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マイナンバーカードと交通系ICを連携?国が目指す新しい交通施策

令和4年12月23日に5カ年に渡る「デジタル田園都市国家総合戦略」が閣議決定しました。
その中で政府は、マイナンバーカードと「Suica」や「PASMO」などの交通系ICカードを連携させ、地方自治体による高齢者や住民限定の公共交通割引などを行うサービスを全国で推進する方針を固めています。

上記のサービスを導入する自治体への財政支援も検討されており、マイナンバーカードの普及や利便性の向上にもつなげたいという狙いがあります。

本記事では、デジタル田園都市国家総合戦略の概要と戦略に盛り込まれているマイナンバーカードと交通系ICカードの連携サービスについて解説します。

「デジタル田園都市国家総合戦略」とは

「デジタル田園都市国家総合戦略」の概要

「デジタル田園都市国家総合戦略」とは、デジタル技術の活用を通じて人口減少や人手不足といった地域課題を解決し、地方活性化を目指す「デジタル田園都市国家構想」を実現するため、各府省庁の施策を充実、強化し、施策ごとに2023年度から2027年度までの5カ年のKPI(重要業績評価指標)とロードマップ(工程表)を位置づけたものです。東京圏への一極集中を是正し、地方で暮らしながら都会に匹敵する情報やサービスを利用できるようにすることで地方の社会課題の解決につなげたいとしています。

また、各地方は、地域が抱える課題などを踏まえて、各地域の個性や魅力を生かす地域ビジョンを再構築した「地方版総合戦略」策定に努め、国は地域ビジョンの実現に向け、地方の取組を支援していくとしています。

「デジタル田園都市国家構想」の実現に向けた主要KPI

「デジタル田園都市国家総合戦略」の施策は、国がデジタル基盤の整備やデジタル人材の育成など、デジタル実装の前提となる取組を推進し、地方はデジタルの力を活用して仕事の創出や移住の拡大などの社会課題の解決に向けて取り組んでいくという方向性を定めています。それぞれの取り組みについてKPIが定められており、国が取り組んでいくデジタル実装の基礎条件の整備については光ファイバーの世帯カバー率や、5Gの人口カバー率、デジタル推進人材の育成などについてKPIを位置づけています。

また、地方公共団体が取り組む、地域の社会課題の解決に向けた取り組みについては、サテライトオフィス等を設置した地方公共団体の数や、ふるさと納税を活用したことのある地方公共団体の数、1人1台端末を授業でほぼ毎日活用している学校の割合などについてKPIが位置づけられています。さらに、地域ビジョンの実現についてはスマートシティの選定数や脱炭素先行地域の選定及び実現、無人自動運転移動サービスの実現数などについてKPIを位置づけており、全国で地域ビジョンを実現するために政府一丸となって後押しするとしています。

全国初!マイナンバーカードと交通系ICカード連携の取り組み

マイナンバーカードの普及促進・利活用拡大の取り組み

「デジタル田園都市国家総合戦略」において国が推進していく取り組みの中に「デジタル基盤の整備」がありますが、その中でも注目されている施策の一つが、マイナンバーカードの普及促進と利活用の拡大に関する取り組みです。

マイナンバーを活用した取り組みとしては、健康保険証との一体化に向けた取り組みや行政手続きがオンラインで完結できる「オンライン市役所サービス」の取り組みが徐々に広まってきていますが、「デジタル田園都市国家総合戦略」では、マイナンバーカードと交通系ICカードを連携させ、公共交通やタクシーの住民割引を行うサービスを全国で推進する方針が明記されました。このサービスを導入する自治体には1億円を上限に事業費の2分の1を交付金で補助する方針で、2023年度から希望した一部自治体で実施される予定となっています。

前橋市における公共交通の住民割引の実証実験

全国に先駆けてマイナンバーカードと交通系ICカードの連携によるバス運賃などの住民割引に取り組んでいるのが、群馬県前橋市です。前橋市はJR東日本などと2020年12月からマイナンバーカードと交通系ICカード「Suica」を連携させる実証実験「MaeMaaS(マエマース)」を開始しました。

この取り組みは、一人ひとりの移動ニーズに合わせて複数のモビリティサービスの検索・予約・決済等を一つのサービスとして提供し、前橋市の交通を便利にする目的で開始されました。2022年11月からは実証実験を終了し、社会実装がスタートしており、これから機能の拡張なども予定されています。

住民割引のサービスは、利用者が専用のサイトなどでマイナンバーカードと交通系ICカードのID番号を登録することで氏名や居住地、生年月日などの情報がICカードのIDと紐づけられるので、割引を受けるのにマイナンバーカードを携帯する必要はないという仕組みになっています。

前橋市民が対象となる割引サービスはデジタルフリーパスやデマンドバスに適応されており、クレジットカードを持っていない学生でも利用できるほか、交通系ICカードは移動や買い物など様々な決済に利用できるので、商業施設などとの連携サービスなども期待できるとのことです。

MaeMaaSのサービスページ(https://lp.g3m.jp/より引用)

マイナンバーの活用が公共交通を活性化させる?

前橋市のMaeMaaSは2023年2月末に群馬版MaaSへ拡張され、群馬県域から全国への展開が期待されています。また、MaeMaaS以外にもマイナンバーカードと連携した市内のシェアサイクルや高齢者などの移動困難者を対象にタクシー運賃の一部を補助する制度も導入しています。

マイナンバーカードと連携した移動サービスによる住民割引制度が全国に拡張することによって、交通手段を自動車に頼っている地域でも公共交通の活用が進むようになるかもしれません。

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