ドラレコの導入目的と活用実態が異なる?事故予防や安全指導に活用するための心得!
運送業界において、ドライブレコーダー(以下ドラレコ)は欠かせないアイテムになりました。業界全体で導入は進む一方であり、すでに車両全台に搭載済みの企業も多いでしょう。
しかし、搭載したからといって安心はできません。搭載したドラレコを本格的に活用できているでしょうか。そこで、本記事ではドラレコの導入目的と活用実態についてのデータを参照しながら、事故予防や安全指導に活用できるシステムもご紹介します。
目次
ドラレコの導入目的と活用実態は?
全日本トラック協会による「平成26年度ドライブレコーダの導入効果に関する調査報告書」*1 によれば、運送企業におけるドラレコの当初の導入目的と活用の実態には相違が見られます。まずは、本来はどのような目的で導入されたのか把握しておきましょう。
目的どおりに使われていない実情
先の報告書によれば、運送業者が事故予防を目的としてドラレコを導入するケースが約9割という結果になりました。
そもそも運送中に事故が起こると、顧客に多大な迷惑をかけてしまいます。また、会社の評判が低下したり多額の損害賠償金を請求されたり、取引先やドライバーが離れていってしまうことも考えられます。これらのリスクを避けるために、多くの運送業者が事故予防を目的としてドラレコを導入していることは自然なことと考えられます。
一方で、同じ報告書によると、ドラレコの活用状況の実態で最も多いのが「事故などが発生したときのみ映像を確認、指導」というもので、回答のあった事業所のおよそ半数以上にあたりました。確かに、事故が起きた際には、詳細な状況把握が必要になりますので、効率的に進めるためには、当時の状況を適切に把握する手段が必要です。その材料やエビデンスとして、ドラレコで記録した映像が大きな役割を果たしていることも事実です。
*1 全日本トラック協会による「平成26年度ドライブレコーダの導入効果に関する調査報告書」
https://jta.or.jp/wp-content/uploads/2020/12/H26drive_recorder_chosa.pdf
事故予防や安全指導に活用すべき
本来の導入目的である「事故予防」の観点と実際の活用状況に差異があっても、ドラレコが何かしらのかたちで会社の役に立っているならそれで構わないと考える人もいるでしょう。
しかし、社会的な見地からも事故を未然に防ぐことは重要です。内閣府の令和3年版交通安全白書*2 によると、令和2年に発生した交通死亡事故のうち、安全運転義務違反に起因するものは約半数に及びます。つまり、ドライバーのちょっとした気の緩みなどによって安全運転義務を遵守できなかったために、多くの交通死亡事故が引き起こされていると言っても過言ではありません。
こういった事実を踏まえ、事故予防を目的にドラレコを活用することは、運送業者として望ましいスタンスでしょう。ドラレコで録画された映像を使えば、ドライバーがどのような運転をしているのか把握できるので、事故予防の注意喚起が可能です。また事故の映像はもちろん、事故に至らなかったヒヤリハットの映像も貴重な教材になります。これらを研修やOJTなど、定期的な安全指導に活かしていくことも大切です。
*2 内閣府の令和3年版交通安全白書
https://www8.cao.go.jp/koutu/taisaku/r03kou_haku/pdf/zenbun/1-1-1.pdf
こんなドラレコも!事故予防や安全指導に役立つシステム
もしこれからドラレコを導入するのであれば、事故予防と安全指導に活用しやすいものを選びましょう。すでに導入済みの場合も、システムの変更や補強をすることを検討してみても良いかもしれません。以下に紹介する3点は、どのような利用用途でも有用な働きを見込めるものです。
高機能ドラレコ
一般的な映像を記録する機能に加えて、優れた機能を持つドラレコも多く発売されています。代表的なのは管理センターとの通信機能が備わっているものです。映像が管理センターに蓄積され、監視しているスタッフが事故のリスクを察知すると、ドライバーに対応を指示してくれます。また、カメラで車間距離を常に計測し、一定以下になると警告を鳴らして、衝突を防ごうとするタイプもあります。さらに、360度の撮影が可能なドラレコも増えており周囲の状況まで含めた映像が残るので、より実情に合った安全指導が可能になります。
AIドラレコ
AIを搭載したドラレコも、事故予防と安全指導の両面で貢献度がとても高いものです。例えば、車内側に向けたカメラでドライバーの脇見運転などを把握する機種も販売されています。
また、事故のリスクが大きいと判断したら、ドライバーに注意を促すとともに、管理監督者などへリアルタイムで通知する機能も備えています。急加速や急減速のような事故につながりやすい挙動も検知し、情報を総合的にレポートしてくれる点も魅力です。このようなフィードバックにより、運転品質の改善に向けた教育を迅速かつ適切に実施できます。
映像解析ツール
ドラレコのカメラの解像度は製品によってさまざまですし、フレームレートによって再生時のスムーズさも変わってきます。それらの性能が悪いと、車が高速で移動している場合には詳細な状況まで把握できないケースも少なくありません。そういった状況でも、映像解析ツールがあれば効果的なフォローが可能です。画素の補間やノイズの除去、明度の調整などにより、当時の状況がかなり鮮明によみがえります。
またAIの画像解析技術を用いて、ドラレコの映像を解析するツールもあります。映像の確認に人手をかけすぎることなくドライバーの危険な運転行動を検出できるため、効率的な安全指導に役立ちます。また、ツールによってはお使いのドラレコの機材変更をすることなく導入できるものもありますので、ドラレコの新規購入に比べてコストも抑えられます。
このようなツールを活用することで事故やヒヤリハットの原因も分かりやすくなり、運行データと結び付けた安全指導も容易になるでしょう。
適切なドラレコの活用によって事業や人命を守りましょう!
せっかくドラレコを導入するなら最大限に活用するのが得策です。事故発生後の原因検証も大事ですが、やはり事故防止や安全指導にも使っていくのが理想ですよね。事故発生による大きなリスクを避けやすくなり、何より人命を守ることにもつながります。
事故が起きた後だけではなく、事故が起きる前の対策として高機能ドラレコやAIドラレコ、さらには映像解析ツールの導入も視野に入れ、自社における適切な運用を心がけましょう。
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