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SDGsの観点で取り組む!フードロス対策へのITによるアプローチ法とは?

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SDGsがさまざまな媒体で取り上げられるようになり、我々の生活の中にも浸透してきたと感じられるようになってきました。その中の一つに、日々の生活とは切り離すことのできない「食」に関する目標として、フードロス問題があります。フードロス対策では、生産者や製造業者はもちろんのこと、販売者から消費者に至るまで「食」にかかわるすべての人がフードロスにならないように取り組むことが重要になります。この記事では、そうした中から、小売事業者によるITを活用したフードロス対策への取り組みを紹介します。

SDGsでも注目!なぜフードロス対策が注目されるのか?

フードロスとは、まだ食べられるはずの食品が捨てられてしまっている状態のことを言います。日本のフードロス量は、農林水産省が発表しているフードロスの発生状況(令和2年度推計値)によると1年間で522万トンとされています。国民1人当たり、毎日お茶碗約1杯分の食べものを捨てているということです。捨てられた食品はただ「もったいない」というだけではなく、廃棄物として処理するのにもお金がかかったり、廃棄する過程で環境汚染につながったりする場合もあるため、フードロス対策は重要な取り組みとして注目されています。
また、今注目のSDGs(持続可能な開発目標)においても、目標12にて「2030年までに小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食糧の廃棄を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料の損失を減少させる」といった内容で言及されています。そのため、政府としても家庭系・事業系ともに食品ロスを2030年度に2000年度比で半減することを目標に掲げています。


SDGs

ITを活用したフードロス対策の現状

農林水産省が発表しているフードロスの発生状況(令和2年度推計値)では、食品ロス量522万トンのうち47%の247万トンは家庭系フードロスで、53%の275万トンは事業系フードロスであるとされています。事業系フードロスのうち23%の121万トンは食品製造業、16%の81万トンは外食産業、11%の60万トンは食品小売業、2%の13万トンは食品卸売業となっています。家庭系フードロスは、食べ残しや賞味期限切れでの廃棄など、消費者が個々に注意して減らしていくことができますが、一方で事業系フードロスには個人の意識だけではなく、明確に対策が必要とされています。

そうした中で、最近では下記のようにIT導入・活用によってさまざまな対策が推進されています。

・AIによる需要予測に基づいた生産量の調整
・売上管理システムを導入の上、売上データ分析による自動発注を実施
・SNSやアプリなどを使用した売れ残り商品のフードシェアリング

参考:消費者庁めざせ!食品ロス・ゼロ(https://www.no-foodloss.caa.go.jp/

企業によるITを活用したフードロス削減のポイントとは

前述のようにIT活用によるフードロス対策が進んでいる中、フードロス対策を検討している企業は、自社の販売している商品や業態などによって利用しやすいシステムや施策を選んで導入を推進していく必要があります。ここではより具体的な対策をご紹介します。

消費者に使ってもらうプラットフォームおよびアプリ活用

・売れ残りによるフードロスを減らしたい店と安く買いたいユーザーをマッチングする余剰食品削減プラットフォーム
・消費期限や賞味期限が間近となった対象商品を購入するとポイントが付与されるアプリ
・販売期限や期間限定パッケージなどで消費期限は迫っていないのに売りにくくなってしまった商品のクーポンが発行されてお得に買い物ができるアプリ

需要予測による生産量や在庫管理の効率化

・さまざまな実績データを用いて商品の需要予測と自動発注をし、ロス削減や欠品削減、在庫削減を同時に実現する「需要予測型自動発注・在庫最適化システム」
・食品小売店舗でのPOSの売れ行きデータを用いた需要予測によって、いつ売り切れるかやどれぐらい売れ残るかを予測し、売り切り期限になっても残ると予測された食品に対して電子値札を用いて即座に値引きを実施し、売れ残りを防止するシステム

ITを活用してフードロス対策をしている企業の事例

実際にITを活用してフードロス対策に取り組んでいる企業もあります。企業による取り組みの事例を3つ紹介します。

①株式会社トランドール(九州旅客鉄道株式会社)の取り組み

駅やショッピングセンターでの焼き立てパンの製造と販売をするにあたって、フードロス問題という課題を解決するために、ITによるデータ活用およびAI需要予測の実証実験などの取り組みをしています。取り組み内容としては、製造実績や天気、イベント等の外部情報などのデータを基に、時間帯別の需要を予測し製造数を決めるといったものです。

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ベーカリーチェーン店におけるデータドリブン経営の事例

ベーカリーチェーン店で購買データを収集・分析。収集したデータを店舗の棚割りやセット割商品の最適化に活用しています。
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②セブン‐イレブン・ジャパン(株式会社セブン&アイ・ホールデングス)の取り組み

2022年10月を「3R(リデュース・リユース・リサイクル)推進月間」及び「食品ロス削減月間」を実施し、グループ各社の取り組みを紹介した特設サイトをホームページ内に開設しています。「もったいないをなくそうクイズ!」では、リデュース・リユース・リサイクルとはどのようなものなのかを楽しく知ることができたり、それぞれの取り組みや食品ロスを減らすためにできることなどを解説したりすることで、消費者がSDGsを身近に感じられる工夫をしています。さらに、販売期限が近い商品を購入するとボーナスポイントが付与されるなどのお得情報や、「てまえどり」をすることで食品ロス削減に取り組めるといった情報などもホームページで発信されています。

③全日本空輸株式会社(ANAホールディングス株式会社)の事例

IoT機器を利用することで、在庫管理や適正在庫の分析、自動発注などができるようになり、フードロス削減と業務効率化を実現していきたいと取り組んでいます。
これまで、国際線ラウンジで食事やドリンク類などを提供するビュッフェ・コーナーにおいて、残量管理はスタッフによる見回りで行われていました。そのため、お客様へ提供できない事態にならないように、と心がけるとどうしても在庫を多めに抱えることになってしまい、過剰在庫やフードロスへつながってしまう状況がありました。
そこで、ビュッフェの残量をキッチンから確認することができるようにするIoT機器を導入に至りました。食事の欠品を無くすとともに、過剰に提供することを防ぐことができ、残量データを分析することでフードロスの削減にもつながると考えられます。また、倉庫でのドリンク類や消耗品類の管理も、現場に行かずにオフィス・スペースから確認できるようになり、業務の効率化も図れるようになっています。

ITを活用してフードロスを削減しよう!

これまでは、実績や経験を基にした予測や勘などで、売れ残りや賞味期限切れを起こさないように仕入れや製造を行っていませんでしたか。しかし、ITを活用したデータ分析を導入することで、フードロス削減だけではなく、効率的な生産や業務効率化にもつなげることができるのではないでしょうか。今後の事例に注目していきたいです。

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