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インドネシアはアジアのAI先進国?

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この記事では、ソフトバンクグループ会長兼社長の孫正義氏が「日本はAI後進国になった」という衝撃的な発言をしたことについて、その真意と事実について解説しています。

日本国内でも、ビジネス・家庭を問わずAIが活用されています。しかし、AIプラットフォームを提供するAppier社の調査によると、アジア太平洋地域の企業における人工知能導入状況を調査した結果、インドネシアが1位という結果になりました。

孫正義氏は「SoftBank World 2019」において「日本はAI後進国になった。手遅れではないが、1日も早く目を覚ましてキャッチアップしなければならない」と参加企業に訴えかけました。果たして、その言葉の裏に隠された焦りとは、どのようなものだったのでしょうか。

「先進国」だった日本が「発展途上国」になるという危惧

第二次世界大戦を終えてから、日本人は経済面での発展を目指して努力を重ね、中国に追い抜かれるまで世界第2位のGDPを記録していたことは、記憶に新しいところです。アジア唯一のG7入りを果たしていることからも分かる通り、日本は世界において少なからず影響力を持っていた「アジアの先進国」でした。

しかし、この構図には次第にかげりが見え始め、バブル崩壊後は日本の経済も長期停滞に陥ることとなり、リーマンショックの打撃も加わったことで冷え込みは増しています。近い将来に迫る「ハイペースの少子高齢化」という爆弾を抱え、人手が足りなくなることが予想される中で、その状況を改善しうるのがAIであると、孫氏は暗に指摘しているものと推察されます。

ソフトバンクは、AI関連のサービスを提供するユニコーン企業(評価額が10億ドル以上・未上場のスタートアップ企業)への投資を重点的に進めていますが、孫氏は日本企業が投資先にないことを残念に思っています。そして、技術革命に乗り遅れた日本について、いつのまにか後進国・発展途上国になってしまっていると、AIへの取り組みが遅れたことに危機感を抱いているのです。

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アジアでAI先進国として評価されているのはインドネシアだった

インドネシアは、日本が敗戦した後、現地にいた日本人が独立に協力した縁もあって、日本との関係性は良好とされています。また、経済・文化の面でもODAなどを通じて日本とは結びつきが強い国ですが、日本においてはどちらかというと発展途上国のイメージがある時代が長かったようです。

しかし、インドネシアのGDPは2018年時点でのデータではすでにオランダを超えており、世界16位となっています。都市インフラなどに課題こそあるものの、首都ジャカルタを中心に景気のよい状態が続いており、アジアで最も勢いがある国の一つです。

冒頭でもお伝えしましたが、Appier社による企業の人工知能導入状況の調査結果では、アジア・太平洋地域でインドネシアが1位という結果になりました。アメリカ・中国といった超大国がAIの導入を進めているのは当然としても、インドネシアに劣る結果となったことは、多くの日本人が驚くのではないでしょうか。

この調査では、日本はインド・韓国・シンガポールよりも導入が遅れているという結果が出ています。また、世界的な科学技術・医学文献の出版社であるオランダ・エルゼビア社によると、AIに関する研究論文数を比較したとき、2018年現在から数えて過去20年間で、中国が最も多く論文を発表したと報告されています。

このような事実がある現状では、孫氏が危機感を抱くのは当然と言えるのかもしれません。

世界中で成功している「AI起業家」の存在と孫氏の焦り

孫氏の厳しい指摘の裏には、ソフトバンクという会社が成長を続ける組織であり続けるためには「群戦略」が重要であるとの考えがあります。各業界のNo.1企業は手元に集めつつも、各社のブランドはそのままにするというもので、その対象となっているのがAI企業であることから「AI群戦略」とも呼ばれます。

世界を見渡すと、AIによって成功した起業家は数多く存在します。インドで創業した「Oyo Hotels and Homes」は、2013年の創業以来AIを活用することで徹底的な効率化を図ることに成功していますが、創業者のRitesh Agarwal(リテッシュ・アガーウォール)はゼロからのスタートで世界第2位のホテルチェーンにまで成長しています。

また、東南アジアを中心としたタクシー配車サービスの「Grab」も、天候・交通量等の分析から極めてきめ細やかなサービスをしていると、孫氏は評価しています。
自らも第一線で活躍している人間だからこそ、AIに対する日本国民の意識の低さに苛立ちを感じているのかもしれません。

まとめ

孫氏の数々の指摘は、正鵠を射るものであることは間違いないでしょう。しかし、多くの日本人が持つ危機感は、孫氏が抱くそれとは違うはずです。
技術革命の流れに乗ることで、後進国となった日本で大きな成果を得られるチャンスだと理解している起業家たちは、今の日本にどれだけいるのでしょうか。ピンチをチャンスに切り替える感性が、何よりも今の日本には必要なのかもしれません。

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