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事例
ソーラーパネルとカーシェアステーション

再生可能エネルギーでEV電力を賄う!脱炭素社会に向けた自立型EVカーシェアリングの取り組みとは ?

EV車のメリットといえばまず挙げられるのが環境に優しいことです。電気で走るEV車はガソリン車のように走行時に二酸化炭素を排出しません。とはいうものの、EV車の燃料となる電気を発電するために火力発電で二酸化炭素が排出されているというのも事実。
そこで注目を集めているのが、太陽光発電などの再生エネルギーでEV車の電力を賄う取り組みです。カーシェアリングにおいてもソーラーカーポートとEV車を組み合わせた自立型カーシェアリングの動きが広まっています。それはどのようなものなのか、詳しく解説します。

自立型EVカーシェアリングの事例を紹介

自立型EVカーシェアリングはどのような地域で実践され始めているのでしょうか。まずは事例を2つ紹介します。

広島県広島市

広島県広島市では、中国電力が旗振り役となって完全自立型EVシェアリングステーションの実証実験が始まっています。カーポートが設置されているのは広島県立広島産業会館です。サービスの企画・運用、ステーションの構築、シェアリングサービスは中国電力が提供し、広島県は土地の提供や企業向けEVシェアリング事業への参画、EV普及推進の実証実験を行います。このプロジェクトに参加しているのは中国電力と広島県だけではありません。岐阜県多治見市でのカーシェアリング事業でも協力しているパナソニックとAZAPAも参加しています。パナソニックは太陽光発電に関する設備や遠隔管理システム、AZAPAは蓄電池系統の分野を担当しています。
このカーポートに停車しているEV車は2台です。広島県と中国電力の子会社である中電工がシェアします。日中に車が利用されている間は発電した電力がすべてステーションに蓄電され、車が返却された際や夜間にその電力を使って車を充電します。将来的には他企業や地域住民による利用、災害時における非常用電源としての役割なども期待されるところです。
参考情報>>中国電力株式会社プレスリリース(外部サイト)

「完全自立型Evシェアリングステーション」の実証事業

「完全自立型Evシェアリングステーション」の実証事業
引用:広島県公式ホームページ

岐阜県多治見市

岐阜県多治見市では、JR多治見駅の北口と南口でトヨタの超小型電気自動車「C+pod」を活用したカーシェアリング事業が行われています。この事業を行っているのは地元の新興電力会社であるエネファントです。同社はJR貨物のコンテナ側面にスロープを取り付け、小型電気自動車2台を駐車できるスペースを確保しました。さらに天井に太陽電池パネルを設置し、車に充電ポートを差し込むだけで電力を確保できる完全独立型ポート「E-Cube」を採用したのです。その結果、カーポート設置の際にまず問題となるポートの工事費や誰が電気代を払うのか、といった問題を解消しました。
また、シェアリングサービスにはOpen Street社のシステムを採用しています。車の貸し出し時にはスマートフォンで解錠ができ、非対面でのカギの受け渡しが可能です。また、リアルタイムで走行情報やバッテリーデータを取り込むため、二酸化炭素の削減量の可視化にも成功しています。環境への貢献度が明確になることで環境問題をより身近に感じることができるというわけです。
参考情報>>多治見超小型Evカーシェアサービスサイト(外部サイト)

太陽光発電を活用した自立型EVカーシェアリングに必要なもの

太陽光発電を活用した自立型EVカーシェアリングを導入する際、いくつか必要なものがあります。まず挙げられるのがEV車両とEV充電器、駐車スペース、ソーラーカーポートといった設備・機器類です。それ以外に車の管理や制御を行うカーシェアリングシステムなどのソフトウェアが必要です。さらに、サービスを回していくための運用体制が必要になるでしょう。以下、それぞれ詳しく解説します。

車両・設備・機器類

EV車両は充電規格、放電(V2H)機能の有無、乗車定員などの要素にバリエーションがあり、かつ昨今のEV需要を受け納車に時間がかかるなど、考慮すべき事項が多々あります。
駐車スペースにおいては利便性の高い場所を確保する必要があるでしょう。ただし、ソーラーカーポートを設置する場合には日当たりが良い場所であることも重要なポイントです。発電状態をモニターするためのスマートメーターも必要でしょう。
また太陽光発電はどうしても不安定であるため、発電した電気を一旦貯めて、安定的にEV車両に充電するために蓄電池も必要となります。
設備系にどうしても多額の投資が必要となりますが、EV車両やEV充電器の各種補助金を活用して負担低減も可能でしょう。

中国電力_完全自立型EVカーシェアリングの設備類

完全自立型EVカーシェアリングの設備類
引用:中国電力株式会社プレスリリース

カーシェアリングシステム

カーシェアリングでは多くの場合、利用者がスマートフォンアプリを通して車両の予約や開施錠を行います。また、管理者側は車両の位置情報や状態に関する情報の取得・管理をする必要があり、システムが必要になります。太陽光発電を活用した自立型EVカーシェアリングの場合、EVのバッテリー残量(SOC)や走行距離データを取得し、どのくらい二酸化炭素の削減につながっているかが分かるようになっているとなおよいでしょう。
カーシェアシステム・アプリのイメージ

運営体制

カーシェアリングサービスを展開する際には、カーシェアアプリの使い方や利用中のお問合せ、事故対応、車両の清掃・メンテナンスなどさまざまな業務が発生します。そうした業務に対応できる体制を整えておかなければなりません。
もちろんカーシェアのサービス体系や規模にも拠りますが、コールセンターの用意、清掃メンテナンス体制など運営体制の整備は欠かせません。

いかにして事業ベースで運営していけるかがポイント

太陽光発電を活用したEVカーシェアリング事業は全国各地で行われていますが、これらを実証実験で終わらせず、持続させるには事業化が不可欠です。EVカーシェアリングがより広まっていくためには、いかにしてその取り組みを事業化していくのかが重要なポイントとなるでしょう。
また、電力系統から独立している「自立型EVステーション」は、災害時でも電源を確保できる防災拠点としての活用も考えられます。防災減災のまちづくりの一環として、今後自治体による積極的な取り組みが期待されます。

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