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MaaS(マース)が変える私達の暮らし!国内事例3選と将来展望

 移動の概念を根本から変える新たなサービス、MaaS(Mobility as a Service)が注目を集めています。あらゆる交通手段を統合し、シームレスな移動体験を提供するMaaSは、私たちの暮らしや都市のあり方を大きく変えようとしています。
本記事では、MaaSの基本概念から社会課題の解決方法、国内の先進事例、将来展望まで、幅広く解説します。
MaaSがもたらす移動革命を理解することで、ビジネスチャンスを掴むヒントが得られるかもしれません。これからの社会を形作る重要な概念「MaaS」について、一緒に学んでいきましょう。

MaaS(マース)とは

 MaaS(マース)は、「Mobility as a Service」の略称で、直訳すると「サービスとしての移動」を意味します。これは、電車やバス、タクシー、シェアサイクルなどのさまざまな交通手段を、1つに統合したサービスで、利用者は、スマートフォンアプリなどを通じて、複数の交通手段を組み合わせた最適な経路検索、予約、決済を一括して行えるのが特長です。
MaaSの核心は、個々の移動手段を「所有」するのではなく、必要に応じて「利用」するという考え方にあります。これにより、利用者は最適な移動手段を柔軟に選択でき、移動の効率性と利便性が大幅に向上します。

MaaSの市場動向

 MaaSの市場動向は、今後急速な拡大が見込まれています。
国土交通省によると、MaaSの国内市場は、2030年までに約6兆円規模に成長すると予測されています。特に2025年以降、その成長ペースは加速すると見込まれており、2018年から2030年にかけて市場規模が大きく拡大する見通しです。
また、世界市場に目を向けると、さらに劇的な成長が期待されており、2050年までには、約900兆円という巨大な規模に達すると予測されています。
このような急速な市場拡大の背景には、情報通信技術(ICT)やAI等の情報処理技術の進展が大きな影響を与えているといわれています。
これらの予測から、MaaSは今後数十年にわたって急速に成長し、各業界に大きな変革をもたらすことになるでしょう。この成長過程で、既存の交通サービスの在り方や都市計画、さらには人々の移動に対する考え方にも大きな影響を与えることも期待されます。

MaaSが解決する社会課題

MaaSは、多くの社会的課題を解決できる概念として注目されています。
具体的には、以下のような課題を解決できるといわれています。
・都市部の交通渋滞
・地方における公共交通利用者の減少
・環境負荷
MaaSがどのように社会課題解決に寄与するのか詳しく見ていきましょう。

都市部の交通渋滞

 都市部では慢性的な交通渋滞が大きな問題となっています。これは経済的な損失を生み、環境への負担も増やしています。そこで注目されているのがMaaSです。MaaSは都市の渋滞緩和に大きな役割を果たすと期待されています。
例えば、MaaSアプリを通じてリアルタイムで運行情報を確認したり、最適な経路を見つけたりできます。これにより、公共交通機関がより使いやすくなります。
さらに、AIを使って交通需要を予測し、バスやタクシーなどを効率よく配置することもできます。

地方における公共交通利用者の減少

 人口減少が進む地方では、公共交通利用者の減少も懸念されています。そのため、今後はさらに利用者のニーズにあわせた交通サービスを提供することが重要です。
この課題に対して、柔軟かつ効率的な解決策の一つとなるのがMaaSです。
具体的には、利用者が必要な時だけバスやタクシーを走らせる「オンデマンド」型のサービスが考えられます。さらに、運行状況をオンラインで管理したり、AIを使って分析したりすることで、地域の人々が本当に必要としている交通サービスを提供できるようになります。

環境負荷

 都市部の大気汚染や温室効果ガスの排出量増加など、環境問題が深刻化しています。これを防ぐため、脱炭素社会を目指す取り組みが各地で始まっています。
特に、自動車への過度な依存によるCO2排出量の増加は早急な対応が必要です。そのため、効率的で環境に優しい交通システムの構築が急務となっています。
具体的には、MaaSの導入によって異なる交通手段を統合することで、公共交通機関やシェアモビリティの利用を促進します。それにより、自家用車の利用を減らせる可能性があります。
さらに、MaaSを活用して複数の交通手段を最適に組み合わせることも有効でしょう。これにより、全体的な交通効率が向上し、不要なCO2排出を抑えられると期待されています。

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MaaSの国内事例3選

 国内でのMaaS事例を3つご紹介します。

JR九州と宮崎交通の統合型デジタルサイネージでMaaSを推進

 JR九州と宮崎交通が共同で取り組むMaaSの一環として、統合型デジタルサイネージの導入事例を紹介します。
この取り組みの背景には、公共交通機関の利用者に対してより分かりやすい情報提供を行い、鉄道とバスが一体となったシームレスな移動環境を整備するという目的がありました。これまでも両社は、バス乗り場の整備やアプリ上での共同チケット発売など、公共交通の利便性向上に努めてきましたが、今回の導入はその取り組みをさらに一歩進めるものとなりました。
具体的なMaaSの取り組み内容としては、32インチモニターとAndroid STBを組み合わせたデジタルサイネージを宮崎県内の4つの駅(佐土原駅、日向新富駅、田野駅、高鍋駅)に設置しています。このサイネージ上では、JR九州の列車走行位置情報および運行情報と、宮崎交通のバス接近情報が一つの画面で表示されるようになりました。
この統合型デジタルサイネージの導入により、列車及びバスの運行情報を同時に確認できるため、待ち時間の削減や混雑の回避といった効果を期待できます。
この取り組みは、MaaSを実現するうえで重要な「すべての交通手段によるモビリティ(移動)を1つのサービスとしてとらえ、シームレスにつなぐ」という概念を具現化したものといえるでしょう。
▼事例の詳細はこちらから
宮崎県内の移動を便利に!鉄道とバスの運行情報を一画面で表示するデジタルサイネージを提供

観光MaaSで渋滞解消と観光客の利便性向上を目指す

 神奈川県箱根町の「川崎・箱根観光MaaS実証実験」は、観光地における交通課題の解決と観光客の利便性向上を目的とした先進的な取り組みです。
シームレスな移動と簡易な決済を実現する「EMotサービス」を利用し、以下のサービス実現に向けて取り組みました。
・電車、バス、タクシー、シェアサイクルなど複数の交通手段を組み合わせた経路検索
・「デジタル箱根フリーパス」をはじめとする電子チケットの購入
利用者は、Webまたはアプリ上で予約・決済を行います。そしてスマートフォン上に表示されるデジタルチケットで、さまざまな交通機関や施設を利用できます。
この実証実験の取り組み効果としては、観光地における道路渋滞の解消と、複数の交通手段を一元的に検索・決済する手段の提供が期待されていましたが、実際はコロナ禍の影響により効果検証は未実施です。今後、この実証実験の成果が十分に検証され、観光地における交通課題の解決モデルとして確立されることが期待できるでしょう。

広域連携で実現する次世代移動サービスの挑戦「九州MaaS」

 九州MaaSの事例は、九州全体という広域なエリアでシームレスな移動の実現を目指したMaaS事例です。このプロジェクトは、九州経済連合会を中心に、九州各県および約80の交通事業者・団体が参加する国内最大規模の次世代移動サービス構想です。
背景には、労働人口不足や燃料費高騰による事業費増加といった深刻な社会課題があります。これらの課題に対応し、持続可能な地域公共交通の実現と地域経済の活性化が急務となっており、MaaSへの取り組みが進められました。
九州MaaSの特徴は、九州全体という広域でのMaaS実現を目指している点です。具体的には、九州全域の電車、バス、タクシーなど複数の交通手段を一括で予約・決済できるようになったり、リアルタイムの交通状況をもとに最適なルートを案内してもらえるようになったりと利便性の向上を実現しています。また、九州各県の特色を生かしたフリーパスやチケットを、デジタルチケットとしてオンライン上で購入・利用できるようになりました。
九州全体をひとつの移動圏として捉え、シームレスな移動環境を構築することで、持続可能な地域交通の実現と地域経済の活性化に貢献していくことが期待されています。

ミライコラボを運営するWill Smartも技術企業として九州MaaSプロジェクトに参画しています。複数の交通事業者や自治体が保有する異なるダイヤ情報や運行データなどの統合や可視化し、データの分析・活用に必要な知見を提供していく見込みです。
▶詳しくはこちら:https://willsmart.co.jp/news/20240604/

MaaSの将来展望

 MaaSは、テクノロジーの進化と社会ニーズの変化に伴い、今後さらに発展していくと予想されます。ここでは、MaaSの将来展望について、特に注目される二つの観点から考察します。

自動運転との融合

 自動運転技術の発展は、MaaSの可能性を大きく広げると考えられています。
まず、オンデマンド型自動運転サービスの実現が期待されます。利用者の要求に応じて、自動運転車が最適なルートで目的地まで送迎するサービスが可能です。また、深夜や過疎地など、従来のサービスでは採算が取れなかった時間帯や地域でも、効率的なサービス提供が実現するでしょう。
さらに、自動運転車同士の連携により、シームレスな乗り換えが可能になります。
例えば、長距離移動では高速バスで移動し、降車地点で自動運転タクシーがちょうど待機しているような、完全に同期したサービスが実現するかもしれません。
さらに、自動運転により運転の必要がなくなれば、移動時間を他の目的に活用できるようになります。移動中に会議をしたり、休息をとったりできる専用の自動運転車両がMaaSサービスの一部として提供される可能性もあるでしょう。
このように、自動運転技術とMaaSの融合は、移動そのものの概念を変え、移動時間を単なる「移動」から「価値ある時間」へと変換する可能性を秘めています。

スマートシティ構想におけるMaaSの役割

 MaaSは、スマートシティ構想においても重要な役割を果たすと考えられています。
具体的には、都市計画との連携が挙げられます。MaaSから得られる移動データを活用することで、人々の移動パターンに基づいた公共施設の最適な配置や道路設計など、より効率的な都市設計が可能になります。
また、MaaSと都市のエネルギーマネジメントシステムを連携することも考えられます。この連携を行うことで、電気自動車の充電需要予測や再生可能エネルギーの効率的な利用も実現できるようになるでしょう。

まとめ:MaaSが切り拓く、移動革命の未来

 MaaSは、私たちの移動の概念を根本から変える可能性を秘めた革新的なサービスです。具体的には以下を実現できます。

  • 複数の公共交通機関の連携
  • 検索・予約・決済を一括実施
  • 移動データを活用した新たなサービス創造

MaaSは単なる交通手段の統合にとどまらず、都市部の渋滞緩和、観光振興など、多岐にわたる社会課題の解決に貢献します。
さらに、自動運転技術との融合やスマートシティ構想における中核的役割など、MaaSの将来性は計り知れません。
MaaSの発展に遅れをとらないよう、先進事例に倣いながら、新たな取り組みを進めていきましょう。

ミライコラボを運営するWill Smartでは、MaaSの実現をサポートするソリューションを幅広く提供しています。▼コチラより、業界業種ごとのソリューションをご覧いただけます。また、駅やバスターミナルなどフィールド別の導入事例集も下記よりダウンロードいただけますので、合わせてご覧ください。


導入事例集のダウンロードはこちら

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