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サーキュラー・エコノミーの実現に欠かせない「廃プラスチックの流通プラットフォーム構築」実証事業開始

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地球温暖化や海洋プラスチックごみなどの環境問題は、2015年に採択されたパリ協定やSDGs(持続可能な開発⽬標)に掲げられる国際的にも喫緊の課題です。特に、CO2排出量やごみ問題の主な要因としては《大量生産→大量消費→大量廃棄(燃焼)》によるリニア型経済が問題視されており、廃棄を出さない資源の循環型経済「サーキュラー・エコノミー」へのシフトが急務とされています。
しかしながら日本では、一般廃棄物の20%しかマテリアルリサイクルされておらず、ほとんどを焼却しているのが現状であり、リサイクル率は、国際社会から大幅な遅れを取っているといわざるを得ません。

そこで、AI技術やクラウドを利用して廃プラスチックの量を可視化、またリサイクルコストの分析や生産性向上に向け、仕組みの検討などを行うプラットフォームを構築して、資源循環都市の実現を目指す実証実験が行われることになりました。
サーキュラー・エコノミーへの実現可能な一歩となるのでしょうか。

現状を取り巻く様々な課題

社会的課題の解決に取り組む企業の製品・サービスを優先的に消費する考えは、ミレニアル世代やZ世代と呼ばれる若者たちの間で「エシカル消費」(人や社会・環境に配慮した消費行動)として広がりを見せています。
企業もこれらの需要と共に、SDGsやESG投資に対応するため再生資源の調達に力を入れ始めており、環境・社会への配慮は、今や企業の生存に関わる重要課題といえます。

しかし、一般廃棄物は、多品種・少量で発生することや、排出元での分別の徹底が難しいこと、リサイクル業者は回収・運搬業務の過負荷などでコストに見合わないこと、良い物性を発現する処理法が確立できていないことなど様々な課題から、工場などの大口の排出元以外で発生するごみの再資源化に取り組むことができていません。
さらに、衣料品や仕入れ時の商品包装など、非常にきれいな状態の資源でさえ再資源化できず焼却処理されてしまいます。
また、メーカー等の生産者側が、廃棄物などの静脈資源を調達したくても「どこから、どれだけ、どんな品質のもの」が調達できるのかが不明確なため、再生素材の調達・利用を進めることは非常に難しいのが現状です。

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資源循環都市に向けた実現実験

この実証事業では、これまで多品種かつ少量で発生するため回収が困難だった商業施設の廃プラスチックを対象に、レコテックが開発・提供する再生資源分析クラウドプラットフォーム「Material Pool System(以下 MPS ※特許申請中)」および廃棄物見える化アプリ「GOMiCO」を用いて、福岡市における総排出量を可視化します。
また、URCが市内の事業系ごみについての知見を提供するとともに、資源循環に取り組む事業社間ネットワークを構築し、参加団体とともに品質評価、リサイクルコストなどを分析します。
さらには、グルーヴノーツの量子コンピューティング技術やAI技術等を活用して、廃プラスチックの分別・収集・リサイクル(リペレット)等における静脈産業の活性化、生産性向上に向けた仕組みの検討、検証を行います。
MPSを基盤にデータや静脈・動脈事業者、行政などが有機的に連携する流通プラットフォームの構築により、資源循環都市福岡の実現を目指します。

実証実験の内容とは

【取り組みテーマ】
◆廃プラスチックの排出〜再利用におけるビッグデータの収集、分析、可視化

◆AI技術を活用した廃棄物の発生量予測、および量子コンピュータ技術を活用した廃棄物収集・運搬業務の生産性向上、運搬効率化によるCO2排出の抑制

◆再生プラスチック(PCR: Post-Consumer Recycled)など、品質評価等による再生資源のプライシング適正化

◆福岡大学八尾滋教授が提唱する物理劣化・物理再生理論に基づいた最新のリサイクル技術を適用した、高品質なリサイクルプラスチックの製造 など

 

【「ビッグデータの収集、分析、可視化」の流れ】
(1)排出元がスマホ等の入力端末からレコテックの「GOMiCO」へごみの種類や量を入力する
(2)レコテックの「MPS」(クラウド上のプラットフォーム)でごみの《種類・量・発生時間》などをマッピング

(3) (2)の情報や過去の排出量データを元に、資源の発生量予測を行い、市内の資源賦存量などを検証

(4) 実際にリサイクルされた再生プラスチックの品質試験

 

【「AI技術と量子コンピューティング技術を活用した廃棄物収集・運搬業務の効率化」の流れ】
(グルーヴノーツがこれまでに実施した、都市を対象にした「廃棄物収集ルート最適化」検証事例より)

(1) AIを活用した廃棄物の発生量予測
収集したデータや、グルーヴノーツのクラウドサービス「MAGELLAN BLOCKS(マゼランブロックス)」が提供する気温・湿度・降水量などの気象データなど、予測に影響する要因となるデータ(予測因子)を蓄積。それらをもとに、排出事業者/廃棄物種類ごと等に、「MAGELLAN BLOCKS 」のAI技術でごみ発生量を予測する。

(2) 量子コンピュータを活用した廃棄物収集・運搬業務の効率化
AIによるごみ発生量の予測結果に基づき、廃棄物が発生する排出事業者の場所(回収場所)や、収集車両の積載可能量、収集作業時間等の制約条件を考慮して、最小の車両台数かつ最短の移動距離で確実に廃棄物を回収するルートを、「MAGELLAN BLOCKS」の量子コンピューティング技術で高速計算する。

今後の展望とは

この実証事業は2020年9月3日に開始し、主に大型商業施設から排出された廃プラスチックのデータ収集は順調に進んでいます。10月中旬から福岡大学などで実際に回収した廃プラスチックをリペレット加工しています。11月以降は、データ分析や品質試験を実施していきます。
この実証事業を通して、プラスチックをはじめ、様々な資源のサーキュラー・エコノミーへのシフトに不可欠な「静脈資源サプライチェーン」に必要な条件を明確化できることが期待されています。
今後は、収集したデータに加え天候などのデータを掛け合わせてグルーヴノーツのAI技術で廃プラスチックの発生量を予測することで、排出〜再利用における資源循環の需要と供給の見える化を進めていきます。

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