーシェアリングサービス「eemo」(イーモ)を開始、EVが備えるモビリティと蓄電池の二面性に着目し全車EV車を採用しています。カーシェアリングで貸し出す一方、貸し出されていないEV車は電力の調整力として電力需給調整などに活用しているほか、小田原市および湘南電力と協定を締結し事業を行っており、再生可能エネルギー利用の最大化と電力の安定化を目指して独自のエネルギー・マネジメント技術を開発するだけではなく、小田原市と防災に関する協定を結び、災害時にはEVを電源として避難所などでの電力供給を無償で行うなど、環境と経済のどちらも持続可能となるソリューションの実現を目指しているといます。現在では、小田原・箱根エリアでの稼働台数は34台ですが、2022年度末までに100台まで増やすことが予定されており、更なる拡大が期待されています。


【不動産×個人】シームレスな移動で生活圏(コミュニティ)を広げる “不動産×MaaS”始動

三井不動産株式会社は、ヒト・モノ・サービスの「移動」に着目した「モビリティ構想」の一つとして、2020年9月に柏の葉エリア、12月15日から日本橋エリア、12月21日からは豊洲エリアなど様々なエリアにおいて「不動産×MaaS」の実証実験を実施しています。今回の実証実験において導入したMaaSアプリ“Whim”は、目的地までの検索、予約、決済そして実際にモビリティに乗車するところまでを1つのアプリでシームレスに行うことができます。使用可能なモビリティは現時点で最大4種(カーシェア、シェアサイクル、バス、タクシー)あり、ユーザーの好みに応じて選択し、使用することができます。実証実験においては、これらモビリティを月額定額制(サブスクリプション)のサービスとして提供し、ユーザーは多様な交通サービスを横断的に利用することができます。また、各物件敷地内にはWhim会員専用のモビリティとしてカーシェアおよびシェアサイクルを設置することで、自己保有のモビリティ感覚で利用することを可能にしています(設置可能な物件のみ)。

不動産を起点とした近距離移動に焦点を当てたサービスを提供し、コミュニティにおける移動の利便性を高めるとともに、街の魅力的なコンテンツへの気づきと出会いをもたらすと同時に、MaaSを不動産と組み合わせたサービスとして提供することで、立地に左右されない移動の利便性の提供を目指しています。

カーシェアリングサービスを効率的に導入するには

株式会社Will Smartでは、まちづくりにおいて重要度を増しているモビリティの開発に注力しており、2019年にはカーシェアリングサービス提供の基盤となるシステム「モビリティシステムパッケージ」をリリースしています。「モビリティシステムパッケージ」は、車両の予約から解錠などの車両の利用をICカード及びスマートフォンで完結するサービスパッケージです。下図にあるようなカーシェアリングサービスを行う上で必要となる機能をオールインワンで事業者へ提供。また、導入からその後のサポートまで一貫して行うため、事業社は簡単に導入する事が可能であるほか、最小1台からスタートでき、Will-MoBiアプリに自社ロゴを掲出することで、自社サービスとしての利用も可能です。


カーシェアの普及拡大による脱炭素社会の実現へ
日本では2010年頃からカーシェアの急速な拡大が見られ、政府も人口減少・高齢化の進展を背景とした地域活性化策に加え、地球温暖化対策としてカーシェアの普及促進に力を入れています。そこで、活躍が期待されるのがカーシェア・オールインワン・プラットフォーム「モビリティシステムパッケージ」です。予約から解錠までを含む車両の利用を、ICカード及びスマートフォンで完結するサービスパッケージとして導入が広がる、その手法や事例をご紹介します。
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