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物流における人手不足の解消やIT活用推進に役立つ「ホワイト物流推進運動」とは?

近年物流業者の需要が高まっている一方で、トラック運転者不足が深刻な問題になりつつあります。例えば、荷物を届けられないことによる品薄や運賃単価の上昇にともなう商品の値上がりなどが懸念されています。そこでトラック運転者不足を解決するために発足されたのが「ホワイト物流推進運動」です。本記事では「ホワイト物流推進運動」とは何か、また物流業者がこの運動に賛同することによる社会的な意義について解説していきます。

「ホワイト物流推進運動」の概要と物流業者に推奨されている取り組みの内容

まず「ホワイト物流推進運動」とはどのような運動なのか、その概要と物流事業者に推奨されている取り組みについて説明していきます。

「ホワイト物流推進運動」とは?

「ホワイト物流推進運動」とは、国土交通省と経済産業省、農林水産省の3つの省庁が呼びかけを行っている取り組みで、物流に関わるすべての関係者が連携して相互に改善を提案し、協力して実現を目指す取組を推進する国民運動です。すべての関係者が問題意識を持ち、物流の効率化・生産性向上のために協力していくことを目指しています。

深刻な人手不足が物流危機を招く

2019年にまとめられた資料「ホワイト物流推進運動のご案内と参加のお願い」によれば、トラック運転者の数は平成7年のピーク以降は減少の一途をたどっています。同時に問題となっているのが、運転者の高齢化とトラック調達コストの上昇です。同資料によると、トラック運転者の有効求人倍率は3.03倍と他の職業に比べて高い状況にあり、深刻な人手不足が懸念されています。

この人手不足の要因として考えられているのが「労働時間の長さ」と「賃金の低さ」です。厚生労働省の「平成29年度賃金構造基本統計調査」では、トラック運転者の労働時間は全産業平均より2割ほど長いうえに、賃金については全産業平均より1〜2割程度低いことがわかっています。そして、これらの背景にあるのが、荷待ちで発生する無駄な時間や積込・積降ろしなどの労働負担です。このままトラック運転者が不足していけば、流通そのものに大きな影響を及ぼしていくことが想定されます。

例えば、必要なときに荷物を届けることができなければ、商品が品薄になることも出てきますよね。日用品だけではなく、薬品や医療用品など命に直結するような物まで十分に届けられないという事態が起こりかねません。さまざまな課題を解決して流通を安定させるためには、物流業者だけではなく荷主や一般消費者の理解も不可欠です。関連する省庁や事業者が一丸となって物流業界の労働環境の改善を図り、トラック運転者が働きやすい「ホワイト物流」へと変えていくことが重要視されています。
*出典元:ホワイト物流推進運動サイト https://white-logistics-movement.jp/outline/

「ホワイト物流推進運動」が物流業者に推奨している取り組み

ここまでで解説したように、トラック運転者が不足するのは長時間労働など労働環境の問題が大きな要因です。こうした問題を解決するために「ホワイト物流推進運動」では、納品先の「予約受付システム」の導入や「パレットの活用」による手作業の軽減などが提案されています。

厚生労働省・国土交通省が調査した「平成27年度トラック輸送状況の実態調査」を見ると、平均の荷待ち時間は1時間45分です。荷待ちが1時間にも満たないというケースもありますが、2時間を超えるケースは全体の3割ほどもあります。これは、特定の時間に積込・積降ろしが集中することで起こっているためです。

そのような状況を解消するために「予約受付システム」を導入し、予約時間を設定することで実際に稼働時間の短縮につながっています。また「パレットの活用」については、これまで手作業で行っていた積込・積降ろしにパレットを使う取り組みを推奨しています。関係者との間でパレットの費用負担や保管方法、返却方法などに合意し、フォークリフトによる作業へと移行するのです。実際に「パレットの活用」を始めたところ、これまで2〜3時間かかっていた荷役時間が20〜40分と大幅に短縮できています。

さらに、「ホワイト物流推進運動」ではこうした生産性の向上を図る取り組み以外にも二酸化炭素排出量の削減や安定的な物流、社会的責任の遂行などが求められています。

物流事業者が「ホワイト物流推進運動」に賛同する社会的な意義とは?

国土交通省などは2019年3月に「ホワイト物流推進運動」を発表した後、約6300社の関連企業に参加要請の文書を送りました。その結果、「自主行動宣言」を提出して運動に賛同したのは560社ほどの企業です。これでは、まだまだ十分とはいえないでしょう。
トラック運転手の不足や高齢化の問題は、物流業界だけの課題ではありません。生産者から消費者へ物を届けることができなくなれば、社会全体の流れが停滞することになります。

現状の改善のためにはトラック運転者の労働環境の向上を図るとともに、これまでアナログで行われてきた業務のデジタル化も求められています。また、可能な限り関連事業者が協力することで業務の効率化を図り、生産性を高めていくことも重要です。
例えば、車両を分散させずにできるだけまとめて運ぶシステムを整えていけば、時間もコストも抑えることができます。それには、物流業者だけでなく荷主の協力も必要になってくるでしょう。

「ホワイト物流推進運動」に賛同することは、無駄を省いた安定的な流通を確保するために協力することでもあります。物の流れを円滑にするための役割を果たすことで、社会に大きく貢献できるといえます。同時に、企業にとっても労働環境の改善につながりますし、そうなると不足がちだったトラック運転手の確保もしやすくなります。

社会全体の流れを円滑にする「ホワイト物流推進運動」

必要な物を必要な人に届けるのが、物流業者の役割です。トラック運転者が減少しつつある現状のままでは、社会全体の流れが止まってしまうことは十分予想できることです。「ホワイト物流推進運動」は物流業界が抱えているこのような課題の解決につながります。運動に賛同し、必要に応じて労働環境の改善や業務改善のためのIT推進に取り組むなど、これまで問題となっていたことに向き合うことが今、求められています。

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