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自治体のゼロカーボンシティ化へ、EV公用車データなど用い官民協同で実証実験

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多くの自治体において2050年までにCO2排出量実質ゼロをめざす「ゼロカーボンシティ」化が、環境省主導で進められています。この動きを受け、SBテクノロジー株式会社と富士通株式会社は、福島県会津若松市、茨城県水戸市、岐阜県多治見市、兵庫県加古川市の4自治体において、各自治体が保有するEV公用車の電力消費量やソーラーカーポートの再生エネルギー発電量などの分野をまたいだ情報を一元的に収集、CO2排出量や削減量の可視化を図る実証実験を2021年11月から2022年2月まで行いました。
本記事では、この実証実験についてご紹介します。

実証実験の概要

今回の実証実験のねらいは、各自治体が保有するEV公用車の電力消費量やソーラーカーポートのエネルギー生産量などに関する情報を収集した上で、データ可視化による情報の共有化を図ろうというものです。情報の収集には「CADDE(ジャッデ)」という仕組みが導入されました。CADDEは、国が直面する重要な社会的課題や経済再生の課題に取り組む内閣府の戦略的イノベーション創造プログラムに採用されたもので、ビッグデータやAIを活用した「分野間データ連携基盤技術」に基づいて開発された技術です。
このCADDEを用いてデータが適切に収集され、最終的な目標であるデータの可視化に向けて各機能の有効性を確認することと、参加した4自治体がゼロカーボンシティの施策を推進するうえでの業務効果を測定することが今回の実験の目的でした。

図1.「CADDE」で収集したデータをもとに可視化されたCO2排出量や削減量のレポート画面

実験の具体的な内容は?

実験は各自治体が所有するEV公用車とソーラーカーポートを対象に行われました。EVは電気エネルギーと電動機で走行する電気自動車で、ソーラーカーポートとは、簡易的な車庫の屋根部分に太陽光パネルを設置した発電装置をさします。実験の流れは次の通りです。

①データの収集
EV公用車、ソーラーカーポートについて「EVデータ」「移動データ」「エネルギーデータ」を集めます。EVデータの具体的収集項目は、電力消費量・走行距離・台数・バッテリー蓄電量・チャージ回数/電力量となります。移動データについては、車両の台数・利用回数・発着の利用地点・利用人数・利用時間をまとめます。エネルギーデータでは電力消費量・太陽光供給電力量・購入電力量・設置地点が収集対象となります。

②データを集約して可視化
収集した各種データはCADDEによって流通されます。次に、流通するそのデータを集約して、可視化に向けたデータ処理を施します。集約についてはデータの送受信を行うためのソフトウェアであるコネクタを経由させます。データ交換は提供者コネクタと利用者コネクタのネットワークを通すことで可能になる仕組みです。

③データの閲覧
集約されデータ処理された情報はWEBのブラウザを通してアクセスすることが可能になります。アクセス後は可視化ツール「IoT Core Connect」のレポート画面で閲覧します。

④トレーサビリティ(来歴管理)
CADDEと連携させ、収集したすべてのデータを記録、原本情報や送受信履歴などを管理して追跡可能な状態にすることによって、データの信頼性を高めることを可能にしました。

図2.実証環境のイメージ

実証実験の結果と今後の展望は?

今回の実証実験では、主に次の2つの観点に基づいて検証が行われました。一つが「CADDEの機能有効性」、もう一つが「ゼロカーボンシティ推進施策への有効性」です。このうち「CADDEの機能有効性」の観点では、データ収集、データの可視化、閲覧、トレーサビリティといった各機能についてCADDEがそれぞれ有効性を発揮することができたかどうかの検証が行われました。また「ゼロカーボンシティ推進施策への有効性」という観点では、可視化ツール「IoT Core Connect」によるCO2可視化サービスと、トレーサビリティシステムに関する利用者アンケートの実施でゼロカーボンシティ施策の推進に向けた効果を検証しました。

検証の結果、「CADDEの機能有効性」については、データ収集、データの可視化において、EV公用車・ソーラーカーポートともに、利用目的に応じた成果が得られたことが確認されています。来歴管理をはじめとするトレーサビリティについては、当初の目的であるデータの信頼性に裏付けられた車両データの追跡が可能であることが確認されました。「ゼロカーボンシティ推進施策への有効性」については、EV公用車それぞれについて、リアルタイムに移動データを取得することによる効率的な稼働管理、CO2削減量の可視化によるEV公用車移行へのモチベーションアップ、職員の環境問題への関心度のさらなる向上といった点で、ゼロカーボンシティ推進に向けた機運の高まりに資するという評価を得ています。

今回の実証実験の結果を受けて、SBテクノロジーと富士通関連各社では、今後もCADDEの活用に向けた検証を進めながら、ゼロカーボンシティに向けた自治体の取り組みを支援していくとしています。

CO2削減量もデータ可視化で一目瞭然、EV車導入など自治体のゼロカーボンシティ化へいっそうの拍車

SBテクノロジー株式会社と富士通株式会社が、会津若松市、水戸市、多治見市、加古川市の4自治体とともに、CADDEを用いて行った今回のCO2排出量データ可視化に関する実証実験では、CADDEの機能有効性、自治体職員の環境問題に対する意識向上などに顕著な効果が認められました。今回の実験結果を受け、今後もEV車の積極的な導入などといった具体的な施策につながるよう、自治体のゼロカーボンシティ化に拍車がかかることが期待されます。

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