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「ミライの種」エネクスオート 小田代表取締役社長 インタビュー前編

各分野における経営のプロフェッショナルたちが考える未来への戦略、未来への投資、そして未来像とは?過去から現在、そして未来の花咲くカギとなる「種」とはどんな姿なのか?その「歩み」を辿りながら「ミライの種」に迫ります。

第5回目となる「ミライの種」。今回お話をお伺いするのは、エネクスオート株式会社で代表取締役社長に就任された小田 康裕(おだ やすひろ)さん。
全国420店舗を展開する「カースタレンタカー」、インターネットを活用した新車・中古車販売を行う「イツモカーネット」、車検、洗車など幅広いサービスを提供するエネクスオート。カービジネスに関するノウハウを生かし、カーシェアリングの実証実験にも取り組むなど、積極的なチャレンジを続けています。社会全体の価値観が所有から利用へと移行し、消費者や企業とクルマの関係も変化する中、小田社長の目に映るミライの形をお話しいただきます。

「エネクスオートのミライの種」

エネクスオートが現在注力されているサービスについて教えてください。

「大きな柱は4つです。1つ目は全国420店舗を展開するレンタカー事業。2つ目は、中古車売買を中心とした車の流通。3つ目は車の売買や整備工場向けのシステム販売。そして4つ目はレンタカー事業に関わる保険事業や物販関係などです。クルマは所有する『モノ』から、サービスを享受する『コト』に変わっていることもあり、1つ目のレンタカー事業は増加傾向にありますね。エネクスオートのレンタカー事業の強みはガソリンスタンドとの協業にあります。ガソリンスタンドには車の整備から洗車、部品販売など車に関する多様なサービスがあります。レンタカー、ガソリンスタンドどちらにとっても相乗効果が高いサービスですね」

ガソリンスタンド自体は減少傾向にありますよね。

「確かに6万店あったガソリンスタンドも半数の3万店にまで減少しており縮小市場と危惧されています。ガソリン需要のピークは2005年をピークに減少傾向、当然厳しい商売ではあるのですが、直近1年くらいは様々な理由で足元は安定しています。かといって、将来厳しい方向へ加速していく事は避けられません。このような状況下、今ある既存の資産を使って何ができるか、と考えた際、やはりレンタカー事業の可能性は大きいと考えています」

具体的にどのような可能性でしょうか。

「レンタカー事業の知見を活かし、現在拡大傾向にあるカーシェアビジネスに取り組んでいます。レンタカーは営業時間での有人による貸し渡しが基本ですが、深夜に借りたいとか、ゴルフ行くので早朝5時半に借りたい、など無人となる営業時間外のニーズが多い。これらを実現するために、無人でも対応可能なカーシェアリングを併設させたレンタカー店舗の展開を進めたいと考えています。例えば、30台のレンタカー店舗の内5台にカーシェアシステムを導入すれば、その5台は夜間でも、早朝でも、貸し借り自由となりますからチャンスが広がりますよね。カーシェアリングがレンタカーのマーケットを浸食していると思われがちですが、互いの良さを組み合わせ、様々なニーズに対応していくことが重要でしょう」

「カーシェアビジネスのミライの種」

御社が考えるカーシェアビジネスについて教えてください。

「近年カーシェアリングの認知度が向上し、参画企業も利用者数も伸びています。中でもパーキング業者のようなそもそも場所があるところにステーションを設置するカーシェアが主流です。ただ弊社は駐車場業者ではありませんし、その用地も持っていませんから、そこに参入するのではなく法人向けのサービスとして違った切り口で捉えています」

具体的にどのようなサービスを考案されているのでしょうか。

「企業で保有している社用車には、夜間や休日、また平日でも一日中稼働していない未稼働時間があります。この未稼働時間でも維持費や駐車場にかかるコストは発生します。そこで、企業の社用車を従業員とシェアリングし『業務利用』と『私的利用』に分けてクルマを有効活用することで、台数削減や維持費用の低減、従業員にとって利便性向上など働き方改革に繋げる仕組みを提案していきたい、と考えました。」

御社独自の強みを活かしたビジネス戦略を教えてください。

「弊社含む伊藤忠エネクスグループの顧客数を合わせれば相当数となります。燃料部門で取引するガソリンスタンドは2000か所、燃料カード顧客は全国に何十万社と日本全国にネットワークを持っています。単なるカーシェアリングビジネスと捉えるのではなく、給油や車両メンテナンス、洗車、車両の流通など、様々な付加サービスを展開し、カーシェアリングに必要なオールインワンパッケージを提案することは、我々独自の強みを活かした付加価値となるでしょう」

今後、法人向けのカーシェアビジネスをどのように展開されていく予定ですか。

「まずは弊社が得意とするBtoBの領域において、法人で抱える社用車数のスリム化や、企業と従業員が効率的にシェアリングできる効率性向上のしくみを提案したいと考えております。先々は土日、祝日など社用車が稼働しない時間を利用した個人向けカーシェアも見据えています。また、レンタカー事業加盟店向けへのカーシェアリング併設、カーシェアに関するパッケージの提案を推進し、営業時間外での無人貸し出しの実現による顧客利便性の向上や売上創出も実現していきたいです」

後編では、カーシェアリングに関する「実証実験から見えたミライの種」「共創のミライの種」について迫ります。


小田 康裕

1996年、伊藤忠燃料㈱(現:伊藤忠エネクス㈱)に入社。以降、約8年間カーライフ事業本部に従事後、2017年に㈱東北タンク商会(現:伊藤忠エネクスホームライフ東北㈱)代表取締役社長に就任。卸と小売の様々な経験を経て、現在、エネクスオート㈱の代表取締役社長に就任。

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